新番組『魔進戦隊キラメイジャー』(2020年3月8日に第1話を放送)が早くも子どもたちの人気を集めている。キラメイジャーのヒーローキャラクター、および誕生の経緯はすでに映画『魔進戦隊キラメイジャー エピソードZERO』(スーパー戦隊MOVIEパーティー)にて語られているが、テレビで放送された第1話は、4人のキラメイジャーに1人の高校生・熱田充瑠がキラメイレッドとして加わり、5人の仲間が揃うまでが描かれた。

  • 塚田英明(つかだ・ひであき)。1971年生まれ。1994年に東映入社。1995年『名奉行遠山の金さん(第7シリーズ)』でプロデューサー補となり、2004年『特捜戦隊デカレンジャー』、2005年『魔法戦隊マジレンジャー』、2007年『獣拳戦隊ゲキレンジャー』ではチーフプロデューサーを務めた。東映テレビ企画制作部次長

『キラメイジャー』チーフプロデューサーを務める塚田英明氏へのインタビュー後半では、"魔進"という言葉がいかにして採用されたかの詳しいいきさつ、円熟したスタッフにまつわるエピソードを尋ねた。

――各俳優陣のキラキラもすばらしいですが、変身後のキラメイジャーも身体の各所がキラキラ輝いていて、とても注目を集めるデザイン、造型ですね。特に、番組スポットで初お目見えとなった「全員名乗り」はこれまでにない斬新なスタイルで、本作が「華麗さ」を打ち出していることをうかがわせていますね。

あの全員名乗りはアクション監督の福沢(博文)さんが「今回はバレエの"リフト"で名乗りをやりたい」と提案したのが始まりです。実際に出来上がった映像を観たとき、僕たちもびっくりしましたからね。とても思い切った名乗りに仕上がっています。

――今回はキラメイジャー5人それぞれに、5体の"魔進"が相棒となって活躍するそうですが、魔進の声に今をときめく人気声優さんたちを起用されたことも話題となりました。

過去に『爆竜戦隊アバレンジャー』(2003年)で、ヒーローのパートナーとして会話する「爆竜」を設定したことがありましたから、魔進すべてにキャラクターをつけると描き分けるのが"大変だぞ"と思いました。ですが今は、これまでやってきた経験値の中でどういうことが可能なのか、ある程度判断できるようになったという強みがありますね。

魔進ファイヤの鈴村健一さんをはじめ、声優のみなさんもうまくキャラクターにはまり、魔進はけっこうおもしろく動かせているんじゃないかと思っているんです。過去に経験した部分とまったく未知数な部分があるので、「ここはうまくいくかどうか分からないけれど、うまく行ったら面白いだろうな」という読みも含めて、いろいろな要素のせめぎあいで作っています。

声優さんのキャスティングについては主に望月(卓/プロデューサー)や瀧島(南美/プロデューサー補)が頑張ってリストアップもしながら、オーディションで最高の人材を選んでくれました。

――ネーミングについてですが、「魔進戦隊キラメイジャー」の「魔進」というワードはどのようにして生まれたものなのでしょう。

〇〇戦隊の〇〇には、最初はメジャーな言葉を入れようと思ったんです。でも「宝石戦隊」というのは男の子っぽくなくてダメかなと思って、むしろ宝石よりは変形後の"乗り物"を推せばいいかなと考えたんです。そこで「マシン」の当て字として「魔進」を思いついたんです。魔進の「進」という文字がヒーローっぽいじゃないですか(笑)。

――特撮ファン的に「魔進」といえば、『仮面ライダードライブ』(2016年)の「魔進チェイサー」(後の仮面ライダーチェイサー/チェイス/演:上遠野太洸)をどうしても思い出してしまいます。さらには今回、キラメイグリーンの相棒として「魔進マッハ」が出てきたりと、『ドライブ』の2号ライダー・仮面ライダーマッハ(詩島剛/演:稲葉友)をも想起させるネーミングまで出てきましたね。

これについては僕も『ドライブ』のことを知っていますので、現在『週刊ビッグコミックスピリッツ』(小学館)で連載中の『風都探偵』でご一緒している脚本家の三条陸先生(『仮面ライダードライブ』メインライター)に「"魔進"という漢字をあててもいいか」とお尋ねしました。そうしたら快くOKをもらったので、ありがたく新戦隊のネーミングに使わせてもらったのです。

「魔進マッハ」については、まったくの偶然ですね。瀬奈が陸上選手で、キラメイグリーンはスピードの戦士なので相棒が「マッハ」になったんですが、『ドライブ』にも「マッハ」がいたことは、SNSで『キラメイジャー』に関するリアクションを読んだとき「確かに! マッハも『ドライブ』かぶりだ」と気づいたくらいで、まったく意識していませんでした。

――脚本に荒川稔久さん、監督に山口恭平さんを起用されたいきさつを教えてください。

僕は荒川さんが書くキャラクターやセリフが好きなので、「スーパー戦隊」のプロデューサーを久しぶりに務めるにあたって、ぜひお願いしたいと思っていました。

僕や荒川さんが参加して、メイン監督もベテランの方だと以前と同じような布陣になってしまうので、変化をつけるべく、これまで「仮面ライダー」を手がけてきた山口監督に来てもらいました。山口監督は『仮面ライダーW』(2009年)で助監督をやっていたころから知っていて、映像的センスも申し分ありません。

ここ数年は杉原(輝昭)監督、上堀内(佳寿也)監督と、仮面ライダーからスーパー戦隊に移り、メイン監督をやるケースが続いていて、僕もこの"トレンド"に乗っかって見えることにだけ抵抗こそありましたが(笑)、この作品ではぜひ山口監督の感性にすべてをゆだねてみようと思っています。

『魔進戦隊キラメイジャー』をぜひたくさんの方たちにご覧いただいて、応援してほしいと思います!

(C)2020 テレビ朝日・東映AG・東映