早いもので2019年も、もう暮れ。お正月の過ごし方は決まりましたか? そしておせちは?

おせちとは、お正月に主婦が休むため、店が閉まる期間なので作り置きして長く食べるための保存食としての役割を持つもの。現代はコンビニもやっているし、核家族化・単身化もありで、おせちの存在感が薄れています。

そこで、調理は簡単なのに「盛ると映える」おせちを提案します。重箱なんて必要ありません。手に入らないものや、手間がかかるものは市販品に変更すればOK。和食店のプロに教わってきたので、紹介します!

  • 自宅で簡単にできる「おせち」を楽しむ

和食と日本酒の店『酒肴晴』に教わった!

都内で働く多くのビジネスパーソンの憩いの場所で、居酒屋激戦区でもある東京・新橋。ランドマークの一つである「ニュー新橋ビル」地下に、食通が集う『酒肴晴(しゅこうばる)』があります。

和懐石料理の名店「分とく山」で修業を積み、人気和食店の料理長や店長を経て同店を開業した安田哲平さんに、自宅でできる「おせち」を提案してもらいました。なお、酒肴晴は約30種の厳選日本酒や、20食限定の土鍋炊き込みご飯のランチが人気だとのこと。

  • 酒肴晴(しゅこうばる) 安田哲平さん

安田さん 「おせちは保存食です。味付けは濃いめにしますが、だしを入れると腐りやすくなるので基本的にだしはなし。肉や魚は粕漬けなどの漬け込みにします。もともとは洋食ですが、最近おせちの定番となったローストビーフも似たような感じ。漬け汁に漬けて焼いたら、塊のまま冷蔵庫に入れれば3、4日持ちます。そのときどきで食べる分だけ切り出すと、断面が鮮やかで気分も上がりますよ」。

おせちの縁起担ぎ、知っている?

「一年の計は元旦にあり」という言葉がある通り、お正月の過ごし方は来る年の運気を左右すると考えられています。だから、おせちには縁起物を盛り込みます。縁起物といっても、何十種類もあります。自分や家族が何を願うのかに合わせて内容をチョイスしていきましょう。

  • かまぼこは紅白の市松模様にするなど、おめでたく演出

ここでは、紅白なます、栗なしきんとん、ローストビーフ、黒豆、かまぼこの5品をセレクト。それぞれのいわれについてまとめます。

紅白なます

お祝いの水引をイメージしたものといわれています。

栗なしきんとん

金塊をイメージしたもので、富を象徴します。

ローストビーフ

特に縁起担ぎをしていないが、おめでたい席のごちそうとして。

黒豆

黒は健康的な肌の色のたとえ、豆は「まめまめしい」の意味。

かまぼこ

初日の出の形といわれています。紅白にすればさらに縁起よし。

迷ったら「五味五色」から選ぶ

  • 器は和でも洋でも好きなものを

いろいろな料理があって選べないという人は、「五味五色」という考え方をどうぞ。以下にまとめます。

五味

辛:辛い味
酸:酸っぱい味
苦:苦い味
甘:甘い味
鹹(かん):塩辛い味

五色赤

赤:赤いもの
黄:黄色いもの
青:青いもの、緑色のもの
白:白いもの
黒:黒いもの

味や色から発想して、料理を選んでいくというわけです。

料理人直伝! 時短&おいしいおせち

作り方をご紹介します。手に入らない材料は似たもので代用可能で、分量はすべて作りやすい分量です。

  • 市販品でもおちょこに盛ると風格が出る

「水あめはぜひ買ってください。きんとん、ローストビーフ、黒豆に使えますよ。今回、黒豆は市販品ですが、自分で煮る年の瀬っていいものです。錆びた釘やスチールウールを加えると見事な黒色になります(※)。

盛り付けは日本画の技法に倣い、左手に背の高いもの、右手にソースなどの流れやすいものを置くと素敵です。料理をおちょこに盛ってからメインの皿にのせるなど、器の選択を工夫するのも楽しいですよ」と安田さん。

※鉄の酸化と黒豆のアントシアニンが結びつくことで色鮮やかな黒豆ができる

紅白なます

【材料】
大根 200g
にんじん 50g
水 200ml
塩 大さじ1

【たれ】
酢 130ml
みりん 60ml
昆布 3cm角

【作り方】
(1)「たれ」の材料を鍋に入れ、ひと煮立ちさせて冷ます。
(2)大根とにんじんを5cm長さに切り、マッチ棒ぐらいのせん切りに。
(3)塩水を作り(2)を入れ、15分後に取り出し絞る。
(4)(1)のたれに(3)を30分漬ける。

栗なしきんとん

【材料】
さつまいも 500g 水 200ml
砂糖 230g
水あめ 大さじ3
塩 小さじ1/2

(1)さつまいもの皮をむき1~2cm厚に切る。
(2)鍋に入れ、串が通るまで水からゆでる。
(3)熱いうちに裏ごしする(さらし、ミキサー、ビニール袋でモミモミなど)。
(4)別鍋に水と砂糖を入れ、火にかけて溶かす。
(5)(4)の鍋に裏ごしした(3)を何度かに分けて加え、弱火で加熱。
(6)生地がかたくなってきたら、水あめと塩を入れ、木べらで混ぜる。

  • ミョウバンやくちなしを使うと鮮やかになるがあえて自然な色を生かしても

ローストビーフ

【材料】
内ももブロック(常温に戻しておく)300g
煮汁 酒90ml
濃い口醤油 60ml
水あめ 大さじ2

【ベースソース】
水 60ml
青じそ 10枚
長ネギ 1本
しょうが(みじん切り)15g

【作り方】
(1)牛肉の4面をフライパンで焼く。
(2)ベースソースの材料を鍋に入れて火にかける。
(3)沸いたら、焼いた牛肉を入れ、フタをして焼き煮する。

【point】火加減は沸くぐらいの弱火。表5分、裏5分の計10分が目安。

(4)肉を取り出し、残った煮汁を煮詰める。
(5)水あめを入れてさらに加熱し、半量になったらたれの完成。
(6)食べるときに肉を切り出し、たれをかける。お好みでわさびも良い。

取材協力:酒肴晴(しゅこうばる)

東京都港区新橋2-16-1 ニュー新橋ビルB1 19号室
営業時間:ランチ11:30~14:00、ディナー17:00~23:30(L.O.23:00)
休み:日・祝日、土曜のランチ、12/29~1/5