ドラマ、映画、2.5次元舞台などを中心にさまざまな分野で活動する男性グループ・ハイスクールチルドレン(石橋弘毅、高橋奎仁、田淵累生、富園力也、福井巴也)が17日、新型コロナウィルス感染拡大防止により延期となっていたファンミーティングを「オンラインファンミーティング」と題して生配信した。

  • 上段左から福井巴也、高橋奎仁、田淵累生、下段左から富園力也、石橋弘毅

2018年夏、日本テレビにて放送されていたオーディション番組から誕生したハイスクールチルドレン。ファンミーティングはこれまで2018年12月、2019年5月にも行っており、3回目となる今回は、昨年10月のメジャーデビュー後初めての開催となる。さらに、5人でのイベントは10ヶ月ぶりということで、メンバーそれぞれが人気作品への出演で培ったスキルを持ち寄りパワーアップしたパフォーマンスを見せつけた。

ファンにとっても待望のイベントである今回。オープニングVTRが終了してステージの映像に切り替わると、デビュー曲「愛の鎖」で幕を開けた。

5人が声優として出演したオリジナルアニメーション映画『キミだけにモテたいんだ。』の挿入歌で、セクシーさと力強さの共存した、鎖で囚われているかのようなダンスが魅力の同曲。昨年のイベントで、デビュー決定の報告とともに初披露したときはハンドマイクを使っていたが、今日はヘッドセットを装着している。間奏のコンテンポラリーも含め、両手の指先まで使って楽曲の世界観を余すことなく表現した。

ここで挨拶と自己紹介をすると、ジャケットを脱いでおそろいのエンブレムとカラーベルトがついたシャツスタイルに。石橋の「懐かしいこの楽曲で盛り上がりましょう!」という曲振りで始まったのは、第2回ファンミーティングに合わせて用意された彼らのオリジナル曲「Sunrise」。ファンと一緒に踊ることができるキャッチーな動きは残しつつ、振り付けが一新されている。「愛の鎖」とは打って変わってポップな曲調を笑顔いっぱいで届けた。

「Fly Higher」も、第2回ファンミーティングで初披露されたオリジナル曲。ダンスナンバーで、センセーショナルなEDMサウンドと、淡々とした歌いぶりのAメロからサビに向かって徐々に熱を上げていく爽快感がたまらない。

続けて、同じ秋元康氏のプロデュースで活動する大先輩・AKB48の「フライングゲット」をカバーで披露。AKB48ではマイクスタンドを使って行われているリンボーダンスは田淵の腕を使って再現し、「NaNaNa」をもじった「ニャニャニャー」という歌詞もキュートに決める。彼ららしいパワフルでエネルギッシュなステージングではあるが、時折歌詞に合わせてしなやかな指使いで色気も見せ、男性ボーカルならではの新鮮さを感じさせてくれた。

そして始まったのは、アドリブシアター「ハイチルハウスの1日」。結成以来、同じ家に住んでいる5人。これまではそれぞれの仕事やレッスンの関係で一緒にいられる時間がそれほど多くなかったが、この春のステイホーム期間中はずっと一緒に過ごしていた。そんな彼らが「僕らの日常を垣間見てもらいたい」との思いで、この企画をメンバー自ら考案。スクリーンに表示される指令をアドリブで演じる。

高橋が初めてモノマネを披露、福井がすべらない話を披露など、メンバーにとってはハードルの高い指令が次々と出されるが、和気藹々とした雰囲気でクリアしていき、最後は「これからも仲良く5人一緒に暮らしていく」という指令が送られた。

白を基調とした衣装に着替えて再びライブコーナーへ移ると、まずSOL(from BIGBANG)の「EYES, NOSE, LIPS - JPN ver.」をカバー。失ってしまった恋人への未練や後悔を歌ったR&Bスローナンバーで、5人が2組に分かれて掛け合うように歌い上げる。サビではコーラスを加えてサウンドに厚みを持たせ、フェイクや下ハモで支える福井と田淵のボーカルが印象的だ。続けて披露されたBTSの「Not Today(Japanese ver.)」カバーでは、激しく細かいダンスをハイチルらしくアレンジして表現。まさかの選曲に驚くコメントも多数投稿され、そのかっこよさに撃ち抜かれるファンが続出した。

豊かな振れ幅とポテンシャルの高さを存分に発揮したあとは、福井、高橋、田淵がステージに残ってMC。「Not Today」は、いろいろな動画を見ながら本番直前まで細かい振りを微調整していたと話す。

そして衣装チェンジ終わりの富園、石橋が学生服スタイルで登場すると、久しぶりの制服に二人はお互いを褒め合ってつい照れてしまうというかわいらしい一幕を見せながら、富園の描いたメンバーイラストが使用されている最新グッズを紹介した。

その後制服姿で戻ってきた高橋、田淵、福井に対して、石橋は「イケイケの先輩たちに囲まれてる気分」と一言。スマートフォンで配信画面のコメントを見ながら「どんな学生でしたか?」「ファンミの練習の思い出はありますか?」「『愛の鎖』のお気に入りのフレーズや振り付けは?」というファンからの質問に答えたあとは、本日ラストの一曲を前に、「パフォーマンスしてるとき、みんなの背中を見ながら『この光景は一生忘れないだろうな』って思って、胸に刻みました」(石橋)、「『愛の鎖』のときに僕が一番後ろから見ている縦一列の並び、めちゃめちゃエモくて! この景色をみんなに見てほしいなって思うぐらい感動しました」(富園)など、それぞれ今日の公演の感想を語った。

リーダーの福井が「これからも5人で切磋琢磨して成長していけたら」とまとめると、最後に『キミモテ』主題歌「ハイスクールプリンセス」のハイスクールチルドレンver.をライブ初披露。不器用でどこか残念な男子高校生たちが、「キミ」との出会いをきっかけに変わっていく――。そんな"恋と友情の物語"の主題歌らしく、ピュアで一途な恋愛感情を描いた楽曲だ。同作にメインキャストとしても出演した富園は、シーンによって表情をうまく使い分け、緩急がはっきりしたダンスも相まって独自の存在感を放つ。目まぐるしくフォーメーションが変化し、メンバーが入れ替わり立ち替わりセンターに立つほか、細かな手振りなど見どころいっぱいに仕上がった「ハイプリ」初披露。コメント欄は喜びの声で溢れていた。

「以上、ハイスクールチルドレンでした!」と深く頭を下げ、ステージから去るメンバー。これで配信は終了……かと思いきや、しばらくすると、手拍子が流れ出した。ファンもそれに合わせて「アンコール! アンコール!」とコメントしてアンコールが始まるという、リアルイベントさながらの演出で楽しませてくれている。

ラインストーンで胸に「HSC」と描かれたオリジナルのTシャツ姿で現れた5人は、初披露時を再現したかのような田淵の曲振りから続けて、ハンドマイクで「愛の鎖」を届ける。先ほどの質問コーナーでこの曲のお気に入りポイントとして「初披露したときの累生くんの曲振り」を挙げていた高橋は、歌い終えて「聞けた~!」と表情を緩め、ほかのメンバーも「楽しかった!」「気持ちよかった!」と口を揃えた。

改めて挨拶をしたあと、笑顔の中にどこか名残惜しさも感じる表情でカメラに手を振り続ける5人。その姿がフェードアウトし、初のオンラインファンミーティングは幕を閉じた。

ステイホーム期間において、ファンミーティングが延期になったり、出演舞台が中止・延期となってしまったメンバーもいる。しかし彼らはそんな状況下でも、5人で一緒に住んでいるという強みを生かして毎日のTikTok投稿や5人揃ってのインスタライブ配信を行い、ファンに楽しい時間を届けようと試行錯誤していた。今回はオンラインファンミーティングという形ではあったが、この経験も5人にとって今後大きな糧となるはずだ。メンバー個々、そしてハイスクールチルドレンのさらなる活躍に期待したい。