将棋界のスーパースター、羽生善治九段と藤井聡太七段。その2人の2度目の対決となる第69期大阪王将杯王将戦挑戦者決定リーグ戦(主催:スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社)が、10月21日に東京「将棋会館」で行われました。

藤井七段が最年少タイトル獲得に向けて、大きな3勝目

  • 羽生善治九段(左)と藤井聡太七段

王将リーグは渡辺明王将への挑戦権を、7人の総当たりで争うリーグです。対局前のリーグ成績は羽生九段が2勝0敗、藤井七段が2勝1敗で先頭争いをしており、前半戦の大きな山場でした。

先手の羽生九段が初手に飛車先の歩を突くと、藤井七段も追随して戦型は相掛かりへと進みました。羽生九段は角頭の受けを保留して、攻撃陣の整備を急ぎます。すると藤井七段がそれをとがめようと角を攻めて、午前中から緊張感が漂いました。

昼食休憩が終わると藤井七段が飛車を切って、敵陣に襲い掛かります。飛車と金香の二枚換えで、馬を作った藤井七段。さらに、手にした金を端に放ち、相手の飛車を攻めます。これが「金を打たれてまずいかもしれない」と羽生九段が局後に語った好手で、藤井七段が優勢になりました。

終盤には羽生九段も敵陣に飛車を打って反撃を目指しましたが、藤井七段が攻守に冴えた指し回しを見せます。最後は端に放った金の再活用が決め手になって、82手で藤井七段が勝利しました。

この結果、全勝者はいなくなり、藤井七段が3勝1敗で暫定ながらトップに立ちました。それを2勝1敗の広瀬章人竜王と羽生九段などが追っています。局後のインタビューで藤井七段は「ここまではいいペースで来れました。残りの対局も全力を尽くしたいです」と抱負を語りました。

藤井七段は羽生九段との初対決に勝利した第11回朝日杯将棋オープン戦(準決勝)で棋戦初優勝を果たしています。最年少タイトル獲得の期待がかかる藤井七段。今回の王将リーグでも、そのときと同じように突き抜けることができるでしょうか。王将リーグはこれから後半戦に突入です。