10月23日に第32期竜王戦ランキング戦5組昇級者決定戦(主催:読売新聞社)、阿部光瑠六段―大橋貴洸五段戦が行われ、大橋五段が勝利。4組昇級を決めると同時に、六段昇段を果たしました。

四段から五段は2年10カ月。五段から六段は、わずか84日!

大橋貴洸六段

大橋六段は2016年10月1日四段昇段で、藤井聡太七段と同期の棋士としても知られています。奨励会三段のときに第46期新人王戦で準優勝するなど、その実力は当初から高く評価されていました。

デビュー2年目の2017年度には各棋戦で勝ちまくり、46勝12敗(0.793)の成績を挙げます。これは例年であれば勝数と勝率で1位になりそうな成績ですが、この年は藤井四段(段位は当時。以下同じ)が29連勝を果たすなど大ブレーク。いずれも2位止まりとなり、その活躍が藤井フィーバーの影に隠れてしまうような格好になっていました。

しかし2018年度に入っても、大橋四段は勝ち続けます。第3回YAMADAチャレンジ杯で棋戦初優勝を果たすと、第8期加古川青流戦でも優勝。一気に2棋戦を制して、新人賞を受賞しました。

ただし、その2棋戦は昇段規定には絡まない新人棋戦であり、優勝を果たしたあとも相変わらず段位は四段のまま。将棋ファンの間では「え、大橋先生ってまだ四段なの?」と、違和感を覚える人が多かったようです。

そんな中、大橋四段は2019年7月31日に公式戦100勝目を挙げ、規定によって五段を果たします。四段昇段から2年10カ月での昇段は十分早いほうですが、その活躍ぶりから見ると、かなり時間がかかったように感じられました。

その遅れ(?)を取り戻すチャンスがやってきました。第32期竜王戦ランキング戦5組で昇級者決定戦に進出。23日の決勝の相手、阿部光瑠六段対局に勝てば「ランキング戦連続2回昇級」で六段昇段です。

大橋五段は原色系の派手なスーツを着て対局に臨むなど、盤外では個性派棋士として知られています。この日は自分で作ったカラフルなバッグを持って、対局に臨みました。

後手番となった大橋五段は、一時は苦しい形勢でしたが、逆転に成功して104手で勝利。五段から六段昇段にかかった期間はわずか84日という、スピード昇段を果たしました。

ちなみに藤井七段との同期対決は、2勝2敗で全くの五分。これからの大橋六段の更なる活躍に注目です。