東京都では中学受験は珍しいものではなく、東京23区では私立中学進学率が5割近い地域もあります。「周りがみんな受験しているから」という理由で中学受験を検討すると、想像以上に費用がかかることに愕然とするケースもあるようです。

そこで今回は、中学受験にかかる費用を「塾代」「受験費用」「進学後の学費」の3段階に分けて試算し、費用の総額を出してみたいと思います。教育費はまとまった支出になりやすいため、いつ・いくら必要になるのかを事前に把握しておくと安心です。

  • 「東京で中学受験」費用はいくらかかる?

    「東京で中学受験」費用はいくらかかる?

東京で中学受験する子はどのくらいいる?

まずは、中学受験をする割合を見てみましょう。特に多いとされる東京23区ではどのくらいの割合になっているのでしょうか。

東京都教育委員会の資料から、私立中学校への進学率が高かった区をランキングにしてみました。

  • 東京23区私立中学進学率ランキング 出所: 東京都教育委員会「令和7年度 公立学校統計調査報告書」をもとに筆者作成

    東京23区私立中学進学率ランキング 出所: 東京都教育委員会「令和7年度 公立学校統計調査報告書」をもとに筆者作成

文京区は48.5%と5割近くが私立中学校に進学しています。以下、千代田区(44.1%)、港区(41.9%)、目黒区(41.8%)、中央区(39.6%)と進学率が4割程度の区が続きます。東京都全体では約20%の進学率なので、区部の進学率の高さがうかがえます。

中学受験の塾代3年間で200万~300万円も

中学受験をするためには、小学校4年生から通塾するケースが一般的です。最近は、早期化して3年生からスタートする家庭も増えていますが、ここでは小4~小6の3年間の塾代を試算します。

大手集団塾の場合、入会金、月謝、教材費、テスト代、夏期講習や冬期講習などの季節講習費、志望校対策などの特別講習費などがかかってきます。

<大手集団塾の費用例>
入会金2~3万円
●4年生 月謝: 約2~4万円 年間約50〜70万円
●5年生 月謝: 約4~6万円 年間約60〜90万円
●6年生 月謝: 約5~7万円 年間約80〜120万円

3年間の合計: 約200~280万円

この他に、個別指導や家庭教師などを併用する家庭もあります。その場合、年間数十万円が上乗せされます。

中学受験は塾代だけで200万円~300万円程度かかると見込んでおくといいかもしれません。

受験費用はいくらかかる?

中学受験では複数校を受験するのが一般的です。ONETES(首都圏模試センター)によると、1人あたりの平均出願校数は7.76校となっています。1人あたり8校受験すると考えると、受験料も大きな額になります。

東京都「令和8年度 都内私立中学校の学費の状況」によると、検定料の平均は約2万4,000円となっています。8校受験したとすると19万2,000円になります。約20万円です。

さらに受験するための交通費も見積もっておく必要があるでしょう。

滑り止め校への入学金問題

第一志望校の合格発表前に、滑り止め校への入学金を納めなければならないケースがあります。中学受験では「受験→合格発表→入学手続き」までの期間が非常に短く、こうしたケースは珍しくありません。第一志望校の結果を待つと入学資格を失ってしまうため、進学するか未確定の段階でも、席を確保するために入学金を支払う必要があります。

入学金は平均26~27万円程度です。その後に入学を辞退しても、原則として返還されないお金です。

このような実際には進学しない学校への支払いは見落としやすい費用です。こうした費用も含めると、受験費用として40~50万円程度が短期間に必要になる可能性も考えておきましょう。

私立中学校の学費はどのくらい?

中学受験は合格したら終わりではありません。中学入学後に本格的にお金がかかってきます。文部科学省「令和5年度子どもの学習費調査」によると、私立中学校の3年間の学習費総額(※)は、467万1,589円となっています。これに対し、公立中学校の学習費総額は162万6,133円なので、私立中学校は公立中学校の約2.9倍の費用がかかります。

※学習費総額とは、入学金や授業料、修学旅行費、学校納付金、制服などの学校に通うために必要な「学校教育費」と「学校給食費」、塾や習い事などの「学校外活動費」をすべて足した金額

  • 私立中学校の学習費 出所: 文部科学省「令和5年度子どもの学習費調査-結果の概要」をもとに筆者作成

    私立中学校の学習費 出所: 文部科学省「令和5年度子どもの学習費調査-結果の概要」をもとに筆者作成

私立中学校の初年度納付金の平均額

中学受験では、合格後数日以内に入学金の納付が必要になるケースが一般的です。学校によっては、その後に授業料や施設費などを含む初年度納付金の支払いも続くため、受験直後にまとまった資金が必要になる点に注意が必要です。

東京都「令和8年度 都内私立中学校の学費の状況」から、初年度納付金の平均額を紹介します。

  • 私立中学校の初年度納付金の平均額 出所: 東京都「令和8年度 都内私立中学校の学費の状況」をもとに筆者作成

    私立中学校の初年度納付金の平均額 出所: 東京都「令和8年度 都内私立中学校の学費の状況」をもとに筆者作成

初年度納付金の平均額は、入学金約26万円、授業料約52万円、施設費約3万円、その他の費用約23万円、総額約105万円です。

入学準備で何かと出費が重なる2~3月頃に納付期限が設定されるケースが多いため、まとまった支出を見越して早めに準備しておくと安心です。

中学受験にかかる総額は?

ここまでの試算結果から中学受験にかかる費用の総額を出してみましょう。

●塾代: 200~300万円
●受験費用: 40~50万円
●進学後の学費: 約467万円

費用総額: 約700~850万円

中学受験はお金がかかると言われていますが、改めて試算してみると、700万円超の資金が必要となることがわかりました。もちろん、塾や学校ごとに必要となる金額は異なるので、あくまでも目安ですが、費用の規模感は感じられたのではないでしょうか。