もしも中古車を買うのであれば、「モノはいいのにすっごく安い」という、いわゆる「掘り出し物」を見つけたくなるのが人情でしょう。しかし、中古車に掘り出し物ってあるのでしょうか? その有無と探し方について中古車ジャーナリスト・伊達軍曹さんにズバリ解説してもらいます。

  • フォルクスワーゲン

    中古車に「掘り出し物」ってある? 伊達軍曹さんに聞いてみた(画像はイメージです)

絶対ではないが、基本的に「掘り出し物」はないと思え

中古車における「掘り出し物」について語ってほしいと、この男は言う。「この男」というのはマイナビニュース編集部のQ氏であり、言われているのは中古車評論家である不肖わたくし、伊達軍曹である。

わたくし伊達は、「貴様、ふざけたことを言うな!」と一喝した上でQ氏を右正拳で殴り倒した――というのは完全に嘘だが、おおむね以下のとおりの説教をした。

まず第一に「掘り出し物」の定義だが、おそらくは「程度がけっこういいのに、その割に平均的なプライスよりめちゃ安い」という中古車を指していると思われる。

ハッキリ言って、そんなものはない。いや、「絶対にない」とも言い切れないため、言い直そう。「そんなものはほとんどない」と。

爆安な中古車には「理由」がある

例えば、Aという車種の中古車平均価格が仮に100万円だった場合、もちろん、市場には50万円くらいの物件も流通している。そして、なぜそれが100万円ではなく50万円なのかといえば、理由はたいてい以下のとおりである。

■その中古車が爆安な理由
・ボロいから
・壊れてないけど、近いうちに壊れてもおかしくないコンディションだから
・もしくは、すでに壊れてるから
・その他

上記のようなダメダメコンディションではない中古車も当然ながら市場には多いが、販売店としてはそういった商材、つまり放っておいてもそれなりの利幅が期待できる優良商材の売価を、わざわざ大幅に下げる意味などないのである。当然の話だ。

「でも、不人気カラーだからとかの理由で大幅安になる中古車もあるって、どこかで読んだような気が……」

まだ食い下がるQ氏だが、わたしは冷酷に言い放った。「確かにあるが、“大幅安”ではない」。平均100万円ぐらいの車種の場合、色による影響は5万円とか、せいぜい10万円とか、そんなモンである。

「なら高いやつを買えばいい」かといえば、実はそうでもない

「じゃあ逆に、平均価格よりうんと高い中古車を買えば、必ず安心できるということですね?」

いや、その考え方もまた間違っている。

「ど、どうして?」

故・野村克也監督もおっしゃっていたではないか。「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」と。

「……?」

つまりだね、平均価格よりうんと安い中古車にはたいていの場合、前述したような「うんと安い理由」がある。だが、平均価格よりうんと高い中古車は――まあ、たいていはグッドコンディションだが、しかし中には「ただ単に高い。そこに特に意味はない」という中古車もあるのだ。

「そんな……。それじゃ、中古車には夢も希望もないじゃないですか!」

いい年こいて泣き出してしまった編集部Q氏である。かわいそうなので、いわゆる掘り出し物中古車を探し出す方法を――それはQ氏が期待していたほどの「うまい話」ではないのだが――お教えすることにしよう。

それでも割安に買うための「格安中古車選び3箇条」

不肖筆者が考える、まあまあ掘り出し物といえる格安中古車を上手に探し出すための3箇条である。

1.店舗が豪華でスタッフの数が多すぎる店は避けよ

自分で商売をやっている人ならわかると思うが、豪華な事務所を構えて人をバンバン雇うなら、かなりの利益を取らないとやっていけない。それゆえ、そういった豪華&多人数系の店には、「かなり安いのにモノはいい」という利幅の薄い商品は、基本的には存在しない。

2. 不人気色に注目せよ

先ほどもちらっと申し上げたが、不人気カラーの中古車はいくぶんだが安くなる傾向がある。具体的には赤、青、黄、緑などのビビッドなカラーが日本では不人気で、茶色系も人気がない。茶色、カッコいいと思うんだけどね。

3. 一部の「走行10万キロ超物件」をチェックせよ

走行距離10万キロを超えると、中古車の値付けは途端に安くなる。もちろん、多走行なりのイマイチな物件も多いが、なかには「かなりビシビシ整備されてきて、総合的なコンディションは下手な5万キロ車より断然いいのに、10万キロを超えているというだけの理由で安い値付けになった」という中古車もある。

そういった物件の前オーナーはたいていの場合、「カーマニア」か「神経質な人」だ。そのような人物が所有していた物件におおむね共通する特徴は以下のとおりである。

■「カーマニア」あるいは「神経質な人」が所有していた物件の共通点
・距離の割に内装がすっごくキレイ
・ボディの四隅に小キズやそれを直した形跡がない
・変な改造箇所が1カ所もない
・整備記録簿の記載内容がディープで、記録簿に載せきれない日頃の整備の「伝票」とか「明細」も数多く残っている。

  • お買い得な中古車を探すなら、ビビッドなカラーの中古車が狙い目だ(画像はイメージです)

この3箇条を意識すれば、「掘り出し物」に巡り会えるかどうかは知らないが、少なくとも「けっこうお得な買い物」ができる可能性は高いだろう。

ということで、諸君らの「正しい健闘」を祈る。

伊達軍曹(だてぐんそう)

1967年東京都出身。外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、大手自動車メディア多数に記事を寄稿している。中古車選びの流派「伊達心眼流」の創始者(自称)。