――台本を読まれたとき、どう思われましたか?

最初は、世界観の違う『ゼロワン』と『ジオウ』の物語をどうやってひとつにまとめるんだろうと気になっていました。台本を読むと、とてもきれいに2つの作品世界がつながっていて、想像以上の内容でした。クライマックスから幕引きまで、畳みかけるような展開にも唸りました。まったく反対といえる2つの世界をくっつけるなんて、これはやっぱり「仮面ライダー」だからこそできるストーリー展開ですよね。ゼロワンとジオウの物語が完全に融合していて、お互いのキャラクターがしっかりと立っている。両作品の良さがバランスよく盛り込まれたワクワクする台本でした。

――奥野さんをはじめ、押田岳さん、大幡しえりさん、渡邊圭祐さんといった『ジオウ』チームの印象はいかがでしたか?

みなさんからは、先輩としての貫禄を感じました。この映画で共演する以前は、撮影所ですれ違ったときにご挨拶するくらいでしたが、一緒にお芝居をしたときに「あっ、現場ではちょっと雰囲気が違う」と思ったんです。ふだんと撮影では顔つきが違って、とても切り替えが早い。みなさんそれぞれ「個」を大切にしていて、お互いを認め合っている感じが強く伝わってきたんです。「仮面ライダー」で1年間という日々を共に過ごしたチームは、こんな領域にまでたどり着けるんだと思いました。

――第1話の冒頭にも登場した或人の父・飛電其雄が映画で重要な役割を担うとうかがいました。其雄役の山本耕史さんと共演されたときのお話を聞かせてください。

父子というのもあって、ご一緒するシーンがたくさんありました。初めてお会いしたときは、山本さんの「筋肉」の凄さに驚きました(笑)。カメラレンズの前に並んで立たせていただくこと自体が光栄ですし、うれしかったです。緊張もしたんですけど、山本さんはとても気さくに接してくださって、緊張を取っ払ってくれました。撮影の合間にはプライベートのことからお芝居の話までいろいろとさせていただき、勉強になりました。

――山本さんとの共演で、高橋さんが影響を受けたなんてことはありましたか。

お芝居もそうなんですが、人間性がカッコいいなと思い、山本さんの魅力を取りこみたいな、と思いました。僕は『ゼロワン』に出演することになってから「大人の余裕」を持った方にたくさんお会いしていますが、山本さんの大人の余裕はハンパなかったです。ウィル役の和田聰宏さんも同様に、大人の魅力がすごかった。山本さん、和田さんと僕が3人でいるシーン、そこに奥野さんを加えた4人のシーンでも、ふとしたときにみんながお話されているのを聞くと、うーん、大人だなあって感動していました。

――映画に登場するイレギュラーなゼロワン「001(ゼロゼロワン)」は、ゼロワンドライバーがなくて変身できない或人が、滅亡迅雷.netの迅や滅が用いている「滅亡迅雷フォースライザー」を使って変身した姿だそうですね。001の姿をご覧になったときの感想を教えてください。

現場で初めて001を見ましたが、フォルムがとてもカッコいいって思いました。フォースライザーの影響からか、ちょっとワルっぽい雰囲気があって、迫力がありました。変身シーンでは、ゼロワンドライバーとは勝手は違うぞ、という雰囲気を出そうとしました。もともとフォースライザーは人間には簡単に使うことができないものなので、いつものゼロワンへの変身ではなく、見せ方を変えなければと意識しました。

――杉原輝昭監督はテレビシリーズの第1、2話以来の登板なんですね。

杉原監督の第1、2話から『ゼロワン』は始まりました。最初の撮影が6月、そして映画の撮影開始が10月と期間があいて、杉原監督とご一緒するのが楽しみでした。その一方で、当初より成長している自分を見せるんだ!という気持ちも持ちながら現場に行きました。

でも、撮影当初はもうずっとダメなところばかりで、かなりシボられました。監督を納得させる演技ができなかった自分を反省し、家に帰ってから「明日撮る、このシーンは"決めたい"」と思い、翌日から監督とこれまで以上に話し合いました。監督の座っているベースの後ろについて、自分の空き時間はずっと「監督がどういうお話を周囲とされているか、どういう思いで映画を作っているか」を知るため、一緒に台本を読みながら違う出演者のカットを見学していたんです。

そうやって徐々に監督と意志を通わせて、監督が見たい或人を創っていきました。その後も、朝早めに撮影所へ行って監督と「このシーンはこういうことでしょうか」なんて、台本のセリフをひとつずつ確認しながら、しつこく演技について相談していました。監督には申し訳ないなと思いながら(笑)。