一日中忙しく歩いた結果、靴に違和感を覚えたり、足に痛みを感じたりしたことはありませんか? 入念に試着して選んだ革靴でも、いざ履いてみると満足できないことがあります。しかしながら、靴を足に合うよう変形させるのは困難です。

そんなときは、簡単に入れ替えや交換ができる中敷きを試してみましょう。では、具体的にどのような中敷きを選ぶべきでしょうか。本稿では、中敷きを活用するメリットや注意点などを詳しくご紹介します。

  • 中敷を活用するメリットや注意点とは?

    中敷きを活用するメリットや注意点とは?

中敷きを使うメリット

まずは、中敷きを使うメリットを確認しておきましょう。

  • 中敷を使うとさまざまなメリットがある

    中敷きを使うとさまざまなメリットがある

サイズの調整

中敷きを使う大きなメリットのひとつは、サイズを調整できることです。靴を履くうえで最も大切なのは、サイズを合わせることでしょう。足に合わない靴は機能を発揮できないばかりか、足のトラブルの原因にもなります。

しかし、人の足は左右差や個性があり、既製靴が両足ともにフィットすることはありません。そこで、中敷きを活用してサイズやフィット感を微調整します。実際に中敷きを試してみると、わずかな厚みの違いでもサイズ感に大きく差が出ることを実感できるでしょう。

疲労の軽減・フィット感の向上

クッションやサポート機能のある中敷きを使えば、歩行時の疲労軽減やフィット感の向上を期待できます。

人の足には親指と小指の付け根をつなぐ横アーチ、親指と踵(かかと)をつなぐ内側アーチ(土踏まず)、小指と踵をつなぐ外側アーチの、3つのアーチが存在します。

アーチは、足本来が持つクッションの役割を果たしますが、中敷きでサポートすることにより、さらに効果的に働きます。また、土踏まずが支えられることにより、足の前後のブレを抑制し、フィット感の向上にもつながるでしょう。

防臭効果

中敷きは防臭効果も望めます。足の裏は体の中で最も発汗量が多い箇所であり、その発汗量は他の部分の20~50倍と言われています。靴に染み込んだ汗や皮脂は雑菌の格好の栄養源となり、繁殖すると臭いの原因になります。

個人で革靴の内部を洗うのは難しいですが、中敷きならば交換できます。汗の染み込んだ中敷きを交換すれば、臭いも軽減できるでしょう。近年は活性炭などの消臭剤を使用した中敷きも多く販売されています。臭いが気になる人は、試してみてください。

姿勢の矯正

アシックススポーツ工学研究所によると、日本人の足の特徴は、幅が広がりやすい傾向にあるようです。そのため、靴を履いたときに窮屈に感じやすく、靴選びが難しくなります。特に、土踏まずのアーチがつぶれることで親指に負担がかかりやすく、外反母趾(がいはんぼし)という親指の変形になりやすいのです。

指の変形や、それに伴う姿勢の歪みは、中敷きを適切に用いることで矯正が期待できるでしょう。ただし、外反母趾の治療や本格的な姿勢の矯正には、整形外科で処方される医療用インソールを使用してください。

中敷きを入れると靴がきつくなる?

  • 中敷の厚みによる影響は?

    中敷きの厚みによる影響は?

中敷きはサイズ調整の役割も果たすため、交換したり、新たにセットしたりすると、靴のサイズがきつくなる場合があります。たとえば、裸足の状態と一般的な綿ソックスをはいた足を比べると、足の長さが1.5mm、足の幅が5mmほど増加します。ソックス1枚の厚みでこれだけ変化しますから、中敷きの厚みによる影響は想像に難くないでしょう。

そのため、あらかじめ中敷きを入れて履く予定であれば、靴の購入時に中敷きを想定したサイズを選ぶことが大切です。

中敷き購入時の注意点は?

  • 靴のサイズや形状と中敷のサイズを合わせる

    靴のサイズや形状と中敷きのサイズを合わせる

中敷きの購入時の注意点は、靴のサイズや形状と、中敷きのサイズを合わせることです。中敷きをセットしようにも、サイズが合わなければ使えません。

市販の中敷きは、通常S・M・Lなどとサイズ分けされていて、余った部分をカットして使います。ある程度まで大は小を兼ねるのですが、靴と中敷きの形状がかけ離れていると、正しく使用できないのです。

中敷きを選ぶ場合は、中敷きを入れたい靴を専門店に持参して、試着用の中敷きを試しながら選ぶようにしましょう。そういう意味では、中敷きのまとめ買いや、ネット通販を利用しての購入は、なるべく控えるべきでしょう。

中敷きを購入する際、何を重視したほうがよいのか

  • 中敷は求める機能や効果によって選び方が変わる

    中敷きは求める機能や効果によって選び方が変わる

中敷きは求める機能や効果によって選び方が変わりますので、目的をはっきりさせることが大切です。

サイズを調整したい場合

サイズ調整のために中敷きを選ぶ場合は、厚みや形状に注目して選びましょう。先述のとおり、靴下1枚ほどの厚みでもサイズやフィット感に影響します。そのため、中敷きが薄すぎても厚すぎてもいけません。また、中敷きの形状にも種類があり、足裏全体に敷く全敷や、前足部や踵に敷く半敷などがあります。

どの中敷きがベストかは、自分では判断が難しいかもしれません。その場合は、靴選びやサイズ調整のプロである、シューフィッターに相談しながら決めるとよいでしょう。

クッション性やフィット感を向上させたい場合

クッション性やフィット感を向上させたい場合は、クッションの厚みや中敷きの形状はもちろん、サポートの位置も大切です。特に、アーチサポートの位置が合わなければ、フィット感の向上はおろか、かえって足に痛みを感じるなど足のトラブルにつながりかねません。

また、どこにクッションが欲しいかによっても、選ぶべき中敷きは変わります。やはり、シューフィッターに相談し、足型を計測してもらいながら選ぶのが最適と言えるでしょう。

まとめ

念入りに試し履きをしたつもりでも、実際に使い始めてから靴に違和感を覚えるケースはよくあります。先述の通り、人の足には左右差や個性があるからです。既製靴では完全にフィットしないので、そんなときにこそ中敷きをうまく活用しましょう。

中敷きは簡単に交換できるうえ、サイズの調整やフィット感の向上、消臭効果など、さまざまな恩恵を受けられます。ただし、選び方を間違えると正しく機能しません。プロに相談するために、専門店に足を運んでみることをおすすめします。

監修者:川口貴史

元靴メーカーの職人、現在はWEBライターとして活動しています。リーガルシューズ、靴修理店、神戸・長田の革靴メーカーで勤務し、靴業界に10年以上携わりました。靴のフィッティングや製造方法、修理、メンテナンスなどの専門知識を有し、知識や経験を生かした読者に役立つ情報をお届けいたします。