2019年12月21日より、仮面ライダーシリーズ恒例の「冬映画」最新作『仮面ライダー 令和 ザ・ファースト・ジェネレーション』が公開されている。平成の最後を飾る『仮面ライダージオウ』と令和最初の『仮面ライダーゼロワン』が豪華競演を果たしたこの映画では、「ゼロワン誕生の秘密」というべき飛電或人(演:高橋文哉)の"原点"的なエピソードが語られるという。

人工知能搭載人型ロボット=ヒューマギアを"人間と共存する仲間"だと信じる仮面ライダーゼロワン/飛電或人のいる世界が、突如「ヒューマギアが人類を制圧している世界」に変貌。飛電インテリジェンス社長という或人の地位も、ヒューマギア・ウィルに奪われてしまった。或人は仮面ライダージオウ/常磐ソウゴと仲間たちの協力を得て、歴史改変の痕跡がある「12年前」にタイムトラベル。そこには「仮面ライダー1型」なる兵器を開発し、ヒューマギアを守るために戦う父・飛電其雄の姿があった。歴史改変の影で暗躍するタイムジャッカー・フィーニスの真の狙いとは何か? 世界のゆがみはどうなってしまうのだろうか? そしてゼロワン誕生に隠された親子の「夢」の物語の行方とは……?

映画の公開を記念し、マイナビニュースでは『仮面ライダー 令和 ザ・ファースト・ジェネレーション』のキャスト&スタッフのインタビューを掲載している。今回は『仮面ライダーゼロワン』のメイン監督としてストーリーの方向性を定めるパイロット(第1、2話)を手がけ、さらに「エピソード0」というべき今回の映画でメガホンを取った杉原輝昭監督が登場。昨年『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』で初めてメイン監督を務め、熱きキャラクタードラマで視聴者を魅了した杉原監督は、『ゼロワン』と『ジオウ』の共演映画でどのような"感動"と"興奮"をわれわれに与えてくれるのだろうか……!?

  • 杉原輝昭(すぎはら・てるあき)。1981年生まれ。東映テレビ・プロダクションで「仮面ライダー」シリーズと「スーパー戦隊」シリーズの助監督を務めた後、2016年『動物戦隊ジュウオウジャー』で監督デビュー。以後『宇宙戦隊キュウレンジャー』(2017年)でも監督を務め、2018年『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』でメイン監督となり、第1話、最終話を含む16本のエピソードと劇場版を手がけている。撮影:宮川朋久

――昨年の『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』(2018年)でメインを務められたのが記憶に新しい杉原監督。スーパー戦隊シリーズと仮面ライダーシリーズのどちらの現場にも助監督として入られていたからこそわかる、両シリーズの違いにはどういったものがありますか。

テレビドラマ撮影の仕事としては、両者ともそんなに違いはありません。撮影の進め方は、現場単位で少しずつ変わっていくものですから。ただ、対象とする年齢層が「仮面ライダー」は高め、「スーパー戦隊」は低めとされているので、映像による表現方法の違いは確実にあります。

――『仮面ライダーゼロワン』も9月の放送開始から3か月以上が経ち、すっかり子どもたちの人気を獲得しているようです。『ゼロワン』のメイン監督として、シリーズ全体の骨子となるパイロット(第1、2話)を作られたときに意識されたこととは何でしょう。

"リアリティ"です。今回の『ゼロワン』ではAIがテーマで、作品の世界観を構築するためには人工知能搭載人型ロボット・ヒューマギアの表現や周辺の舞台などにリアルなディテールを施さなければならない。そして、暴走ヒューマギアに対処する対人工知能特務機関A.I.M.S.にしても、実際にこういう組織があったらこんな雰囲気でなければダメなんじゃないかと、強いこだわりを持って演出しました。

――第1、2話では「飛電インテリジェンス」の若き社長となった或人と、ヒューマギアに恨みを抱くA.I.M.S.の不破が対立する描写がありました。対立の経緯や人物設定などの細部は違いますが「立場や考え方の異なるヒーローがぶつかりあう」という意味では、『ルパンレンジャーVSパトレンジャー』にも共通するキャラクター配置なのかな、と思いましたが……。

なるほど。テレビシリーズではその後「ZAIA」という企業が出てきて、三つどもえになりますしね(笑)。『ルパパト』とはスタイルが違いますが、立場の違うチームや人間同士が対立するところから始まって、お互い理解し合うというのは、どちらかというと好みのシチュエーションではあります。そもそも、考え方や立場が異なる人間がぶつかることでドラマが生まれるわけですから、人物の描き方や感情のぶつけあいなどは常に大切な要素だと思っています。

――『ルパパト』ではアクションシーンでカメラが縦横無尽に動きまわってヒーローや怪人の乱戦模様を捉える「360度カメラ」演出が話題を集めました。『ゼロワン』でもそのような意欲的な試みを取り入れているところはありますか。

今回も、今までの「仮面ライダー」シリーズではなかなか観られないような"動き"を表現するため、新しく機材を導入したりしています。具体的には、ゼロワンはひさびさの「バッタ」モチーフの仮面ライダーですから、バッタの脚力の強さを活かした"ジャンプ"の演出に力を入れました。立ち回りの中にワイヤーワークを取り入れ、ゼロワンが戦いながら空中に飛びあがるとか、アングルにも工夫を重ねて新鮮な映像が作れたのではないかと思います。

――アクション監督の渡辺淳さんとのコンビネーションはいかがですか。

僕が助監督としてこの世界に入ってきたとき、淳くんもまだ新人で、お互いにぜんぜん仕事ができなかったころからの間柄です(笑)。そこから始まって、今に至るまでどれだけ経験を重ねてきているかもよく知っていますし、何事にも熱意を持って取り組んでくれるので強い信頼を抱いています。今回、大森(敬仁/プロデューサー)さんから「アクション監督に新しい人を起用したい」と相談されたとき、迷わず淳くんを推しました。