一般的に、FXは24時間ノンストップのマーケットのため、株式市場のように窓が開くことは珍しく、窓が開くとしたら、週末となる金曜のニューヨーククローズと月曜のシドニーオープンの間に限られます。

つまり、マーケットが週末の休みに入った土日に、なんらかの要人発言や、イベントや事件が発生したことによって、相場水準の乖離が、金曜のニューヨーククローズと月曜のシドニーオープンの間で生じるということです。

この乖離を一般的に「窓」と呼びますが、マーケットにはこの窓を埋めようとする習性があります。これを窓埋めと言いますが、私はあえて「狭義の窓埋め」と呼んでいます。なぜなら、もっと拡大解釈した「広義の窓埋め」が存在し、狭義の窓埋め以上に頻繁に出現するからです。

まずは広義の窓ですが、ロウソク足の大陽線、大陰線、連続陽線、連続陰線のことを言います。

  • ユーロ/円 1時間足 (広義の窓 大陽線)

こうした窓が開くと、それを埋めようとする習性が相場にはあります。これを広義の窓埋め、通称「リターンエース」と呼んでいます。

リターンエースとは、テニス用語で打ち込まれたサーブを打ち返して得点を得るものです。まさに、大陽線、大陰線、連続陽線、連続陰線といった勢いのあるロウソク足を打ち返して、その後の反転で稼ぐというものです。

しかも多くの場合、たとえば大陽線であれば、大陽線のスタート近辺まで戻すというもので、結構な収益チャンスになると言えます。

ただし、注意が必要なのは、これも大陽線を例にとれば、急上昇することによって、いったんショート筋のポジションもロスカット的に買い戻され、また一握りのロング筋も利食われて、マーケットがスクエア(ポジションなし)になるため、相場は高止まりします。

そうしたときにありがちなのが値ごろ感(この辺なら、売ってもいいかな? 買ってもいいかな? といった感覚的なもの)からの売りで、マーケットがスクエアのところでショートになるため、そのショートが相場が下がらず買い戻しになると、もう一段上げも見られるため、急騰後すぐには、売りで攻めても、あまりうまくいきません。

12時間から24時間ぐらいの時間がかかってから初めて、リターンエースの機能が働き始めると考えるべきかと思います。つまり、焦る必要はまったくなく、むしろ下がり始めてから追撃売りするぐらいでちょうどよいと思ってください。

そして下げはじめ、多少の紆余曲折はあるものの、結局、大陽線のスタート点近辺で、下げは一服するのが一般的です。

  • ユーロ/円 1時間足

このリターンエースは、結構頻繁に出現しますが、出現したら、窓を埋めるあるいは、ほぼ埋めるところまで行くと見てよいように思います。

それでは、いったいなぜ、往って来い(一方に進むが、その後折り返して元に戻ること)になるかですが、正直なところはよくわかっていません。

しかし、あえて推測しますと、大陽線の場合で申し上げれば、たぶん急騰後、売っても下がらず、むしろ反発することによって、マーケットのセンチメントがブル(強気)になり、その後の下落過程で買い下がっては投げる、いわゆるジリ安状態になるためではないかと思われます。

このようにある形状が出現すると、その後の傾向がかなりの程度で読むことができる場合は結構あります。

例えばジリ高なども、高い確率でマーケットがショートで上昇を続けることが予想できます。

  • ドル/円 1時間足(ジリ高)

この場合は、右肩上がりの対角線状になっていることから、マーケットがショートであることがわかります。

相場に勝つためには、いろいろな工夫が必要です。今日ご紹介したリターンエースやジリ高が、きっとお役に立つものと思います。