高収入を目指すときに、1つの大きな年収ラインとなるのが「年収1,000万円」ではないでしょうか。年収1億円や3億円となると、もはや別世界ですが、年収1,000万円であれば、普通の会社員でも稼いでいる人が一定数います。

そこで、年収1,000万円稼いでいる人の割合や実際の暮らしぶりのほか、年収1,000万円を達成する方法などについてご紹介します。

  • 年収1,000万円の人の割合は? 手取り額や課税される金額を解説

    年収1,000万円の人の割合は? 手取り額や課税される金額を解説

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実際に、年収1,000万円をもらっている人は、どのくらいいるのでしょうか。国税庁「民間給与実態統計調査」(2018年)(※)の結果をご紹介します。

■給与階級別給与所得者数・構成比

年収額 人数 割合
100万円以下 409万8,000人 8.10%
100万円超~200万円以下 688万2,000人 13.70%
200万円超~300万円以下 761万7,000人 15.20%
300万円超~400万円以下 866万7,000人 17.20%
400万円超~500万円以下 748万2,000人 14.90%
500万円超~600万円以下 514万8,000人 10.20%
600万円超~700万円以下 329万人 6.50%
700万円超~800万円以下 221万1,000人 4.40%
800万円超~900万円以下 144万9,000人 2.90%
900万円超~1,000万円以下 93万2,000人 1.90%
1,000万円超~1,500万円以下 180万4,000人 3.60%
1,500万円超~2,000万円以下 39万3,000人 0.80%
2,000万円超~2,500万円以下 12万8,000人 0.30%
2,500万円超~ 16万4,000人 0.30%

1,000万円を超える人は、全体のわずか5% です。ちょうど1,000万円が含まれる「900万円超1,000万円以下」の統計を含めても、全体の6.9% にしかなりません。

この統計は、給与所得者に限った統計のため、自営業者を含みません。とはいえ、年収1,000万円を稼いでいる人は、ごく限られた人数だということがわかります。

会社員の平均年収

給与所得者の平均年収は、同じく国税庁の「民間給与実態統計調査」によると、441万円となっています。

会社員の平均年収が、1,000万円の半分以下ですから、ごく一般的な年収の会社員と、年収1,000万円プレイヤーのあいだには、大きな差があることがわかります。

平均の年収額が高い会社の特徴

また、同調査を元に平均の年収額を業種別に比べてみると、ベスト5は下記のようになります。

■平均の年収額が高い業種ベスト5

1位.電気・ガス・熱供給・水道業 : 759万円
2位.金融業・保険業 : 631万円
3位.情報通信業 : 622万円
4位.製造業 : 520万円
5位.建設業 : 502万円

もちろん、同じ業種でも会社によって給与は違いますし、金融・保険業などはインセンティブで大きく稼ぐ人もいると想像できます。しかし、傾向として、どのような業種の年収が高いのかを知っておくと、高年収の仕事に就きたいときの参考にできるでしょう。

一方、会社規模別で比較すると、下記のように、おおよそ規模が大きい会社ほど平均の年収額も高いことがわかります。

■企業規模別の平均年収

株式会社の資本金額 平均年収
2,000万円未満 381万8,000円
2,000万円以上~5,000万円未満 412万7,000円
5,000万円以上~1億円未満 410万7,000円
1億円以上~10億円未満 465万6,000円
10億円以上 616万1,000円

年収1,000万円の手取り額は?

年収1,000万円は、あくまでも会社から支給される額ですから、そのまま全額を自由に使えるわけではありません。給与からは、さまざまな金額が控除されます。 主な控除 項目には、以下のようなものが挙げられます。

・所得税
・住民税
・健康保険料
・介護保険料 (40歳以上の場合)
・厚生年金保険料
・雇用保険料

自由に使えるお金を知るためには、年収だけでなく手取り額を知る必要があります。

年収1,000万円の人の手取り額がいくらかは、それぞれの家族構成等によって異なります。仮に、扶養親族がおらず、その他控除の対象となる支出もないとすると、おおよそ720万円程度です。

つまり、ボーナスがない場合は、毎月手取り60万円、仮にボーナスが3カ月分×2回ある場合だと、毎月の手取りが40万円で、夏冬のボーナス時に各120万円ということになります。

平均年収441万円の手取り額はおよそ340万円で、ボーナスがない場合は毎月約28万円となります。年収1,000万円は平均年収に比べて、かなり裕福だといえるでしょう。とはいえ、ブランド品や高級レストランでいくらでも贅沢ができて、長期休暇のたびに海外旅行で豪遊できるかというと、それは厳しいと考えられます。

仮に、子供2人を私立の学校に通わせた場合、それだけで夏と冬のボーナスがなくなってしまいかねません。親子4人で毎月40万円の生活費となると、住宅ローンや車の維持費、貯金等を考えれば、思っていたほど贅沢もできないというのがリアルなところではないでしょうか。

年収1,000万円の人はいくら貯蓄に回している?

年収1,000万円を稼いでいる人も、いつまでもその収入が続くという保証はありません。万一に備えて、貯蓄をしておくことが大切です。

それでは、実際にどのくらい貯蓄しているかというと、年間の収入が1,000万~1200万円未満の人は、平均して手取りの11% を毎月貯蓄に回しているというデータがあります(金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(二人以上世帯調査)」2019年)。

年収1,000万円の人の手取り額が約720万円とすると、年間で約79万2,000円を貯蓄に回していることになります。一方で、貯蓄しない方も16% います。また、手取り額の35% 以上(年252万円以上)を貯蓄に回す人は3.1% 存在しています。

年収1,000万円を達成する現実的な方法

年収1,000万円を達成するためには、いったいどうすればいいのでしょうか。最も堅実なのは、今の仕事で年収アップを狙う方法です。しかし、どれだけ活躍しても、会社規模によっては年収を1,000万円にすることは到底できないということもあるでしょう。

そこで、今の会社で年収1,000万円を目指すのは難しい場合の、現実的な方法を3つご紹介します。

転職して年収を上げる

年収1,000万円を達成する方法として、転職をする方法があります。伸び盛りのベンチャー企業やインセンティブの割合が大きい会社、平均年収が高い上場企業などに転職することで、年収アップが狙えるでしょう。

ただし、転職にはリスクもあります。かえって年収がダウンしてしまわないよう、在職したまま慎重に転職活動を進める必要があるでしょう。

副業で稼ぐ

本業の年収アップが狙いにくくても、副収入を得ることで年収1,000万円を目指せる場合があります。会社が副業を禁止していないのであれば、スキルを活かした稼ぎ方ができないか検討してみましょう。 ま た、副業を禁止している会社でも、投資等の資産運用であれば規定違反とはならない可能性が高いため、サラリーマン投資家を目指すという道もあります。

世帯年収1,000万円を目指す

1人で年収1,000万円を達成するのは難しくても、夫婦2人でそれぞれ500万円ずつ稼げれば、世帯年収は1,000万円になります。しかも、1人で1,000万円を稼ぐよりも、それぞれ500万円ずつ2人で稼いだほうが税金を抑えられますから、合計の手取り額は1人で稼ぐよりも高くなります。

年収500万円の人の手取り年収は約387万円、1カ月あたりおよそ32万円です。これが2人ですから、およそ64万円となり、年収1,000万円の方の手取り額の月60万円を上回ることができます。なお、年収1,000万円の方に無収入の配偶者がいた場合、配偶者控除の対象となって手取りがやや増加しますので、あくまで参考値となります。