舞台『泣くロミオと怒るジュリエット』のプレスコールが7日に東京・Bunkamuraシアターコクーンで行われ、鄭義信、桐山照史、柄本時生、八嶋智人、段田安則が取材に応じた。

  • 左から鄭義信、段田安則、桐山照史、柄本時生、八嶋智人

    左から鄭義信、段田安則、桐山照史、柄本時生、八嶋智人

同作は、2008年に上演した『焼肉ドラゴン』で演劇賞を総なめにし、2018年には自身が監督を務め同作を映画化した、鄭義信のBunkamuraシアターコクーン初進出作。シェイクスピアの名作『ロミオとジュリエット』を下敷きにしながら、物語の舞台を自身のルーツである関西の戦後の港町に設定し、せりふは全編関西弁、キャストは全員男性で、初めての恋に突っ走る若い2人と、それを取り巻く不器用に生きる人々の純愛群像劇を繰り広げる。

主演の桐山は「めちゃくちゃ美しい世界のロミオとジュリエットです!」と主張するも、ジュリエット役が柄本と聞いた時は「時生!?」と驚いたという。「僕もロミオをさせていただけることについて、『僕が!?』と思いました」と振り返り、「(柄本は)お会いした時に、ザ・男の子で、最初に会った時に雪駄で来たので、どうなるんだろうという驚きと期待がありました」と表した。

柄本もジュリエット役と言われたときは「二度聞きはしました。お仕事ぜったい断らないと決めてるんですけど、初めて『考えてみたい』と言いました」と苦笑。しかし「頑張ればどうにかなるだろうし、そういうのを考えるのも嫌いではないので」と承諾したという。桐山については「親父と兄ちゃんと両方お仕事してて、桐山くんの噂は聴いてるんですよ。うちの家で。『桐山がいいぞ』って。兄ちゃんが、『桐山くん、役者だね』みたいな話をしてたのを覚えてて、それで、楽しみでした」と明かした。

初対面に近い段階でのビジュアル撮影では、「恋人なので、見つめあってもらっていいですか」という指示もあり、柄本は「ハッと目があった瞬間に、(桐山から)『どっちの目、見たらいい?』と言われて、『え……あ、右……』って。もう見させられてるんですよ、こっちが。かっこいい! と思って」とドギマギしていた様子。

桐山は「見つめあってるシーンで、終わって暗転になった時に、(肩を)トントンってするらしいんです。くせで、『お疲れ様』って。それが『口説きにいってるやろ』と、ずっと言われてる」と明かし、八嶋が「今までモテてきている男のやり口だなというのはありました」と指摘すると、桐山は「まあ当たり前ですよね」とキメ顔を見せた。

  • ”今までモテてきている男”の顔を覗かせる桐山照史

さらに桐山は「八嶋さんにいたっては、実家に帰って母ちゃんとしゃべってる気持ち。初日か2日目かに、元木聖也くんがアクロバットを披露した時に、帽子が落ちたんですよ。それが頭から落ちたように八嶋さんには見えたらしいんですけど、男だったら『危ない!』と手を差し出そうとするところを、八嶋さんが『はあっ!!』ってなってて、いの一番に役を掴んでる」と、口に手を当てている八嶋の様子を再現。

段田は「時生くんの姿、最初は大丈夫かいなと思ったけど、化粧してカツラしたら、私が大好きな竹内まりやさん」と表現し、桐山や柄本が「クレームきませんか!?」と心配する一幕も。鄭は改めて同作の構想について、「もともとシェイクスピアは男性ばかりで演じていたというのがあるんですけど、今回コクーンで初めてやるということで、実験的に。僕自身も男ばかりで、部室の匂いがするので違和感を持ったけど、男ばかりだからこそのパワーとか、かえって2人の愛情交歓が切なかったりするので、面白い作品になる」と語った。

鄭は続けて、「桐山くんの男っぽいところは、泣くロミオにぴったり。時生くんも見てるとだんだん可愛いなというところがあって、最後は時生で泣けるので、今はとてもベストカップルだと思っています」と太鼓判を押す。桐山も絵本について「稽古を踏めば踏むほど、『かわいい』と思うし、時生がやるジュリエットの癖が見えてきて愛おしくなったりしましたね」と愛情を見せた。

東京公演はBunkamuraシアターコクーンにて2月8日~3月4日。大阪公演は森ノ宮ピロティホールにて3月8日~15日。