新型コロナウイルスの感染拡大は、テレビ番組の制作にも大きな影響を及ぼした。1日のスタートを切る朝の情報番組は、各局で毎日2~3時間にわたり編成されるが、コロナ禍でスタジオ進行や取材にさまざまな制約が課せられる中で、どのように情報を収集し、放送で伝えているのか。

2020年上半期、関東地区の視聴率で民放横並びトップとなったフジテレビ系『めざましテレビ』(毎週月~金曜5:25~)の高橋龍平チーフプロデューサーに話を聞いた――。

  • ソーシャルディスタンスで生放送に臨む(左から)三宅正治アナ、永島優美アナ、軽部真一アナ (C)フジテレビ

    ソーシャルディスタンスで生放送に臨む(左から)三宅正治アナ、永島優美アナ、軽部真一アナ (C)フジテレビ

■大人数のにぎやかな進行ができない

『めざましテレビ』は4月頭から、月~木曜に平日のキャスター、金~土曜に『めざましどようび』中心のキャスターが出演するシフトに移行。ソーシャルディスタンスを保ち、1回にスタジオ出演するのは基本3人、多くても5人までに制限するルールを定めた。

毎朝のオープニングで“めざましファミリー”と呼ばれる10人以上の出演者が2列に並び、にぎやかに進行していくのが同番組の強みの1つでもあったが、「視聴者に放送を届け続けるためにも、出演者の健康を守る上でも、ここは割り切って決断しました」(高橋CP、以下同)と振り返る。

一方、制作スタッフは3班体制に分け、出演者と接触する人を限定。スタッフルームは2つに分け、ソーシャルディスタンスを守り、ビニールシートで飛沫拡散を防ぐなど対策をとっており、「だんだん野戦病院のようになっていきました。スタッフは全部で220人ほどいるのですが、その体調管理が大変でした。毎朝、体調を報告してもらって、少しでも規定に引っかかると出社停止という措置を今もとっています」という。

  • “めざましファミリー”の出演者たち (C)フジテレビ

■エンタメ情報は何を伝えていくか

軽部真一アナウンサーを象徴とするエンタメ情報の充実も、『めざましテレビ』の特色だが、世の中がコロナ一色になったときから、番組ではどのように位置づけて伝えていたのか。

「新型コロナウイルスをめぐる動きは、最初はそれ自体が何なのか分からないというところから、クルーズ船の集団感染があって、オリンピックの延期があって、志村けんさんが亡くなられて、緊急事態宣言が出て、そこから“家の中でどう楽しむか”と、どんどんフェーズが変わっていったと思うんです。その中で、朝の情報番組がしかめ面でコロナの重い情報をずっと伝えていると、視聴者はしんどくなってしまう。だからこそ、今視聴者が何を見たいんだろうということを各ジャンルで考えることを大切にして、エンタメはレディー・ガガさんのチャリティー、佐藤健さんと神木隆之介さんのYouTubeなど、できる限り明るい話題を中心に、軽部さんとも話しながら何を伝えていくのかを決めていきました」

そうした中、番組発の企画として、ゴールデンウイーク期間中に、アーティストやお笑い芸人が“おうちパフォーマンス”を繰り広げる「めざましおうちフェス」を連日放送。全国各地で開催してきたライブイベント『めざましライブ』や、月替りでアーティスト・俳優・芸人らがエンタメキャスターを務める「マンスリーエンタメプレゼンター」などで培ってきたつながりがブッキングに生かされ、JO1、高橋優、森山直太朗、江口洋介、梶裕貴、山崎育三郎、ミルクボーイ、ミキ、EXITといった豪華出演陣がパフォーマンスを繰り広げた。