面接の重要ポイントである自己PR。ただでさえ緊張する面接において自分をしっかりアピールするためには、事前にポイントを押さえた自己PRの準備・対策が大切です。

書類に記載した自己PRの内容と合っていることはもちろん、面接では「企業側が知りたいこと」「自分を魅力的に伝える方法」を意識してしっかり自己PRすると効果的です。 この記事では、面接で効果的な自己PRのポイントについてくわしくご紹介します。

面接でチェックされる自己PR5つのポイント

面接時の自己PRは、まず「企業側が自己PRを通して何を知りたいのか」を意識した内容が基本です。面接時に企業側がチェックする5つのポイントについて、みていきましょう。

  • 面接でチェックされる自己PR5つのポイント

    面接でチェックされる自己PR5つのポイント

応募者の強み

履歴書やエントリシートなど書面での自己PRと同様、面接官は面接でも応募者の強みをチェックしています。

書類に書かれている強みはどの程度のものか・信憑性はどうかなど、「書類に書かれている」自己PRとの整合性や、面接することによって「書面に書かれていない」応募者の別の強みを面接官が見出すこともあります。

面接では文字制限や読みやすさなどを気にすることなく、自己PRすることができます。自分の強みについて書類には書けなかった内容があれば、まとめておきましょう。

コミュケーション能力

面接官は面接を通して、仕事上重要な「応募者のコミュニケーション能力」をチェックしています。経団連の調査によると、経団連会員企業が「2019年入社の新卒入社予定者で重視していること」によると、「コミュニケーション力」が82.4%でトップ。コミュニケーション能力は多くの企業から非常に重視されていることがわかります。

自己PRに限ったことではありませんが、面接では面接官の質問の意図を理解し、それに沿った回答をしていくことが大切です。つまり「面接官はこの質問を通して何を知りたいのか」を見据えて回答していくことが必要です。面接では履歴書やエントリシートに書かれた自己PRについて質問を受けますので、あらかじめ自己PRから想定される質問を予測し、準備をしておくといいでしょう。

会社への貢献予想度

企業は「会社に貢献してくれる人を採用したい」と考えています。そのため面接での自己PRを通して、応募者がどれくらい・どのように会社に貢献してくれそうかを見ています。

面接での自己PRは、履歴書やエントリーシートに書いてある経験やスキルなどについて、「具体的にどのように面接先の企業に貢献できるのかを伝える」ことを意識しましょう。

人柄

採用担当者は自己PRを通して、「応募者の人柄」をみています。会社にとって一緒に働く仲間の人柄は大切。人柄的に問題がないかだけではなく、「社風に合うか」「配属先のメンバーとの相性はどうか」「素直な人物か」などさまざまな角度から確認されているということを意識しましょう。

人柄は「いい人柄」だけがいいとは限りません。例えば「人柄がよくマイペースなタイプの人」は、アグレッシブな雰囲気の会社から、また「熱意を持ってバリバリやりたい」という人は、やわらかい会社の企業から「合わない」と判断されてしまうこともあります。

入社意欲

どんなに優秀な人材でも、面接官が「応募者の入社意欲」を感じなければ、面接を突破することはできません。また面接で同業他社の話をすることや、入社意思を質問されてあいまいな回答をすることはNGです。

入社意思に関する直接的な質問でなくても、企業のことを聞かれて何も回答できなかったり、面接先の企業と関連性がないことばかりをPRしていては、入社意欲を疑われてしまいます。

面接での自己PRは面接先企業の事業内容や特徴としっかり関連性を持たせることで、入社意欲の高さをアピールすることができます。またダイレクトに入社意思について質問されたら、迷わず入社の意思を伝えましょう。

面接で魅力的に自己PRを伝える4つのポイント

面接で企業が知りたいポイントを踏まえた自己PRは、基本中の基本。ほかの応募者と差別化し、より魅力的な自己PRに仕上げるためのポイントについてご紹介しましょう。

  • 面接で魅力的に自己PRを伝える4つのポイント

    面接で魅力的に自己PRを伝える4つのポイント

書類の自己PRとの違いを理解する

「面接と書面での自己PRの違いを理解」しましょう。面接での自己PRは基本的に書類に書かれた内容に沿って話しますが、前述の通り書類に書かれている内容をより具体的・立体的に説明し、書面では冗長になるため書ききれなかった内容を伝えることに意味があります。面接で書類をなぞらえただけの自己PRをしても意味がありません。

面接は採用担当者とコミュニケーションをはかることができる大事な機会です。「書類・面接における自己PRのそれぞれの役割」をきちんと理解しておきましょう。

自分の強みは企業目線で

自己PRでは自分の強みについて書いたり話したりしますが、自分の強みは「企業目線」を意識しましょう。

面接先の企業から内定を獲得するためには、自分の強みが何でもいいというわけではありません。自分の強みと企業の求める能力や人物像が合致していることが大切です。自己PRは企業が求める人材像を理解した上で、アピールすべき強みを把握しておきましょう。

一般的に「リーダーシップ」や「目標達成力」、「チャレンジ精神」「コミュニケーション力」はどの企業でも求められます。企業によっては「強調性」「勤勉性」「観察力」「周囲を巻き込む力」「責任感の高さ」が求められるなど、業界や企業によっても異なった傾向があります。

面接前に選考に挑む前に採用ホームページなどから、面接を受ける企業が求める能力や人物像を確認しておきましょう。もしすでに書類に企業が求める能力と別の強みを書いてしまっていたら、企業の求める能力とひもづけられるようなフォローや対策もしておきましょう。

書類では書ききれないエピソードを複数盛り込む

面接での自己PRでは、書類に書ききれないエピソードを複数盛り込みましょう。書類での自己PRはスペースなどの制限もあるため、ある程度コンパクトにまとめる必要がありまうが、面接での自己PRは自由度が高く、より多くの内容を伝えることができます。

先ほど述べた通り自分の強みは企業の求める能力や人物像に沿ってアピールすることが効果的ですが、その強みが本当であるか、またどの程度なのかを知るため、必ず企業側「その強みが発揮された経験は何ですか? 」「具体的なエピソードはありますか? 」などの質問を通して強みの「根拠」を求めます。

「リーダーシップがあります」「課題解決するための努力を惜しみません」など、もっともらしい強みをいうことは誰にでもできますが、具体的なエピソードが伴わないことには信憑性を感じることができません。

自分の強みについて質のいいエピソードが複数あれば説得力があり、企業側にもしっかり伝わります。さらに「あまり人がいなかったところ20人に」「売り上げを170%アップさせた」「1カ月で点数が70点アップ」など、具体的な数字を入れることでより説得力・客観性を高めることが可能です。

企業は応募者の未来の姿を知りたい

企業は入社後活躍してくれる学生を求めています。そのため入社後、「自己PRの強みが実際の業務で発揮されるかどうか」が、企業にとって重要です。

自己PRの具体的なエピソードが学生限定という条件で成し遂げられたような内容であれば、企業にとってはあまり魅力的でない可能性があります。そのため面接官は、ビジネスシーンでのその強みが発揮されるかどうかを、次のような質問で把握しようとします。

「あなたの強みは、入社後どのように活かすことができますか」
「あなたの強みを発揮する上で、どんなことが重要ですか」
「どんなことでモチベーションがあがりますか」

といった質問を通して、面接官は学生が話した強みがどんな環境で発揮できるのか、またどんなところ弱いのかを見ています。またどうしても自分が話した強みを、入社後どのように活かせるのかわからない場合もあります。そのときはとにかく前向きな姿勢で臨むことを伝えるといいでしょう。

企業は環境や特定条件に左右されない「強み」を求めています。事前に企業が面接の自己PRでチェックするポイントを理解し、対策を練って備えましょう。

面接での自己PRを通して企業が「欲しい」と思う人材

企業は面接という直接のコミュニケーションを通して、自己PRで話す内容からさまざまな要素をチェックしています。前述した通り多くの企業が新卒者に対しコミュニケーション力を求めていますが、企業が求めるコミュニケーション能力とは、単に「話好き」「友達が多い」といったことだけではありません。

自己PRによるコミュニケーションを通し、企業が必要とする「コミュニケーション力」は何か、また「欲しい」と感じる学生の特徴についてみていきましょう。

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    面接での自己PRを通して企業が「欲しい」と思う人材

自分の意見があり、伝えることができる

まず企業が考えるコミュニケーション力がある人とは、「自分の意見を持ち、それを伝えることができる人」です。 社内の会議で意見を求められているのに、自分の意見をいうことができず黙っていたのでは、何の考えも持っていないと思われても仕方がありません。

企業が思う「コミュニケーション力が高い人」は、さまざまな意見や考えを吸収しつつも自分の意見をしっかり主張します。そうすることで全体として意見が活性化され、ひとりでは到達できないような質の高いアイディアが生まれていきます。

また意見を述べる時は、まず「結論から」ということを意識しましょう。結論からはじめる理由はさまざまなですが、結論からはじめた方が「インパクトがあり人の心にひびきやすい」「結論からのべた方が話の概略がつかみやすい」「多忙なビジネスの世界では最初に結論をいう」「論点がはっきりする」などの理由からです。

聞く能力がある

一方的に話すのではなく、相手の主張や意見、反対意見などにもしっかり耳を傾ける「聞く能力」もコミュニケーションには大切です。

コミュニケーション力がある人は、相手の話を聴きながら「共通点」「相違点」をさがし、「相手が言いたいことのポイント」を会話のなかから探っています。

聞く力が高い人は、本題が始まる前のアイスブレイクを適度に入れ緊張をほぐし、話しやすくなるように適度に相槌を入れ、相手が話しやすい雰囲気作りも自然とすることができます。そうすることで、相手はどんどん話してくれます。

聞く能力があり、自分の意見も伝えることでお互い信頼関係が深まっていくのです。

異なる意見も受け入れられる

企業は「自分とは異なる意見も受け入れ、理解できる人」を求めています。同じ組織で働くメンバーや取引先の相手のバックグラウンドは多様で、それぞれ価値観も異なり違った立場から物事を見ています。そのため自分とは異なる意見を持っていたり、対立することもあるでしょう。

このような場合でも、意見や立場の異なる人を否定せずに受け止め、どうすれば意見の相違がいい方向へ向くのか、軌道修正をしていかなければなりません。また異なる意見を聞くだけではなく、意見が異なる理由の分析や、ほかの考えなども検討していく必要があります。

異なる意見の対立や摩擦によって、誰もが思いつかなかった新しい考えが生まれ、人の関係や絆を深めることにもつながっていきます。

説得力がある

企業は「説得力がある話ができる人」を求めています。どんな内容でも説得力がないとよい結果を導きにくく、信頼関係を構築することが困難になってしまいます。

説得力がある話には、必ず「具体例」が含まれています。面接で自己PRに説得力をもたせるためにも、具体的なエピソードを入れて話すことで、説得力がある内容にまとまります。エピソードは必ずしも成功経験である必要はありません。失敗した経験でも、そこから何を学び、どう活かしていくのかを伝えることで、面接官に「失敗から学ぶ前向きな印象」を与えることができます。

自分のことについて話す自己PRは、主観的になりがちです。話に客観性を持たせるためにも「1カ月で400点UP」のように数値を使うと、客観的でより具体性が高まります。

空気を読む力がある

企業では「その場の空気を読む力」を重視しています。空気を読む力とは、その場の雰囲気から状況を察知し、「自分が今何をするべきで、何をするべきではないか」の状況判断ができる力です。

空気を読むためには、観察力と的確な判断力が必要です。自分を前面に押し出すタイプの人やマイペースなタイプの人の場合、企業からは「空気が読めない人」と判断されてしまう可能性もあるので注意してください。

前述した「話しやすい雰囲気づくり」も、空気を読む力が不足していると困難です。空気を読めずいきなり本題から入って相手を萎縮させてしまうと、相手の本音が引き出せません。

空気を読むためにはまずはまず「相手がどんなタイプなのか」、「話が得意なのかそうでないのか」など会話の相手を見極め、必要に応じてアイスブレイクや相手が興味をひきそうな話題を会話に組み込むといいでしょう。

空気を読む力も、聞く力に通じる部分が多くあります。「空気を読める力」は相手を観察して状況判断をし、状況に応じた最適な行動ができる力、つまり相手の立場に立った考え方ができることにもつながります。

  • 面接では「コミュニケーション」を意識した自己PRを

    面接では「コミュニケーション」を意識した自己PRを

面接では「コミュニケーション」を意識した自己PRを

面接での自己PRを通して、企業はさまざまな角度から書類に記載されている自己PRの具体性や信憑性、ポテンシャルなどをみています。さらに質疑応答内容から、「応募者の強みそのものが企業ニーズに合うかどうか」はもちろん、多くの企業が重視している「コミュニケーション力」をチェックしています。面接での自己PRでは話す内容だけでなく「面接官とのコミュニケーション」を意識し、しっかり準備をして臨むことが大切です。