「大人のための変身ベルト」をコンセプトに開発されたバンダイの「COMPLETE SELECTION MODIFICATION (CSM)」の第27弾として、2004年放送の『仮面ライダー剣(ブレイド)』に登場した仮面ライダーギャレンの変身ベルト「ギャレンバックル&ラウズアブゾーバー&ギャレンラウザー」が商品化される。

  • 仮面ライダーギャレン/橘朔也を演じた俳優・天野浩成 撮影:大塚素久(SYASYA)

『仮面ライダー剣』は、2004年1月25日から2005年1月23日まで、テレビ朝日系で全49話を放送した連続テレビドラマである。本作では、4人の仮面ライダーのデザインや、変身・戦闘に用いられるアイテムに「トランプ」カードが採用され、極めてスタイリッシュなキャラクターが生み出された。

仮面ライダーギャレン/橘朔也は、BOARD(人類基盤史研究所)に属する仮面ライダーブレイド/剣崎一真の先輩格。ライダーシステム第1号の適格者として、不死生物アンデッドをラウズカードに封印するために戦っている。生真面目すぎる性格のため敵に騙されることが多く、ブレイドと何度も争ったものの、数回の激突を経て理解し合ってからは固い絆で結ばれた。また、邪悪な力に取りこまれそうになった仮面ライダーレンゲル/上条睦月を正しき道へと導くべく訓練を行うなど、頼もしい兄貴分として存在感を発揮した。

ここでは「CSMギャレンバックル&ラウズアブソーバー&ギャレンラウザー」発売を記念して、仮面ライダーギャレン/橘朔也を演じた俳優・天野浩成にインタビューを敢行。16年前のテレビ放送以来、キャスト同士の交流が続いているという『仮面ライダー剣』という大切な作品への出会いから、撮影時の裏話、そして若い俳優たちを鍛えてくれた数々の監督陣への思いを訊いた。

――『仮面ライダー剣』のギャレン役に決まったとき、どんなお気持ちだったのでしょうか。

マネージャーさんから「仮面ライダーのレギュラーが決まったよ!」と電話で連絡を受けたのが最初でしたね。そのころ僕は25歳だったので、まさか仮面ライダーになる役じゃないだろうな、決まったとしても「敵」の役だろうなって思っていたんです。それで「受かりましたか。よかった。何の役ですか?」と尋ねたら、仮面ライダーだと言われたんです。それまでの仮面ライダーシリーズから見ても、変身するのはもっと若い年齢の人だと思っていたので、初めは信じられなかったですね。

――平成仮面ライダーシリーズが続いていたことはご存じでしたか?

同じ事務所の若い俳優たちがオーディションを受けていましたし、その当時仮面ライダーを放送しているんだな、というのは知っていましたよ。でも、僕の子ども時代は仮面ライダーシリーズの放送が、たまたまなかった頃でした。どちらかといえば、大人になってからしっかりとその存在を意識したという感じです。でも不思議なことに、幼い頃の写真を見ると、仮面ライダーの自転車に乗っていたりするんですよね(笑)。

――クールな性格で、ブレイド/剣崎の先輩ライダーという橘を演じるにあたり、どのような思いを抱かれましたか。

演じてみて、やりづらいと思ったことがないんです。主役である剣崎の「先輩」だからこそ、年齢が上でも仮面ライダーになれたのかなと思いました。実際、メインキャストの中では僕が一番年上でしたから、このチームで1年間頑張っていこう、と張り切っていました。

――ブレイド/剣崎一真役の椿隆之さん、カリス/相川始役の森本亮治さん、レンゲル/上城睦月役の北條隆博さんをはじめとする『剣』共演者の方々とのチームワークはどんな感じでしたか?

撮影開始前の顔合わせの時から、みんな意気投合していましたね。特に椿や隆博とは、すぐ仲良くなりました。亮治とは、役柄的にも対立することが多かったので、お互いにコミュニケーションを積極的に取りに行かなかったところがあります。なかなか一緒の出番になることも少なかったですし。でも、たまに時間が合ったとき「ご飯行こうか」と言って一緒に食事に行ったりもしていました。亮治とはたぶん、今のほうが当時よりずっと仲良くしていますね(笑)。

――橘さんは潜在的な恐怖心が影響して体がボロボロになったり、ピーコックアンデッド/伊坂に騙されてブレイドを襲撃したり、恋人の小夜子が命を奪われたり、まさに波乱に富んだ1年を過ごしてきましたが、演じている天野さんは橘の置かれた状況が厳しいなと感じたりしませんでしたか。

役を演じているときは、そんなことを思う暇もなかったです。すべてが終わってから、今までのことを思い出したりすると、しみじみ「むちゃくちゃだなあ」と感じますけど。撮影中は、新しい台本が来るまで先のことがわからないですから、気にならないんですよ。 振り返れば、騙されたり、洗脳されたり、いろいろあったな……という気持ちにはなりますね。それまであった問題を解決したら、また次の問題へ、という意識で、毎回の台本に向き合ってきました。台本を読んで、ちょいちょい「ヘンだなあ」って思うときはありましたよ。パズルを完成させるのが怖くて、「そのパズルのピースは……俺が飲み込んだ」というセリフなんて特にね(笑)。モズクの漂う風呂に浸かっていたこともありました。あれって実際にモズクでしたからね。本当に、いろいろなことをしていたように思います。