続いてのトークテーマは、それぞれのキャラクターを演じていく中で意識したことや、役と向き合って自身がどのように成長したかについて。

渡邊は「最初にウォズを演じる際"ソウゴ以外の人への愛情はなくそう"と思っていたんですが、途中から『レジスタンスの隊長』という設定が判明しまして、ゲイツくんやツクヨミくんへの愛情も注がなければ、という風になっていきました。もうウォズにとっては、この3人(ゾウゴ、ゲイツ、ツクヨミ)が幸せであればそれでいい。そう思って最後までやりきりました」と、途中より明らかにされる設定に合わせて、ウォズの演じ方に微妙な変化をつけていたことを明かした。

押田は「白倉(伸一郎)プロデューサーに『特攻兵の役がやりたい』と話していたんですが、それを拾ってもらったかもしれません。ゲイツは"昭和"感のあるキャラクターとして役を作っていこうと思いました。あと、歴代シリーズでの2号ライダー、サブライダーのオマージュができればいいなと思って、ゲイツリバイブへの変身には"地獄兄弟"(仮面ライダーカブトのキックホッパー、パンチホッパー)をイメージしたりして、ちょくちょくネタとして入れていました」と、自身の燃える「仮面ライダー愛」の強さをアピールしつつ、裏話を語った。

大幡は「ツクヨミはすごくまっすぐで、自分が決めたことは絶対やりとおす性格。なのでソウゴを信じる! と決めたら最後まで信じ続けると思って演じて来ました。途中、白ウォズや門矢士についたりもしましたが、最終的にツクヨミはソウゴのことを信じて終わることができ、よかったと思いました」と、ツクヨミの芯の強いキャラクターをブレずに最後まで通すことができたと喜びを見せた。

奥野は「僕にない"明るさ"を持っているソウゴを、最初はとにかく明るく陽気に演じようとしていましたが、生瀬さんの言葉を受けたりしたことで、だんだん"もっと自然体で演じよう"という気持ちになっていきました」と、現場でのさまざま経験を確実に自分のものにして、演技をより自然にこなしていくよう努めていたと話した。

加古川飛流は第25~28話で一度ジオウに敗れた後、第41~43話に再登場している。第41話でふたたび出演することを知らされたとき、佐久間は「ヨッシャー! という感じで気合いが入りました。最初はソウゴへの恨みや復讐心が強かった飛流でしたが、再登場にあたっては、何かソウゴを"上回りたい"という気持ちが大きくなっていきます。そういった思いの変化を意識して演じました」と、初登場と再登場で飛流の演じ方がどのように変化したかを詳しく説明した。

続いての話題は、「自分にとってターニングポイントとなったエピソード」について。奥野は「第11、12話で"3日後のソウゴ"が出てきたときですね。あそこで自分が一番変わったと思います。冬映画とテレビの撮影が重なって、しかもテレビは上堀内(佳寿也)監督という"鬼監督"で、当日のソウゴと3日後のソウゴと2役で……(笑)。もっとこうしたほうがいい、と監督に教えていただきながら、悩みに悩みながら芝居をしていた」と、上堀内監督による熱血演出のおかげで、ソウゴの演じ方に変化が出たことを明かした。また「裏ソウゴが出てくる第21、22話も印象深いです。いつもと違う"悪いソウゴ"を演じるのは刺激的で、楽しかった」と、ミラーワールドに潜む「裏ソウゴ」のダークな雰囲気のキャラクターも演じがいがあったと語っていた。

大幡は「私も第11、12話の鎧武編が思い出深いです。それまでツクヨミを"クールでマジメ"というキャラで固めていたんですが、上堀内監督から『僕はこの回でツクヨミのキャラを壊そうと思う』と言われたんです。いつもやらないようなヒロインっぽいカットを撮ってもらって、オンエアを観たとき"監督が伝えたかったのはこういうことか"と気づきました。これ以降、枠にとらわれずにどうやってツクヨミらしさを表現できるか、考えるようになりました」と、奥野と同じように上堀内監督の演出に強い影響をい受けたことを話した。

押田は「第35、36話のキバ編かな。キャラが崩れることをいっぱいやった気がしますが、あそこで生瀬さんから言われたアドバイスが少しずつではありますが具体化できたと思います」と、それまでのゲイツ像を積極的に崩し、コミカルな表情やセリフ、動きを取り入れたキバ編での自身の演技がお気に入りだと語った。

テレビシリーズのクランクアップ(撮影終了)について話題が変わると、まず佐久間が「僕は、"加古川飛流の像"のモデルを撮ったところがクランクアップでした。終わったときはスーツアクターの方々から声をかけていただいて、ほんとうに楽しい現場でしたね。この作品に携わることができてよかったです」と、撮影完了の瞬間を思い出しつつ感想を述べた。

奥野は「自分がクランクアップしたときより数日前の、生瀬さんのほうに強い思いがあるんです。自分のときは午後から別な舞台の本番がありまして、終わった!という感動を実感している余裕もなく、涙をぬぐってサッと次へ向かったんですけど、生瀬さんがアップしたときはすごく寂しくて、今までありがとうございました!という気持ちがこみあげてきて……。生瀬さんオールアップです!の声を聞いたら、感極まって号泣してしまったんです」と、スケジュールの都合で感激している時間があまりなかった自身のクランクアップより思い出深いという、生瀬のアップ時のことをふりかえった。

押田は「ゲイツの仮面が割れるシーンが最後でした。自分は泣かない、と思っていたんですけど、スタッフさんに囲まれて『お疲れさま』と声をかけていただいたら、これまでのいろいろな感情が胸に迫ってきて、ウルッと来ちゃいましたね」と、感情を抑えきれずに涙してしまったクランクアップ時を回想した。