現在、家の新築や改装を計画中で、「オール電化にしようかな」と考えている方もいるのではないでしょうか。オール電化住宅への切り替えにあたって、気になるのは毎月の電気代です。

ここでは、オール電化住宅の電気代の目安とオール電化のメリット・デメリットのほか、電気代を節約する方法について紹介します。

  • オール電化は電気代が高くなる? オール電化住宅の基礎知識

    オール電化は電気代が高くなる? オール電化住宅の基礎知識

オール電化住宅とは?

オール電化住宅とは、家庭で使うすべてのエネルギーを電気でまかなう住宅のことです。ガスや石油燃料を使わないので、火事の危険性が低いことに加え、ガス代の基本料金がなくなるため、お得になるといわれています。

オール電化住宅の場合、給湯や調理は、すべて電気で行います。具体的に使用するのは、空気の熱でお湯を沸かすエコキュートや、ガスコンロの代わりとなるIHクッキングヒーターなどです。

なお、オール電化住宅は、富士経済グループの「2018年版住宅エネルギー・サービス・関連機器エリア別普及予測調査」によると、年間30万戸前後のペースで増えています(※1)。

オール電化住宅の光熱費はどのぐらい?

実際のところ、オール電化住宅の光熱費はどれくらいかかるのでしょうか。

関西電力によると、オール電化住宅の1カ月の光熱費は、一人暮らしで1万751円、二人暮らしだと1万2,904円、4人以上の家族の場合は1万4,914円となっています(※2)。

一方、総務省統計局が毎年発表している「家計調査年報(家計収支編)」(2019年)によると、2人以上の世帯における電気代の平均は1万825円、ガス代の平均は4,852円でした(※3)。これらを合わせると1万5,677円になります。

これらの数値を見る限り、オール電化住宅は、電気とガスを分けて使用している家庭の平均値に比べると、エネルギーにかかる費用を抑えられる傾向があるといえそうです。

  • オール電化住宅の光熱費はどのぐらい?

    オール電化住宅の光熱費はどのぐらい?

住居形態による光熱費の違い

関西電力のウェブサイトによると、一戸建てとマンションなどの集合住宅では、一戸建てのほうがオール電化の光熱費は高くなる傾向があります。 一戸建てのオール電化住宅光熱費は1カ月あたり1万6,039円、集合住宅の場合は1カ月あたり1万4,956円です。

季節による光熱費の違い

冷暖房を使う夏と冬は、ほかの季節よりも電気代がかかります。特に冬場の暖房の電気代は、冷房の1.5倍です。

関西電力のウェブサイトによると、夏(7~9月)のオール電化住宅光熱費は、1カ月あたり1万3,363円、冬(1~3月)は1カ月あたり1万9,857円となっています。

オール電化のメリット

オール電化にすることで、火事が発生する可能性が下がり、ガス代の基本料金がなくなるというメリットがあります。ほかに、どのようなメリットがあるのか、詳しく見ていきましょう。

  • オール電化のメリット

    オール電化のメリットって?

夜間の料金が割安

オール電化は、夜間にお湯を沸かして貯水タンクに貯めておき、日中に利用することが基本です。そのため、オール電化のプランは、夜間の料金が割安になっています。

例えば、東京電力の提供する「スマートライフLプラン」では、午前6時~翌午前1時の電気代が1kWhあたり約25円、午前1時~午前6時は1kWhあたり約17円の設定です。家電のタイマーを上手に利用して、電気代が安い時間に炊飯や洗濯を行うようにすれば、電気代を節約することができます。

暖房費が安く使える

オール電化では、電気が安い深夜時間帯の電力を使って蓄熱暖房機に熱を貯めておき、必要なときに利用することで暖房にかかる費用を抑えることができます。

火を使わないので火災の心配がない

オール電化にすると、ガスの火の消し忘れやガス漏れの心配がなく、換気不足による中毒事故の心配もありません。高齢者や小さな子供がいるご家庭でも、安心して暮らせます。

ガスの基本料金分が節約できる

オール電化にするとガスを使用しないため、ガス代の基本料金分が節約できます。また、光熱費のほとんどを1つの明細で把握できますので、管理がしやすくなります。

オール電化のデメリット

一方、オール電化のデメリットとしては、下記のようなものがあります。

  • オール電化のデメリット

    オール電化のデメリット

昼間の電気代は割高になる

オール電化の給湯システムは、電気代が安い夜間のうちにお湯を沸かして貯水タンクに貯めておき、そのお湯を日中に使う仕組みになっています。そのため、オール電化では、夜間の電気代が割安になるプランを契約することが多くなります。

なお、夜間の電気代が割安になるプランのほとんどは、昼間の電気代が割高になっています。昼は仕事等で自宅にほとんどいないなら問題ありませんが、昼間も家で過ごす家族がいる場合は、電気代が多くかかってしまいます。

貯水は飲料水として使用できない

オール電化システムでは、お湯は一度タンクに貯めた物なので、衛生上、そのお湯を飲料水にすることはできません。

飲料用のお湯が欲しい場合は電気ポットやケトルで沸かすか、IHクッキングヒーターで沸かすことが必要になります。

オール電化は、初期投資が高額になる

オール電化を導入するには、給湯システム、暖房機器、調理器具などを一式買い替える必要があるため、ある程度の初期費用がかかります。 また、電気・ガス併用の既存住宅をオール電化に変更する場合は、電気や配管の工事が必要です。少なくとも数十万円、住宅の規模によっては200万円前後かかると思ったほうがいいでしょう。

停電のときに機能しなくなる

オール電化住宅は、すべてのエネルギーを電気でまかないますので、停電になるとエネルギー供給がストップします。電気・ガス併用の住宅なら停電時でもガスは使えますが、オール電化の場合は電化製品が使えないだけでなく、給湯や調理もできなくなってしまいます。

「太陽光パネルや蓄電池を導入しておく」「携帯ガスコンロや灯油式のストーブを用意しておく」といった対策しておくといいでしょう。

オール電化で電気代を節約する方法

オール電化で電気代を節約するには、使い方や契約プランの選び方に工夫が必要です。ポイントとなる部分をご紹介します。

  • オール電化で電気代を節約する方法

    オール電化で電気代を節約するには?

電気代が安い時間帯に電気を使う

オール電化で電気代を節約するには、家電の使用時間をできる限り電気代の安い深夜時間帯に合わせるようにしてください。

家電に内蔵されているタイマーを活用して、炊飯や洗濯、食器洗い、掃除などは、できる限り電気代の安い時間帯に行うことをおすすめします。

食洗器や洗濯機などはあらかじめ食器や洗濯物を入れておき、夜間にスイッチがオンになるよう、設定しておくといいでしょう。

太陽光パネルを設置する

家電は夜間に使うのがベストとはいえ、日中自宅に家族がいる場合は、食事の支度や冷暖房などで、どうしても電気が必要になります。日中も電気を多く使用する場合は、太陽光パネルの設置がおすすめです。

太陽光パネルで発電した電力を昼間に使うことで、オール電化の割高な昼間の電気を使わずに済みます。また、災害などで停電した場合でも、電気が使えるというメリットもあります。

導入には初期費用がかかり、すべてのケースにおいてお得とはいえませんが、日中に電気を多く使う場合は、設置を検討してみるといいでしょう。

省エネモード設定を利用する

節電をする上では、各設備の設定を見直すことや、省エネモードを利用することも役立ちます。 例えば、給湯設備の場合、夜間に沸かすお湯の量が多すぎるとエネルギーの無駄遣いになり、少なすぎると電気代の高い昼間のうちに沸き増しをすることになるため、電気代が上がってしまいます。

自宅のお湯の使用状況を把握して沸かす量を調整すれば、余計な電力を使わず、電気代を節約することができます。多くの給湯器には、使うお湯の量を把握して自動で調整してくれる「節約モード」や「お任せモード」がありますので、うまく活用しましょう。

また、IHクッキングヒーターでは、熱伝導性や保温性が高い調理器具を選ぶことで、電気を効率良く使うことができます。

生活に合った料金プランに見直す

オール電化では、深夜時間帯の電気代が安くなるプランが基本ですが、安くなる時間帯や料金、昼間の時間帯がどれほど割高になるかは、電力会社やプランによって違いがあります。

例えば、昼の時間帯はほぼ誰も家におらず、電気を使うのが深夜帯に集中するなら、深夜帯の電気代が安くなるプランを選ぶのがおすすめです。しかし、自宅で仕事をしているなど、日中も常に誰かが家にいて電気を使うのであれば、夜間料金はそれほどお得にはならなくても、日中料金が抑えられるプランのほうが良い場合もあります。

多くの電力会社では、インターネット上で電気代のシミュレーションを行うことができますので、比較してみるといいでしょう。家族構成やライフスタイルに合った電力会社とプランを選んで、電気代を節約することをおすすめします。

オール電化導入前に、電気代の節約になるか確認しよう

オール電化は、電気代を節約できる可能性がある一方、家族構成やライフスタイルや家電の使い方によっては、かえって電気代が上がってしまうこともあります。

オール電化を導入する際は、メリット・デメリットや初期費用、修理費を含め、費用対効果を確認した上で、自分の生活に合うかどうかをシミュレーションすることをおすすめします。

  • オール電化導入前に、電気代の節約になるか確認しよう

    オール電化導入前に、電気代の節約になるか確認しよう

参考 :
(※1) 富士経済「2018年版 住宅エネルギー・サービス・関連機器エリア別普及予測調査
(※2) 関西電力「オール電化世帯人数別の電気代平均額
(※3) 総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2019年(令和元年)