イオンは、世界初となる「完全養殖ウナギ蒲焼」の試験販売を5月29日から開始した。完全養殖ウナギは、水産研究・教育機構を中心とした長年にわたる研究開発と、山田水産が培ってきた養鰻技術により実現。人工的に採取した卵から育成した成魚をまた産卵させるサイクルで、天然資源に依存しない持続可能な養殖形態で日本の食文化のひとつである「ウナギの蒲焼」を守る。イオンは販売協力企業として参画する。
ネットスーパー「Green Beans」と通販サイト「イオンショップ」で販売
「完全養殖ウナギ蒲焼」の発表会に登壇した、イオン 取締役執行役副社長 商品・物流担当の土屋美津子氏は「単なる新商品の販売ということではなく、あくまで持続的な水産資源の未来につながる非常に重要な取り組みであり、実証実験」だと話す。
イオンが試験販売の小売店として選ばれた理由については、「MSC認証商品やSC認証商品の展開、有機JAS商品などの環境配慮型商品について、持続可能な調達と販売に継続的に取り組んできた実績を評価いただいた」ことが大きいという。
試験販売はイオンのネット専用スーパー「Green Beans(グリーンビーンズ)」とイオンのお取り寄せ・グルメ・食品の通販サイト「イオンショップ」で実施する。実証実験でもあるため購入者には必ずアンケートの協力を依頼し、得られた意見を今後の取り組みに反映するという。
現在は採算度外視? 目標は2028年に10万部のシラスウナギを養殖
山田水産 代表取締役社長 山田信太郎氏は、「完全養殖自体は他社でもできるかもしれないが、養殖して美味しい蒲焼にすることが日本の食文化においては大事であり、私たちの使命だと思い、"完全養鰻"と名付けました」と語った。
山田水産は28年前からこのウナギ事業に進出。現在は完全養殖ウナギの水槽は12個あるが、今後は45個まで投資して増やし、2028年には10万部のシラスウナギを養殖する目標を掲げているという。
同社が完全養殖ウナギに成功した理由については、「養殖を開始した当初ウナギの稚魚が孵化してすぐに食べる餌がアブラツノザメのエサだと聞いていたが、そのアブラツノザメはすでに絶滅していた」そうで、早々に頓挫しかけたものの代替となる鶏卵ベースの餌を開発することができたことが大きいと明かした。
加えて、「ウナギの養殖では1個1個の作業を丁寧にやることが非常に大事」だと話す。ウナギは繊細で餌や水の汚れを非常に嫌がるといい、餌を1回やる度に綺麗な水槽に移す作業を繰り返すことを惜しまなかったことも理由ではないかと分析した。
価格については決して安価ではないものの、それでも「これまでの長年にわたる研究にかかった費用を価格に転嫁すると1尾数十万円を超えてしまう」と話すとおり現時点では採算度外視の様子。今後目標として掲げている「2028年には10万部のシラスウナギを養殖する」が実現できた際にはさらに手に取りやすい価格になっているかもしれない。










