小田急電鉄は11日、通勤車両として12年ぶりという新型車両5000形の完成お披露目会を実施した。5000形は今年度中に営業運転を開始する1編成目(10両編成)に続き、2020年度までに計6編成60両を導入する計画となっている。

  • 小田急電鉄が新型通勤車両5000形の完成お披露目会を実施(写真:マイナビニュース)

    小田急電鉄が新型通勤車両5000形の完成お披露目会を実施

新型車両5000形はステンレス製の拡幅車体を採用。時代を超えて生活に溶け込むことをめざし、価値観の変化にとらわれないシンプルな外観デザインとしつつ、車両先頭部は流線型としてスピード感を強調している。素材が持つ質感はそのままに、車体前面・側面の窓下にアズールブルー / インペリアルブルーの2色の帯をあしらった。

デザインについては「より広く、より快適に」をキーワードに、車内空間の広さ、明るさ、安心感、優しさを追求している。拡幅車体によって車内スペースが拡張され、1編成あたりの定員は1,528名(先頭車は各144名、中間車は各155名)となった。車内はロングシートの座席配置に。開放感にも重点を置き、座席横の袖仕切り部や荷棚、車両間の仕切り扉に大型強化ガラスを用いて空間の広がりを感じられる構成とした。天井埋め込み形のLED照明により、天井部の閉塞感を緩和させている。

  • ステンレス製の拡幅車体を採用した5000形の外観。車両先頭部は流線型とし、窓下にアズールブルー / インペリアルブルーの帯を配した

  • 5000形の車内はオールロングシート

  • 車いすスペースは各車両1カ所ずつ設置

  • 5000形の運転台も公開された

車いすスペースは各車両に1カ所ずつ設置。車内環境向上のため、空気清浄機を各車両に8台搭載している。小田急電鉄の通勤車両では初という車内防犯カメラは各車両に4台搭載。安心して過ごせる車内空間を提供すると説明している。

環境にも配慮し、空調装置をはじめ、主電動機、コンプレッサ、駆動装置など低騒音型を採用。SiC素子を用いたVVVFインバータ制御装置、回生電力量を増大させる新規制御方式の導入、全照明のLED化などにより、運行エネルギーの削減も図る。車両の異常な動きを検知した場合に自動的に緊急停止させ、被害拡大を防止する装置も搭載。大容量データを地上に伝送可能な次世代型車両情報管理装置と、それに対応した車上装置を設置し、各車上装置のモニタリング情報を監視することにより、車両に不具合が発生した際の早期対応や、蓄積したデータの予防保全などに活用していくという。

新型通勤車両5000形は川崎重工、総合車両製作所、日本車両の3社による共同設計で、2019年度に導入する1編成目は川崎重工が製造。2020年度に導入予定の編成に関して、2・5・6編成目は川崎重工、3・4編成目は総合車両製作所が担当するとの説明もあった。各編成とも日本車両が製造した台車を使用する。5000形は小田急電鉄の自社線内(小田原線・江ノ島線・多摩線)のみ、特急列車を除く各種別で運用予定とされ、今回公開された1編成目は2020年3月中の営業運転開始をめざすとのことだった。

  • 新型通勤車両5000形の車内・外観