世界中で感染拡大を続ける新型コロナウイルス。5月4日には、日本国内における緊急事態宣言の延長が発表されました。先行きが不安な中、経済への打撃も深刻なものとなっています。実体経済の落ち込みだけでなく、金融資産をお持ちの方は、その動向が気になるところでしょう。

iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)やつみたてNISA(積立NISA)で積立投資をしているなら、今のような時にはどうすればいいのでしょうか。本稿では、株価が暴落している時のiDeCoやつみたてNISAの対処法や考え方について解説します。

  • 株価暴落時にiDeCoやつみたてNISAはどうするべき?

新型コロナウイルスによる経済への影響は

新型コロナウイルスの影響により、3月には景気指標に歴史的な記録が相次ぎました。アメリカのダウ平均株価(ダウ工業株30種)は、3月16日に3,000ドル近く暴落し、これは過去最大の下げ幅となりました。日経平均株価も3月9日~13日の週には、9日に1,050円99銭安、13日には1,128円58銭安と急落しました。この週だけで、前の週から3,318円70銭安と、下げ幅は過去最大です。

しかし、3月23日の週からは一転し、大きく上昇しています。これは、日銀が上場投資信託(ETF)の購入枠を倍増すると決定したためです。24日には1,204円57銭高、25日には1,454円28銭高と値を上げています。この週の上げ幅は、2,836円60銭となり、週としてはこちらも過去最大でした。

このように、3月には乱高下を繰り返した日経平均ですが、4月30日になると終値は2万193円となり、ひとまずは3月6日ぶりに2万円台を回復する形となりました。今後どのような流れとなるかは明確ではありませんが、新型コロナウイルスの感染拡大が収束に向かわない以上、不安定な展開が続くと予想されます。

こうした中、iDeCoやつみたてNISAで積立をしている人は、今回の世界同時株安によって「資産が減ってしまった」と非常に不安な思いでいることでしょう。特にiDeCoは、昨年2019年に「老後資金2,000万円問題」が起きたことで、この制度を活用して多くの人が老後資金の準備をスタートさせたタイミングでした。

iDeCoやつみたてNISAの投資信託も短期間のうちに大きく値下がりし、「このまま積立を続けていていいのだろうか」と悩んでいる人は少なくないはずです。では、このような局面では、どうするべきなのでしょうか。

株価が暴落している時に取るべき対応

まずお伝えしたいのは、投資による「勝ち負け」を今の時点で判断する必要はないということです。iDeCoもつみたてNISAも、「長期・分散・積立」という投資の王道に則って資産を積み上げていく方法です。

長い間をかけて積立を行うということは、そもそも、今回のように大きく値を下げる局面に立ち会うこともあるはずなのです。そして、短い期間で見れば大暴落でも、長い目で見れば利益を出すチャンスはまだまだ充分にあります。

つみたてNISAは2018年1月に始まったばかりの制度ですので、その頃から始めていても、たった2年あまりのうちにこのような大暴落に遭ってしまい、失望したかもしれません。しかし、一時の値下がりだけでパニックになって売ってしまえば、ここで損失を確定させることになり、非常にもったいないのです。むしろ、安い時に多くの量を買えることで、上昇に転じた際には投資効果の高まりが期待できると考えるべきです。

一方のiDeCoについては、「資産が目減りして不安だから、掛金を減らすべきではないか」と考えている人も多いのではないでしょうか。しかし、基本的にはその必要はありません。

iDeCoは、毎月同じ額を拠出する「毎月定額拠出」を選択している人が多いですが、この場合、買い付けは月に一度行われます。つみたてNISAと同じ考え方で、この時期は安値で多くの量を買えるため、市場が高値圏に回復した時には利益を大きくできるからです。

ただし、長期間積立をしていると、様々な理由で掛金を捻出することが難しくなることもあります。たとえば、出産や育休で収入が減った、子どもの教育費がかさむなど、家計負担が大きくなった場合です。

新型コロナウイルス感染拡大においても、収入が激減したり、生活スタイルの変化で出費が増加したりした人が大勢います。このように、これまでと同額の積立が難しくなってしまった場合には、柔軟に掛金を減額しながら積立を継続しましょう。

今回の株価暴落で、ショックを受けた人は多いでしょう。しかし、繰り返しになりますが、長期投資をしていれば必ずと言っていいほど、こうした局面を迎えることがあります。もし積立を開始したばかりであるなら、投資額が少ないうちにこうした経験ができたことは、むしろ喜ばしいことです。

一方、運用期間が長くなり拠出額が大きくなるほど暴落時の影響も大きくなりますが、それでも総額に対しては限定的です。長期投資の基本を改めて確認し、継続していきましょう。

株価暴落も資産形成のチャンスに

株価値下がりの時期には心配が尽きませんが、今後上昇する可能性を考えれば、希望が持てるものです。100年に一度の金融危機と言われた「リーマン・ショック」も、市場は時間をかけて乗り越えてきました。

その一方で、今回のような事態に備えるためには、いざという時の現金を確保しておくことが非常に重要です。収入減を想定し、半年程度の生活費を準備しておきましょう。

さらに、資産全体を見渡し、個別株や投資信託、預貯金などのバランスを確認しておくことも大切です。今回の暴落をただのピンチではなく、資産形成のチャンスと捉え行動していきたいものです。

武藤貴子

ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ネット起業コンサルタント
会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやマネーコラムの執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルティングを行うとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中