JR東日本は、AIを活用した突風探知手法による列車運転規制を実用化すると発表した。11月1日から羽越本線今川~羽後本荘間と陸羽西線余目~清川間で導入する。

  • 新潟~酒田・秋田間を結ぶ特急「いなほ」

同社は2005年12月に羽越本線砂越~北余目間で起きた列車事故の対策として、2017年12月からドップラーレーダーで突風の原因となる上空の渦の探知と追跡を行って渦の進路を予測し、その予測範囲に含まれる区間の運転を中止する列車運転規制を実施してきた。それと並行して、突風探知の精度向上についての研究を気象庁気象研究所と共同で進め、AIを活用した突風探知手法について実用化のめどが立ったことから、実用化を決めた。

同社の説明によれば、従来の手法はレーダーに近づく風と遠ざかる風のペアを観測データから検出し、渦を探知していたという。新たな手法では、「渦」と「渦でない」画像のデータを学習させたAIの学習済モデルを用いて、レーダーの観測データから渦をリアルタイムで探知する。

従来の手法では、渦の風速分布に乱れが多いときなど渦をとらえることが難しく、渦でないものを渦と認識する誤探知が発生する場合もあったとのこと。一方、AIを活用した手法では渦の捕捉性が向上し、渦でないものを認識する誤探知も軽減されると説明する。