平成から令和へ時代が移り変わったのと同時に、毎年恒例の「仮面ライダー冬映画」も新たなる時代を迎えた。全国公開されている映画『仮面ライダー 令和 ザ・ファースト・ジェネレーション』(監督:杉原輝昭)は、現在好評放送中『仮面ライダーゼロワン』と、今年8月に放送終了した『仮面ライダージオウ』という、交わるはずのない濃密な個性を備える2人の仮面ライダーが並び立つ世界が描かれている。

  • 高橋文哉(たかはし・ふみや)。2001年生まれ。埼玉県出身。2019年9月1日より放送中の『仮面ライダーゼロワン』の主人公・飛電或人役にオーディションで選ばれ、現在大活躍中。撮影:大門徹

ヒューマギア(人工知能搭載人型ロボット)を人間社会に役立てようとする企業「飛電インテリジェンス」の若き社長・飛電或人が、ある朝目覚めるとそこはヒューマギアが人類を制圧している「誤った歴史」の世界だった。亡き先代社長・飛電是之助の秘書を務めていたヒューマギア・ウィルに社長の座を奪われ、絶対絶命の危機に陥る或人たちを助けたのは仮面ライダージオウ/常磐ソウゴと仲間たちだった。歴史を修正すべく一緒に過去へ飛んだ或人は、機能を停止したと思われていた父(ヒューマギア)飛電其雄と遭遇する。時空のゆがみを引き起こしたタイムジャッカー・フィーニスの狙いとは? そして滅亡寸前の人類の未来は……?

映画公開を記念し、今回は主演の仮面ライダーゼロワン/飛電或人を演じる高橋文哉にインタビューを敢行し、お笑い芸人らしく毎回「あまり面白くないギャグ」を全力で披露する"明るさ"や、人類滅亡を企てる「滅亡迅雷.net」に怒りを燃やす"激しさ"など、感情表現が非常に豊かな或人を演じるため気をつけていることを聞いた。また「仮面ライダー冬映画」にかける情熱や、杉原輝昭監督にとことんくらいつき、演技について妥協を許さぬ姿勢で挑んだ撮影時の裏話、映画の注目ポイントなども大いに語ってもらった。

――『仮面ライダーゼロワン』のテレビ放送は12月13日で第15話を数えました。現在まで、ご家族やお友だちの方からどのような反響がありましたか?

始まってすぐ、親戚からメールが来ました。毎週観ていて感想を送ってくれるんです。「どんどんお芝居よくなってるね」とか「今日はとてもカッコよかったね」とか、褒めてもらえるとすごくうれしくて、励みになります。友だちからもよく「テレビ観てるよ」と言われます。ふつうに今までずっと仲の良かった友だちから「俺、実は『仮面ライダージオウ』も観てたんだよね」と仮面ライダーファンだったことを教えられて、さらに「お前が仮面ライダーで主演するなんてマジすごい」って言ってくれたのも、うれしかったです

――高橋さんの演じる飛電或人はヒューマギアの開発を行う「飛電インテリジェンス」の若き社長で、お笑い芸人らしくハイテンションなギャグで笑いをとろうとする若者という設定ですが、或人とご自分の共通する要素はどんなところでしょうか。

最初からわりと自分の素に近い部分がありました。もともと暗いほうではないと思いますが、或人を演じるようになってから、気の持ち方などが明るくなったような気がします。少し或人に影響を受けているのかもしれないです(笑)。

或人はある日突然、亡き祖父の会社の二代目社長に任命されますが、僕自身もオーディションで選んでいただいたのがきっかけで「仮面ライダー」の世界に飛び込んだんです。内容はぜんぜん違いますが、"環境がガラリと変わったこと"は似てると思います。

或人は社長として、僕はライダーとしての責任を持っているので、或人の心情を自分に置き換えつつ、エピソードが進むにつれて或人が徐々に社長になっていく過程を表現したいと思いました。

たとえば第2話の段階での或人は「社長」と言われてもピンと来ていない青年でしたが、第10話くらいになってくると、会社を守ろうといった思いが強まっていたり、大勢の前に立って社長として言葉を発したりと、責任感がかなり芽生えてきたぞ、みたいな芝居を考えながらやっていました。

――共演者の方々とも早い段階から打ち解けられたとうかがっています。役と実際の人柄にギャップを感じるのはどなたですか?

だいたいみんな役とは違う印象ですね。不破諫を演じる(岡田)龍太郎くんは特に、寡黙な諫とは真逆で常に現場を盛り上げてくれています。龍太郎くんがいる場所が静かになることはありませんから(笑)。イズの鶴嶋(乃愛)さんもイズみたいにテキパキと動くのではなく、普段はノンビリしています(笑)。それなのに、撮影に入るとパッとイズになってしまうのですごいんです。でもときどき、撮影していないところで僕が高橋文哉として話しかけているのに、目を一切動かさないで聞いているとか、イズっぽいところを見せるので「ちょっと! いま"イズ入ってる"よ!」って動揺するときがありますよ(笑)。

――社長の或人と秘書イズの絶妙なコンビネーションがテレビでも評判になっていますが、やはり撮影でご一緒するシーンが多いのは鶴嶋さんですか?

そうですね。ほぼ毎日一緒にいることが多いです。だからこそ、お仕事以外にいろいろなことについて話したりしています。他の共演者のみなさんも、年上の先輩ですけどとても接しやすい方ばかりで、芝居についてもアドバイスしてもらったり、プライベートな相談なども聞いてもらえたりして、とてもいい雰囲気で毎日を過ごしています。

――それでは、映画『仮面ライダー 令和 ザ・ファースト・ジェネレーション』についてのお話をうかがいたいと思います。まず高橋さんが今回の『ゼロワン』『ジオウ』共演映画のことを聞いたときのご感想はいかがでしたか。

早い段階からゼロワンとジオウの共演映画をやる、というのは聞いていたのですが、だんだんとポスターができ、奥野(壮)さんと取材をしたりすることで、いよいよ始まるんだな、自分が『ゼロワン』を背負い、奥野さんたち『ジオウ』チームといっしょに映画にでることができるんだ、というワクワクした気持ちをもっていました。