●200%引き出してくれる曲を作ってくださる

――今回のアルバムでこれまでの歌手・声優活動の記録の一片が形として残ります。一方でこれからの活動についての決意のような思いが込められた新曲も1曲収録されていますね。

DICS1の最後に収録されている「We are stars!」ですね! この曲は、15周年ではあるけども、「みんなに、ありがとう」とか、「これからもよろしくね!」みたいな感動系ではないほうがいいよね、茅原実里らしい攻めのカッコいい曲のほうがいいよね、っていう方向性をスタッフさんと話して決めました。そのなかで「誕生」をテーマにしたいというリクエストを出して、「では誰に曲を作ってもらおうか?」っていう話になって。

――作詞・作曲・編曲はQ-MHzさん。

そうですね、その場で「Q-MHzさんはどうだろう?」という提案を受けました。Q-MHzのメンバーである畑亜貴さん、田代智一さん、黒須克彦さんは、昔から私を音楽で育ててくれた3人。それなら私のこともよくわかっている。私を100%……いや、200%引き出してくれる曲を作ってくださると確信できたんです。そしたら、案の定すごい曲がきて、ひっくり返りそうになりました(笑)。

――ひっくり返りそうに!

はい。歌だけじゃなくてセリフもラップもありと盛りだくさん。一度聞いただけでは曲の全貌が把握できなかったです。でも、これは“挑戦状”だと思いました。これを歌えと、これを超えて来いと言われている気がしたんです。だから、聞けば聞くほど火が付きましたし、どんどん好きになってハマっていきました。

――レコーディングはいかがでしたか?

Q-MHzのメンバーである田淵智也さんが録ってくださいました。仮歌も田淵さんが歌ってくださっていたのですが、その時のセリフの言葉数はもっと多かったんです。でも、尺の中に入り切らなかったので、短くしてもらいました。田淵さんは、お忙しいなかにも関わらず、激熱なディレクションをしてくださったんです。レコーディングは田淵さんのテンション感についていかなければ!と必死でした。

――必死になるくらいチャレンジングな曲でもあった。

滅茶苦茶チャレンジングでした。昨年のバースデーライブで初めて披露したのですが、どこかで躓いたり、噛んだりしたら曲に置いていかれて取り残されてしまうので、本当にスリリングでしたよね。リハーサルでもなかなか成功しなかったので、「どうしよう……!」っていうのが口癖になっていました。でも、本番ではバッチリでした!

――さすがです!

ありがとうございます! この曲、本当に素敵なんです。冒頭のセリフ部分は、私の歌手活動の原点となっている「雪、無音、窓辺にて。」とリンクしていますし、ラップやサビの部分はこれまでのことを思い出したり、これからのハッピーな未来を見つめることができる歌詞になっていて、感動します。あとは最後の"続きはこの先で…またね。"という歌詞。まだ旅の途中で、まだ終わらないよっていうメッセージでもあって。「これからもみんなと一緒に素敵な景色を見にいこう」ってワクワクしてくるんです。

――そういった意味では、これまでの活動を振り返りつつも、通過点の曲でもあるのかなと感じました。

そうですね。歌詞のなかにも「セーブポイント」という言葉出てきますが、まさにその通りだと思います。このベストアルバムを制作するとき、実は20周年のことも考えていました。アルバムのジャケットのイメージを相談しているとき、前回のベストアルバムとリンクさせて繋がりをもたせたくて、パズルやパズルのピースを歴史の象徴にしています。それから細かい部分では、「20周年が5年後にくるよ、そのときのここの色味はどうする?」っていう話が出て…。15周年の先を考えながらディスカッションできるスタッフがいるというのは、すごく心強いし素敵だなって感動したんですよね。

――10周年のときはそういう気持ちはなかった?

10周年のときはどちらかというと、ここで落ち着いてはいけない、ちょっと無理やりでも通過点にしなきゃという意識があったんです。当時は正直、「10年やってこられたから、ここから先はおまけだな」という気持ちもありました。ただ、15周年を迎えたいまはむしろ「これからだな」という気持ちでいるんです。10周年を迎えたとき、「LOVE LETTER」というアーティストブックを出させていただいたのですが、そのときに音響監督の鶴岡陽太さんと対談させていただいたんです。鶴岡さんは当時「10年経ってやっとスタートラインに立てたんじゃないか」とおっしゃられていて。すごいことを言うなと思っていましたが、今は「ああ、本当にそうだったのかもしれないな」と感じています。10周年のときよりも今のほうがやりたいことが増えている。幸せな15周年です。

――前向きな気持ちになれているんですね。素晴らしいお話すぎて感動しています!

やったー!!

――そんな茅原さんが今後やってみたいことは?

本当にいっぱいありますよ! まずはライブ、もう既に決まっているライブはありますが、今後もたくさんやりたいです。いつか海外で、バンドメンバーを連れて茅原実里の単独ライブをやりたい。あとは英語と中国語が喋られるようになる! そして、ファンクラブイベントである「MINORIN TRAVEL」の「in 山梨」をやる! 私は「やまなし大使」ですので、みんなにもっと山梨のいいところを知って欲しいなと思っています。あとは……ハワイ! この前初めて行ったのですが、大好きになりました。ハワイでできる仕事見つける……というか、ハワイに行きたいです(笑)。

――全部実現できる日が来ることを願っています! 最後に、茅原さんにとって「アニメ」「声優」「音楽」がいま、どういう存在になっているのか教えてください。

「アニメ」「声優」のお仕事は私を救ってくれました。だから“救世主”のような存在です。「音楽」は“生きがい”。私には歌がないと生きていけません。特にライブは欠かせない存在です。ライブがあるからこそ、そこに向かって生きていける、道しるべ的なところがあります。大好きなんです、あの場所が。

――ライブがあるから、頑張ろうと思える。

そうなんです。色々な活動をさせてらっているなかでライブが一番素直でありのままでいられる場所。私の歌を聞きに来てくれる人たちが目の前に確かに存在していて、そのみんなが全身全霊でライブを楽しんでくれてる。あのライブ空間には、何も嘘がありません。ライブは今も昔も変わらず、本当がそこにあると思っています。かけがえのない存在ですね。

●茅原実里 BEST ALBUM 「SANCTUARY II ~Minori Chihara Best Album~」
価格:3,600円(税抜)
《DISC1》
01.純白サンクチュアリィ
02.Paradise Lost
03.TERMINATED
04.SELF PRODUCE
05.境界の彼方
06.FOOL THE WORLD
07.会いたかった空
08.ありがとう、だいすき
09.恋
10.LOVE BLOSSOM
11.みちしるべ
12.Remained dream
13.夢幻SPIRAL
14.エイミー
15.We are stars!
《DISC2》
01.負けない(オリジナルピデオアニメ『天上天下ULTIMATEFIGHTJ』より)
02.雪、無音、窓辺にて。(TVアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』より)
03. Only Lonely Rain(TVアニメ『ヴィーナスヴァーサスヴァイアラス』より
) 04.桜舞うこの約束の地で(TVアニメ「がくえんゆーとぴあまなびストレート!』より)
05.覚悟決めや! (TVアニメ『一騎当千Dragon Destiny』より)
06.黙っと休み時間 (TVアニメ『らき☆すた』より)
07.桜笑み君想う (TVアニメ『D.C.II ~ダ・カーポII~』より)
08.過度の期待にご用心。(もしもチアキが歌ったらVer.) (TVアニメ『みなみけ』より)
09.逃しません・・・ですわ! (TVアニメ『咲-Saki-』より)
10.Be Together (TVアニメ『世紀末オカルト学院』より)
11.通し道歌 (TVアニメ『境界線上のホライゾン』より)
12.Because of "S"adness (TVアニメ『境界の彼方』より)
13.NAME OF FLOWER (TVアニメ『ノブナガ・ザ・フール』より)
14.My Treasure (TVアニメ『デート・ア・ライブII』より)
15.Borderless journey (TVアニメ『RAIL WARS!』より)

●ライブ情報
・TACHIKAWA STAGE GARDENグランドオープニング記念MinoriChiharaORCHESTRA CONCERT 2020「Graceful bouquet」
会場:TACHIKAWA STAGE GARDEN
出演者:茅原実里 東京21世紀管弦楽団
日時:5月30日 開場16:00/開演17:00
・「SUMMER CHAMPION 2020 ~MinoriChihara12th Summer Live~」
会場:河口湖ステラシアター
日程:
8月1日 開場15:30/開演16:30
8月2日 開場15:30/開演16:30
※詳細は後日発表