2019夏ドラマ18作をガチ採点! 『朝顔』最優秀作品の理由とは

※以下はドラマの結末などネタバレを含んだ内容もあります。これから視聴予定の方はご注意ください。

■『監察医 朝顔』　月曜21時～　フジ系

出演者：上野樹里、時任三郎、風間俊介ほか
寸評：法医学ドラマは飽和状態だが、家族の存在を押し出すことで新たな可能性を切り拓いた。クールな法医学パートと感情がこみあげる震災パートのコントラストも絶妙。主題歌なども含めプロデューサーの勝利。
採点：【脚本☆☆☆　演出☆☆☆　キャスト☆☆☆　視聴率☆☆☆　総合☆☆☆】

■『リーガル・ハート～いのちの再建弁護士～』　月曜22時～　テレ東系

出演者：反町隆史、小池栄子、橋爪功ほか
寸評：同枠らしく、日本のビジネスシーンにはびこる問題を扱い、原作がノンフィクションだけにディテールには破たんなし。ただ、脚本の中にリアリティを感じさせるほどの解決策を見い出すことはできなかった。
採点：【脚本☆　演出☆☆　キャスト☆☆　視聴率☆　総合☆☆】

■『TWO WEEKS』　火曜21時～　カンテレ・フジ系

出演者：三浦春馬、芳根京子、比嘉愛未ほか
寸評：最初から最後まで「逃亡劇あるある」のシーンが多く、警察の無能さを前提にした追いかけっこが続いた。韓国ドラマ原作らしい、根っからの悪人やピュアな子どもなどの描写は、視聴者を選んで当然か。
採点：【脚本☆　演出☆　キャスト☆☆　視聴率☆　総合☆】

■『Heaven～ご苦楽レストラン～』　火曜22時～　TBS系

出演者：石原さとみ、福士蒼汰、志尊淳ほか
寸評：石原さとみと芸達者な助演たち、おいしそうな料理を織り交ぜたコメディに期待値は高かったが、CGや小ネタなど脱力系の演出がことごとく不発に。もともとテーマのぼやけた作品だけにこうなると厳しい。
採点：【脚本☆　演出☆　キャスト☆☆　視聴率☆　総合☆】

■『偽装不倫』　水曜22時～　日テレ系

出演者：杏、宮沢氷魚、仲間由紀恵ほか
寸評：原作漫画からの“韓国外し”で、東村アキコらしい色気と毒が消失。旅先の過ちは「だらしない女」、歯の浮くような愛の言葉は「いけ好かない男」という印象に……。杏の持ち味を引き出したとは言い難い。
採点：【脚本☆　演出☆　キャスト☆　視聴率☆☆　総合☆】

■『サイン ―法医学者 柚木貴志の事件―』　木曜21時～　テレ朝系

出演者：大森南朋、松雪泰子、仲村トオルほか
寸評：正義も悪もキャラが濃いわりに心理描写が少なく、良くも悪くも展開で魅せる韓流ドラマらしい作品だった。視聴者を驚かせるのはいいが、後味の悪さを残す結末にも疑問。ベテラン俳優の熱演も空回り気味に。
採点：【脚本☆　演出☆☆　キャスト☆☆　視聴率☆☆　総合☆】

■『ルパンの娘』　木曜22時～　フジ系

出演者：深田恭子、瀬戸康史、渡部篤郎ほか
寸評：映画『翔んで埼玉』の勢いを持ち込んで笑わせることに特化。スタッフの「ここまでやってこそコメディ」という意気込みが聞こえてくるようだった。内容がおバカな分スタイリッシュな映像が際立つ結果に。
採点：【脚本☆☆　演出☆☆☆　キャスト☆☆　視聴率☆　総合☆☆】

■『わたし旦那をシェアしてた』　木曜23時59分～　読売テレビ・日テレ系

出演者：小池栄子、りょう、岡本玲ほか
寸評：「3人のシングルマザーと事実婚していた男性の死をめぐるミステリー」と思わせながら、何ともあっさりとした結末。母子の愛情を問い、理解し合う難しさを描きつつ、最後の「何でもシェア」に拍子抜け。
採点：【脚本☆　演出☆☆　キャスト☆☆　視聴率☆　総合☆☆】

■『これは経費で落ちません!』　金曜22時～ NHK

出演者：多部未華子、重岡大毅、吹越満ほか
寸評：一般企業の経理を舞台にOLの日常を描きながらシュールなキャラコントを展開。コメディ巧者だけを集められるNHKの強みが映像に表れていた。ラブストーリーの絡め方もほどよく、続編の期待は大きい。
採点：【脚本☆☆　演出☆☆☆　キャスト☆☆☆　視聴率☆　総合☆☆☆】

■『凪のお暇』　金曜22時～　TBS系

出演者：黒木華、高橋一生、中村倫也ほか
寸評：夏休みを感じさせるのどかな映像に「空気を読みすぎる」「空気を読めない」現代人の悩みを織り交ぜて、味わい深い作品に。慎二とゴンという人間くさく魅力的な男性を描き分けたスタッフのお手柄だろう。
採点：【脚本☆☆☆　演出☆☆☆　キャスト☆☆☆　視聴率☆　総合☆☆☆】

■『セミオトコ』　金曜23時15分～　テレ朝系

出演者：山田涼介、木南晴夏、今田美桜ほか
寸評：「どこを切り取っても岡田惠和」というファンタジーであり、人間賛歌。セミ男を通して人間の素晴らしさと危うさを感じさせたのはさすがだった。いちゃいちゃシーンの多さで視聴者を限定したのも事実。
採点：【脚本☆☆　演出☆☆　キャスト☆☆　視聴率☆　総合☆☆】

■『Iターン』　金曜24時12分～ テレ東系

出演者：ムロツヨシ、古田新太、田中圭ほか
寸評：小劇場やミニシアターの匂いがかおる世界観は、ムロ、古田、田中の本領にも見えた。事前予想を超えるバイオレンスなシーンの連続に引いてしまった視聴者も多いようだが、それもテレ東の深夜ドラマ。
採点：【脚本☆　演出☆☆　キャスト☆☆　視聴率☆　総合☆☆】

■『ボイス 110緊急指令室』　土曜22時～　日テレ系

出演者：唐沢寿明、真木よう子、増田貴久ほか
寸評：目を覆いたくなる極悪犯人と「助かるのか?」のタイムリミットをベースにしたサスペンスは機能。伊勢谷友介のサイコパスな演技も話題を集めた。ただ、「ボイス」というコンセプトが効いていたとは思えない。
採点：【脚本☆　演出☆☆　キャスト☆☆　視聴率☆☆　総合☆☆】

■『べしゃり暮らし』　土曜23時15分～　テレ朝系

出演者：間宮祥太朗、渡辺大地、矢本悠馬ほか
寸評：劇団ひとりが手がけた漫才シーンなどの臨場感は期待以上で、俳優陣の努力も感じさせた。それだけに原作を無作為に切り取ったような脚本が残念。主人公より周囲のキャラばかりに脚光を当てたのはなぜか?
採点：【脚本☆　演出☆☆☆　キャスト☆☆　視聴率☆　総合☆☆】

■『だから私は推しました』　土曜23時30分～　NHK

出演者：桜井ユキ、白石聖、細田善彦ほか
寸評：奮闘から喜び、悩み、危うさまで、アラサーOLと地下アイドルの描写はディテールまで申し分のないクオリティ。桜井と白石、事実上のWヒロインも終始、魅力的だった。やはり森下佳子の脚本にハズレなし。
採点：【脚本☆☆☆　演出☆☆☆　キャスト☆☆☆　視聴率☆　総合☆☆☆】

■『それぞれの断崖』　土曜23時～　東海テレビ・フジ系

出演者：遠藤憲一、田中美里、田中美佐子ほか
寸評：「息子を殺した加害者少年の母と恋に落ちる」という無理のある物語をどう映像化するか。最重要な「好意が芽生える」シーンがドラマティックにならず、視聴者が最後まで「ありえない」と戸惑う結果に。
採点：【脚本☆　演出☆☆　キャスト☆☆　視聴率☆　総合☆】

■『ノーサイド・ゲーム』　日曜21時～　TBS系

出演者：大泉洋、松たか子、上川隆也ほか
寸評：ほぼ経験者で固めたラグビーシーンは、ドラマならではの映像技術で、誰もがわかる凄みを伝えていた。ビジネスパートを抑えめにした好判断もあり、視聴者に夢や仲間の素晴らしさを感じさせた物語は貴重。
採点：【脚本☆☆　演出☆☆☆　キャスト☆☆☆　視聴率☆☆☆　総合☆☆☆】

■『あなたの番です』　日曜10時30分～　日テレ系

出演者：田中圭、横浜流星、西野七瀬ほか
寸評：視聴者の考察合戦を盛り上げたインパクト絶対主義の制作姿勢は時流に合致。批判を集めた「黒幕はサイコパス」という結末はさておき、ミステリーで2クールもたせた脚本・演出には最大限の賛辞を送りたい。
採点：【脚本☆☆☆　演出☆☆☆　キャスト☆☆　視聴率☆☆☆　総合☆☆☆】