ラジオ局のTOKYO FMは6日より、新型コロナウイルス感染症によって休校する学校の生徒やテレワーク中の社会人、外出自粛によって在宅の日々をおくるリスナーに向けたステーションキャンペーン「Stay Home Stay Tuned TOKYO FM」を開始した。

休校が続く子どもたちからの相談に専門家が答える「子どもリモート相談室」や、リモートワーク中の社会人を対象とした「リモートワークリクエスト」などの企画をスタートし、自治体からの外出自粛要請を受けて在宅での生活を送るリスナーをラジオで応援する。

  • 「Stay Home Stay Tuned TOKYO FM」キャンペーンロゴ (画像提供:TOKYO FM)

    「Stay Home Stay Tuned TOKYO FM」キャンペーンロゴ(画像提供:TOKYO FM)

「Stay Home Stay Tuned TOKYO FM」キャンペーンの趣旨や具体的な取り組みについて、同局編成制作局次長兼編成部長の宮野潤一氏、編成部・大畠順子氏にリモートで取材した。

■「相談や提言に耳を傾ける、掲示板的な役割を」

大畠氏:午前ワイド『Blue Ocean』(毎週月~金曜日 9:00~11:00)では、休校が続く子どもたちからの悩み相談に専門家が答える「子どもリモート相談室」を開始しました。すでに子どもたちからは「友だちの家に遊びに行ってもよいか」「日に日に朝起きる時間が遅くなっている」などの悩みが寄せられており、番組を通じて医師らが回答しています。

夕方ワイド『Skyrocket Company』(毎週月~木曜日 17:00~19:48)ではリモートワーク中の社会人を対象とした「リモートワークリクエスト」を実施し、リスナーからは楽曲のリクエストとともに、リモートワークにまつわるエピソードや効率的な裏技・失敗談が寄せられています。

また、リモートワークのエピソードを紹介したら、リモートワークができない方からメッセージが寄せられたりもしました。「働く会社員を応援するラジオの中の会社」がコンセプトの番組なので、ラジオを通じてたくさんの“同僚”がいることを感じていただけたらと思います。

宮野氏:一斉的な外出禁止、テレワークや休校で在宅率がますます増え、生活者のストレスは計り知れません。もう長いことテレワーク状態で孤独な状態にあるという声も聞きますし、実際に番組へはこうした方々からのメッセージが寄せられています。報道の側面ももちろん大切ですが、テレビや他媒体と違うラジオならではの役割は、どこか「癒し」を提供することにあると考えています。

私たちの放送は、FMらしく音楽を中心に構成しながら、日ごろからリスナーからのメールで相談や提言に耳を傾ける存在であると思っています。「Stay Home Stay Tuned TOKYO FM」キャンペーンには、掲示板的な役割として『大変な毎日だけど、あなたのそばにはTOKYO FMがいる』という寄り添いのメッセージを込めています。

■制作現場での感染防止対策は

ラジオ各局ではブース内の出演者席に飛沫防止用のアクリル板を設けたり、スタジオへの立ち入り人数を厳しく制限するなどウイルス感染防止のための対策が行われているが、TOKYO FMの制作現場では具体的にどのような体制が取られているのか。大畠氏に聞いた。

  • 『SCHOOL OF LOCK!』(毎週月~金曜日 22:00~23:55)放送中のスタジオ。出演者席は飛沫感染防止のアクリル板で区切られている。(画像提供:TOKYO FM)

──スタジオ・社屋の感染防止対策は?

大畠氏:とにかく出演者の安全確保を第一に考え、対策を行っています。社員については番組制作関連セクション以外原則テレワークとし、放送業務に直接関わる方以外の社屋立ち入りを原則禁止としています。

生放送スタジオ内には次亜塩素酸水を噴霧するウイルス除去装置を設置しているほか、ドアは開けたままとし、換気を実施しています。放送ブースへの立ち入りはゲストをふくめ原則3名までとし、スタジオ使用前後はマイク、デスク、その他機器を含めて毎回アルコール消毒・ウイルス除去スプレー噴霧を実施しています。

──「3つの密」(密閉、密集、密接)対策は?

大畠氏:「3つの密」を回避するため、当社11階のレストランを出演者との生放送・収録前の打ち合わせスペースとして開放しているほか、それ以外の打ち合わせについては当社2Fの「TOKYO FMホール」を開放しています。

──番組収録に際して導入している仕組みは?

大畠氏:オンライン会議ツールの「Zoom」や「Skype」、「FaceTime」を使った生放送や収録を行っているほか、万が一感染者や濃厚接触者が出た場合に備えて社屋の別フロアや別の建物に複数所有する生放送可能なスタジオを稼働できるようにしています。

──現場として意識していることは?

大畠氏:番組内容としては、特に生ワイドには日々、リスナーから街の生の声が届くので、出来る限り寄り添った放送であるように、という姿勢で制作しています。

普段とは全く違う制作体制に慣れない部分もありながら、とにかく出演者にとって安全な環境を確保することを第一に考えています。

「まずやってみよう」と技術部門のスタッフと協力しながら新しい手法にチャレンジしているので、「新型コロナウイルスが落ち着いた後には、この収録手法の経験が新しいラジオのフェーズに活きるかもしれない」という声もあがっています。

■「アーティストからの『宅録楽曲』が続々寄せられてる」

未曾有の災害において、ラジオに安心や癒やしを求める人は多い。2011年の東日本大震災でも、多彩な音楽やパーソナリティのトークに「安心できた」という声が多く聞かれた。4月9日現在も国内の新型コロナウイルス感染増加のペースは衰えておらず、終わりの見えない自粛に街中が包まれている。そんななか、TOKYO FMが考える「ラジオの役割」とは──。大畠氏が語る。

大畠氏:ネットやSNS上に情報が氾濫し、先が見えない不安感からデマもすごい勢いで拡散されています。このような状況下では不安が増幅してしまいがちですが、ラジオを通じて専門家や“匿名ではない”責任ある発言者から情報を聞くことで安心を得られる面もあると思います。

FMラジオとは切っても切り離せない存在の音楽も、ライブイベントの中止によって大きな打撃を受けています。しかし同時にさまざまなアーティストから、自宅で録音した楽曲や音源がTOKYO FMに続々寄せられています。こうした素敵な音楽も、ラジオを通じて届けていけたらと思います。

特にいま、10代のみなさんに「登校」して欲しいのが、「ラジオの中の学校」というコンセプトで放送中の番組『SCHOOL OF LOCK!』(月~金曜日22:00〜23:55 パーソナリティ:さかた校長、こもり教頭)です。平日毎晩22時に開校して15年目となりましたが、自宅でラジオをつけるだけで登校できますし、リスナーはこの学校の「同級生」という位置づけで、みんなそれぞれ想いや悩みを番組を通じて共有し、つながり合っています。

6日には(コロナウイルスにともなう休校にちなんで)『新学期が始まらない。』というテーマで、「受験勉強が不安だ」というリスナーに電話を繋いだり、7日には「外出自粛の中、今日は何して過ごしていたか?」をテーマに放送しました。

在宅が増え、人との対面でのコミュニケーションが激減していますが、そんな今だからこそ『距離が近く、生の声を拾える』メディアであるラジオとして役割を果たしていけたらと思います。

著者 : 天谷窓大(あまやそうた)

ラジオ・テレビ制作を経て現在フリーライター。特技はイベントやラジオの実況ツイート。得意分野は広告・メディアビジネス・イベントカルチャー。過激な会社への行き方を極める「エクストリーム出社」を提唱。日本最大級の焼き芋フェス「品川やきいもテラス」の立ち上げにも参加するなど、カルチャー系イベントディレクターとしても活動中。著書に「サラリーマンは早朝旅行をしよう!」(SB新書)。 Twitter: @amayan