採用選考の過程で自己PRのひとつとして取り上げられる「協調性」。
ビジネスの場では、必ずといっていいほどに人との関わりがあります。そのため、協調性があることは採用に結びつく強みになり得ます。しかし、企業に合わない自己PRをしてしまうと採用に至らないことも……。どう自己PRするのかは重要なポイントです。
この記事では、協調性の詳しい意味、および履歴書・職務経歴書・面接での協調性の自己PR例やコツ、NG例について紹介します。特に、これから就職活動や転職活動を始める人は読んでみてください。
採用時に企業に評価される「協調性」とは
協調性は多くの企業が選考基準の目安としているポイントのひとつです。そもそも、協調性とはどういった意味なのか。詳しく見ていきましょう。
協調性の意味
国語辞典によると協調性とは、「他の人と力を合わせて、物事をうまくやっていける傾向や性質」のこと。「協調」の対義語は「対立」であることから、人と対立せずにうまく関係を築く能力があることを表しています。
企業が求める「チームワーク」
協調性には大きく分けて2つの意味があります。空気を読むことに代表される「周りの人に従順であること」と、「周りに協力を働きかけ巻き込みながら物事を行うこと」の2種類です。
ビジネスシーンでは特に、後者の協調性が求められることが多いです。周りの人に自ら協力を求める積極性と人を巻き込む力を持つ人材であれば、職場のチームワークを強められることになるためです。
協調性を重視する企業も多い
協調性はビジネスにおいて不可欠な能力であり、多くの企業が採用活動において重視するポイントです。実際に、2018年に経団連が実施したアンケート調査では、1位に「コミュニケーション能力」、次に「主体性」、「チャレンジ精神」、「協調性」を重要視しているとの結果が出ました。
履歴書や職務経歴書における協調性の自己PR例
履歴書や職務経歴書に「協調性があります」と一言書くだけでは、説得力はありません。ここでは、協調性を履歴書や職務経歴書で自己PRする際のコツや例文を紹介します。
履歴書で協調性を自己PRするときのコツ
一般的な履歴書では、自己PRを記入できるスペースは限られています。「アピールポイント」や「自己PR」などの欄を活用して、協調性をPRしていきましょう。自分の経験談を交えつつ簡潔に納められるよう、工夫して記載するのがポイントです。
履歴書で協調性を自己PRするときの例文
例えば、以下のような具体的なエピソードを盛り込むことで、説得力のある自己PRとなります。
・前職では社内でのオンラインコミュニケーションツールの導入を提案しました。業務ごとに異なる優先度や進捗状況などを共有しやすくなり、業務効率化に貢献できたと自負しております。(事務職)
・前職では自分の担当業務だけではなく、困っている仲間を積極的にサポートしながら日々売上貢献に取り組みました。(営業職)
職務経歴書で協調性を自己PRするときのコツ
職務経歴書の目的は実務能力をアピールすることにあります。履歴書に比べるとボリュームある文章が書きやすいため、具体的なエピソードを交えながら協調性があることを企業に伝えましょう。
職務経歴書で協調性を自己PRするときの例文
入社したらどんな風に働けるのかをイメージしやすいよう、具体的な経験を元に作成しましょう。
・前職では社内の人との関わりのなかで部署ごとに連絡の優先度が違うことに気づき、オンラインコミュニケーションツールの導入を提案しました。ツールを活用することで業務ごとに異なる優先度や進捗状況などを担当者が共有しやすくなり、業務効率化に貢献できたと自負しております。(事務職)
・前職では困っている同僚がいたら積極的にサポートを行いました。同時に、自分の担当業務にも責任感をもって取り組んでいます。自分だけでなくチーム全体が目標達成できるよう、協力しながら日々売上貢献に努めました。(営業職)
面接での協調性を強調した自己PR例
書類選考に通過したら、次は面接での選考です。面接で協調性を自己PRしたい場合、どう伝えていけばいいのかを紹介します。
部活やサークル活動・アルバイトの経験を元にした協調性の自己PR
特に、アルバイト経験しかない人や第2新卒で社会人経験が少ない人は、仕事以外の活動も取り入れながら協調性を自己PRするのがいいでしょう。
・学生時代にサッカー部に所属し、チーム一丸となって試合で勝つことを目標に取り組んできた経験があります。ふだんから先輩や後輩と積極的にコミュニケーションをとり、練習にも積極的に参加することで、試合中に予想外のことが起こっても、すばやく連携できる信頼関係を構築できたと自負しています。
・アルバイトで1人の学生の家庭教師を数年間担当したことがあります。問題点を少しずつ解決することで学力を上昇させて、受験校のランクアップにつなげられました。しっかりと相手に向き合って問題点を洗い出し、本人の同意を得ながらやるべきことを整理できたことが成功の秘訣であったと考えています。
能力や資格に絡めた協調性の自己PR
社会人経験があるなら、自分の経歴をあらかじめ棚卸しをして、仕事に関わるエピソードを絡めて協調性を自己PRしていきましょう。
・担当する顧客とこまめにコミュニケーションをとることで、相手が本当に求めることを引き出せるよう努めておりました。また、業務の担当分野にかかわらず社内での情報共有も積極的に行い仕事をしやすい環境作りに取り組み、生産性向上につなげていきました。
・デザイナーとして仕事を円滑にすすめられるよう、日々社内の人に声かけをして、積極的にコミュニケーションをとっていました。お互いに困ったときには協力し合える関係性を構築し、助け合いながら仕事をスムーズにすすめられていた自負があります。
これはNG! 協調性の自己PRにおけるNG例
協調性があることを自己PRしようとしても、間違った方法をとってしまうと逆効果になることもあるので注意しておきましょう。気をつけるべきNG例を紹介します。
長すぎる
自己PRをしようとして、長々と書きすぎたり話しすぎたりすると、言いたいことが伝わりません。まずは結論から述べ、簡潔に伝えることが大切です。面接では1分間などと指定されることもあるため、質問されたらどう答えるのか、応募する企業に合わせて準備しておきましょう。
馴れ合いと協調性の違いに注意
仕事で求められる協調性とは、積極的に周りを巻き込んで協力しながら仕事をしていける能力のことです。空気を読んで何もしないことや、友達のように仲良くすることとは違います。
自分が自己PRしたい内容は仕事で求められている協調性と言えるのか、準備するときによく考えてみてください。
客観性をもたせる
企業の採用担当者に、ただ「私は協調性があります」と伝えるだけでは理解してもらえないでしょう。自分の経験から具体的なエピソードを盛り込みながら話すことが大切です。
これまでの仕事やアルバイト経験、サークルや部活動、ボランティアや地域の活動などで取り組んできた経験を元にして、「確かに協調性がある」と思ってもらえるようにしましょう。
【まとめ】自己PRで協調性をアピールして内定につなげよう
就職や転職の選考において応募者に協調性を求める企業は多く、協調性の高さは自己PRとして効果的です。ただし、企業が求める協調性の高さとは、空気を読む能力ではなく、周りを巻き込んで協力しながら仕事ができる能力。協調性の高さを自己PRに含める場合には、一般的な協調性と企業が求める協調性の違いを理解しておくことが大切です。
履歴書や職務経歴書で自己PRとして協調性の高さをアピールする場合には、自分の経験を交えながらわかりやすく簡潔に述べましょう。また、面接の場で述べる場合には、結論から話すことがポイントです。
自分の経験を元に話すためには、あらかじめ自分の経歴を振り返り、経歴の棚卸しをしておくことが重要となります。具体的なエピソードから協調性の高さを自己PRに盛り込んで、内定につなげていきましょう。