声優・西山宏太朗が2020年10月7日、ミニアルバム『CITY』を引っ提げてアーティストデビューを果たす。

  • 西山宏太朗(にしやまこうたろう)。10月11日生まれ。81プロデュース所属。主な出演は『あんさんぶるスターズ!』深海奏汰役、『A3! -SPRING & SUMMER-』皆木綴役、『メジャー2nd』佐藤光役、『美男高校 地球防衛部LOVE!』鬼怒川熱史役など
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●思いもよらなかったアーティストデビュー

今回はデビューを記念し、本人にインタビューを実施。まだレコーディング中だという本アルバムについてはもちろん、デビューに至るまでの葛藤やこれまでの音楽事情などについてお話を聞いた。

――今回はミニアルバムのことに加えて、デビューに至るまでの経緯についても話を聞きたいと思っています。まず、アーティストデビューの話をもらったのはいつ頃でしたか?

正式にオファーをいただいたのは、2019年の夏ごろだったかな。それより前から「やりましょうよ」というジャブは打ってもらっていました。でも、まさか自分にお声がけいただけるとは思っていなくて。話半分くらいでいつも流していました。

――西山さんは『美男高校 地球防衛部LOVE!』や『B-PROJECT』などの作品、またラジオ番組「ひょろっと男子」から派生したユニットで梅原裕一郎さんと一緒に音楽活動もされていますよね。なので、「ようやく!」という待望の声も多かった気がします。

いやいやいや! 本当に「まさか自分が……」という気持ちが強かったので、お話をいただいてからも悩みました。実は「やります」とお返事するのにも、数カ月いただいたんですよ。

――それほど悩んだのは、アーティスト活動に対する不安があった?

続けられるのかという不安もありましたし、何より、音楽活動は得意な人がやるものだろうと思っていたんですよ。僕はデビュー時から「音楽活動をガンガンやっていきたい」という気持ちがあったわけではなかったんですよね。

――音楽はあまり好きではなかった?

生活の一部にはあったので、音楽自体は好きだったと思います。でも、それは歌う側ではなくて、聞く側としての好き、という感情でしたね。

――どういうジャンルの音楽をよく聴いていましたか?

「ハロー!プロジェクト」が好きなので、つんく♂さんが作詞・作曲される楽曲はよく聞いていて、がっつり影響を受けました。彼女たちのライブパフォーマンスを観て、「かっこいいな」とも思っていたんです。

――ただ、自分がパフォーマンスする側になるとは想像もしていなかった。

そうですね。作品を通してステージで歌唱することはありましたけど、こんなに緊張するんだという気持ちになることが多くって。だから、「歌うのが楽しい」と思えるようになるまで、結構時間がかかったんです。その境地にまで全然至らなかった。もちろん、仲間たちと一緒にやるのは楽しかったですよ。でも、実際に本番で歌うとなれば、緊張のほうが勝っていたんです。

――その気持ちが変化したから今回、アーティストデビューに踏み切ったんだと思います。

2019年にメットライフドームで行われた『アイドリッシュセブン 2nd LIVE「REUNION」』が転機となりました。あのライブでは10曲前後の楽曲を披露するユニットもあるなか、僕が所属するZOOL(ズール)は3曲だけだったんです。ただ、その3曲に思い切り集中して魂を注ぎ込みました。ステージに立った瞬間はやっぱり緊張しましたけど、楽しいという気持ちが徐々に上がっていったんです。その時に「あぁ、少しずつ冷静にステージ立つことができるようになったんだな」って感じたんですよね。それこそ遅いくらいなのですが、「こうすれば楽しめるかもしれない」「こうやればいいんだな」という道筋があのライブで見えた気がしたんです。

●「夏」と「カレー」と「音楽」を愛するのがシティボーイ

――続いて、西山さんの音楽事情について聞きます。「ハロー!プロジェクト」のほかに聞くジャンルは?

最近はシティポップ感のある楽曲をよく聞くようになりました。

――西山さんは「シティボーイを目指す」と言っていますよね。

はい(笑)。

――もしかして、目指すべき「シティボーイ像」も音楽から影響を受けている?

そうかもしれません。僕にとってのシティボーイは……「夏」と「カレー」と「音楽」を愛する人というイメージがあって。僕自身もその3つが好きだし、その雰囲気に合う楽曲が好きなんですよね。例えば海や夏、夜のエモーショナルな雰囲気に合う楽曲とか。そういう音楽を日々追い求めては聞いています。

――何となく、神奈川が思い浮かびました。

確かに、湘南などはイメージに合いそうです(笑)。

――イメージでしかありませんが(笑)。音楽事情という点ではピアノ。Twitterで、本ミニアルバムのリード曲「真昼どきのステラ」を自身で弾いてみた動画をアップされていました。あれは西山さんの発案だった?

そうですね。最近はなかなか外に出られず、家で過ごす時間が増えたので、みなさんに楽しんでもらう何かができないだろうか、と思ったんです。そこで、スタッフさんを通じて、作曲・編曲を担当されている三好啓太さんに「コードを公開しませんか?」と提案しました。そしたら、三好さんが快諾してくださったんです。

――そういう経緯があったんですね。

いただいたからには「僕もしっかりとやらないといけない」と思い練習を始めたのですが、本当に難しくって。見たことがないコードばかりが並んでいました。ただ、最近は便利なもので、アプリでコードを調べられるんですよ。ひとつひとつのコードを紐解きながら、練習しました。

――実際にどのくらい練習されましたか?

動画で公開されている部分だけで3日くらいは練習したかも。右手で弾きながら左手で動画を撮っていたので、それも大変でした。……いつかは全編通してできるようになったらいいな。

――弾き語りライブなんかも期待しています!

そうですね。いつになることやら……ですが(笑)。

――いつまでも待っています(笑)。ちなみに、もともとピアノは習っていたんですか?

小学生のころに習っていました。教室に行ったときくらいしか触らなかったので、何も成長しないまま時とお金だけかけて終わったという感じです(笑)。ただ、1年前くらいからまたピアノを触ろうかなと、ふと考えるようになって。それでも、ほとんど触っていなかったので、今回はいいきっかけになりました。

――私も自宅で過ごす時間が増えるなか、昔に触っていた楽器を引っ張り出してきましたが、相当腕がさびついていました。

楽器のオフシーズンって恐ろしいですよね……。当時の記憶は何も残っていなかったです(笑)。