JR東日本は3日、同社が開発した新幹線線路設備モニタリング装置を搭載した専用保守用車「SMART-i」を試験導入すると発表した。

  • 専用保守用車「SMART-i」(JR東日本提供)

同社は新幹線の線路全体の保守・機能状態を把握するため、専用の検測車両「East-i」を使用した定期的な線路のゆがみの測定をはじめ、人や検査装置を活用した検査を実施している。新開発の新幹線線路設備モニタリング装置を搭載した新型保守用車「SMART-i」の導入により、線路状態の検測精度向上や作業員の労力の軽減をめざす。

「SMART-i」はCBM(状態を把握して最適な時期に補修を行うメンテナンス手法)を実現するため、各種センシング技術を統合し、効率かつ効果的な検査をスマート(手際よく、賢明な)に行うことをめざし、名称に「SMART」を採用。これにJR東日本の総合検測車である「East-i」の「-i」を付与することで、検測車としてのイメージを踏襲し、親しみやすい名称とした。

  • 「軌道材料モニタリング装置」外観(JR東日本提供)

  • 「分岐器・軌道変位検査装置」外観(JR東日本提供)

「SMART-i」が搭載する新幹線線路設備モニタリング装置は、軌道材料モニタリング装置と分岐器・軌道変位検査装置から構成される。軌道材料モニタリング装置は、レールとマクラギを固定する金具(レール締結装置)の状態をカメラで撮影して画像解析を行い、レール締結装置等の材料に異常がないか測定できるしくみに。分岐器・軌道変位検査装置は、加速度計とレーザーセンサーにより、分岐器および線路のゆがみを測定する装置となっている。両装置とも「SMART-i」の床下に搭載されている。

今後の予定としては、東北・上越・北陸・山形・秋田新幹線にて、2019年10月から2021年3月までの間、検測データの精度の検証、機器の耐久性、データ解析のシステム構築など、運用に向けた課題について試験を行っていく。「SMART-i」の実導入については、試験結果を踏まえ、検討を進めていくとのこと。