10月23、24日に第32期竜王戦七番勝負第2局(主催:読売新聞社)が行われ、豊島将之名人が広瀬章人竜王に勝利し、開幕2連勝と好スタートを切りました。

昨今の奪取の流れに乗れるか豊島、跳ね返せるか広瀬

豊島将之名人

相掛かりの将棋となった本局は、後手の豊島名人の積極的な角打ちから本格的な戦いが始まりました。桂角交換の駒損ながら竜を敵陣深くに作り、桂と歩で巧みに攻めて優位に立ったのは豊島名人でした。広瀬竜王は不安定な玉形で、苦しいながらも間隙を縫って反撃します。微差の形勢で難しい戦いが続きましたが、最後に転んでしまったのは広瀬竜王でした。もう一手我慢しなければならないところで攻めに転じたのが敗着に。しかし終始豊島名人の攻めを受け、神経をすり減らし続けていたので仕方がなかったのかもしれません。 これで豊島名人は2連勝。広瀬竜王は苦しい番勝負の立ち上がりとなりました。

昨年7月に豊島八段(当時)が羽生善治棋聖から棋聖を奪取したのを皮切りに、挑戦者がタイトルを奪取する流れが続いています。その棋聖戦からこの竜王戦までに11回タイトル戦が行われましたが、防衛に成功したのは渡辺明棋王のみ。10度タイトル保持者が入れ替わるという目まぐるしい状況なのが今の将棋界です。豊島名人もその流れに乗れるでしょうか。

また、過去31期行われてきた竜王戦七番勝負で2-0になったのは21回。そのうち連勝側が押し切ったのが16回。逆境を跳ねのけて連敗側が制したのは5回です。広瀬竜王にとっては厳しい数字にも見えますが、5回のうちの1回である、第31期で逆転劇を演じたのが他ならぬ広瀬八段(当時)。羽生竜王のタイトル獲得通算100期がかかった番勝負で見事奪取を果たしたのでした。

連勝の勢いそのままに、豊島名人が獲得に王手をかけるか、広瀬竜王が前期と同様に反撃に転じるのか、注目の第3局は11月9、10日に兵庫「神戸ポートピアホテル」で行われます。