テレビ朝日系で放送中のスーパー戦隊シリーズ『魔進戦隊キラメイジャー』で6月28日に放送されたエピソード12「ワンダードリルの快男児」より、新たな戦士「キラメイシルバー」が登場した。
レッドは「ひらめきと想像力」、イエローは「eスポーツの名手」、グリーンは「最速スプリンター」、ブルーは「イケメンアクション俳優」、ピンクは「天才外科医」と、キラメイジャーはみな自分をキラキラと輝かせる"キラメンタル"の持ち主として、それぞれの才能を発揮しているが、「宝探し」をなりわいとする新戦士キラメイシルバー/クリスタリア宝路(たかみち)はどのような性格で、どんなキラメンタルを発揮するのか、それはこれからのエピソードにて明かされていくに違いない。キラメイシルバーがいかにして5人のキラメイジャーと深く関わり、共に力を合わせて戦う仲間となっていくのか、今後の展開に期待が持たれている。
キラメイシルバーのような、番組開始当初からのメンバーとは出自や目的の異なる「追加戦士」と呼ばれるキャラクターは、およそ1年間にわたって繰り広げられるスーパー戦隊のドラマにうねりを与え、活性化させるため、今や欠かせない存在になっている。ここでは、スーパー戦隊シリーズの「追加戦士」がいかにして生まれたのか、そのルーツを探ると共に、歴代シリーズにおける追加戦士のいくつかの変遷をご紹介してみたい。
スーパー戦隊シリーズにおける「追加戦士」の元祖は、第16作『恐竜戦隊ジュウレンジャー』(1992年)の第17話「六人目の英雄(ヒーロー)!」から登場した「ドラゴンレンジャー/ブライ」である。ジュウレンジャーの5人は1億数千万年前から現代まで長い眠りにつき、魔女バンドーラの地球襲来に備えていた正義の戦士たちだったが、ティラノレンジャー/ゲキの兄・ブライはとあるきっかけから弟に強い憎しみを抱いており、当初はジュウレンジャーに敵意をむきだしにして襲ってきた。ジュウレンジャーが5体の「守護獣」と共に戦っているのと同じく、ドラゴンレンジャーにもドラゴンシーザーという守護獣がおり、横笛のように扱って音楽を奏でられる短剣=「獣奏剣」というアイテムを用いて、意志を通わせることができる。
やがてゲキの命がけの説得によってブライの怨念が消え、強い兄弟愛がよみがえったため、大獣神の導きによってドラゴンレンジャーは晴れて「6人目のジュウレンジャー」として、共に悪と戦う仲間になった。しかし、そのときすでにブライの命は残りわずかであり、5人と別行動をとることを余儀なくされている。対立と和解を経て頼もしい味方になったものの、悲劇的な結末を迎えるブライのキャラクターは『ジュウレンジャー』のドラマを大いに盛り上げ、子どもたちから絶大なる支持を集めた。
ブライを演じたのが、シリーズ第9作『電撃戦隊チェンジマン』(1985年)でチェンジペガサス/大空勇馬役を務めた和泉史郎だったのも功を奏し、かつて『チェンジマン』のファンであり、7年の時を経て子どもと一緒に『ジュウレンジャー』を観るようになった若いお母さん層からの人気も熱く高まった。ドラゴンレンジャーの人気があったからこそ、スーパー戦隊シリーズのドラマを盛り上げる意味で、途中から「追加戦士」をレギュラー入りさせる手法が積極的に採り入れられるようになったのだ。
ドラゴンレンジャーは、5人のジュウレンジャーとシルエット的にはほぼ同じ「戦隊スーツ」姿でありつつも、胸のドラゴンアーマーや専用武器・獣奏剣、専用変身アイテム・ドラゴンバックラーなど独自の意匠が盛り込まれており、追加戦士ならではの"特別感"をかもしだしている。これは、最新の追加戦士・キラメイシルバーにも受け継がれている伝統的な要素である。