10月16日に東京「将棋会館」で、第69期大阪王将杯王将戦挑戦者決定リーグ戦(主催:スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社)、豊島将之名人―羽生善治九段が行われました。

入玉した豊島名人の玉を押し戻して勝利。羽生九段は1勝0敗に

羽生善治九段

王将リーグは7人の総当たりで、それぞれが6局を戦います。日程の都合から進行にはばらつきがあって、豊島名人は2勝1敗で迎えた4局目、羽生九段にとっては初戦でした。

先手番は豊島名人。戦型は相掛かりになり、早い段階からお互いに飛車角を取り合うと、中盤戦を飛び越えて一直線の寄せ合いに突入しました。

その終盤戦で、先に詰めろ(次に相手の玉を詰ます手)をかけたのは羽生九段。しかし豊島名人も受けに回って、簡単に決着はつきません。さらに豊島名人は相手の攻めに乗じて、玉をするすると上部に逃がします。ついには敵陣に入り込む「入玉」を果たしました。

入玉を許すと、その周りの敵の駒はすぐに成ることができます。対して自分の駒は基本的に前に進むものなので、懐に入られてしまうと、捕まえることが困難になります。一時は対局中継サイトに「羽生九段は諦めず、粘り強く指し続ける」という記者コメントが載るほど、羽生九段にとっては厳しい状況に見えました。

しかし羽生九段はそこから手筋の攻めを繰り出して、豊島玉を押し戻すことに成功します。最後は飛車角を全部相手に渡しながらも、小駒だけで包囲網を築いて勝利しました。

これでリーグ成績は羽生九段が1勝0敗、豊島名人が2勝2敗。次に行われる王将リーグの対局は、10月18日の羽生九段―久保利明九段(0勝1敗)と、糸谷哲郎八段(0勝1敗)―藤井聡太七段(1勝1敗)になります。