『3年A組-今から皆さんは、人質です-』(日本テレビ系)で注目を集める女優・堀田真由(21)の勢いが止まらない。今年だけで4作のドラマに出演し、6作の映画が公開される人気ぶり。主演に抜てきされた映画『プリズン13』(8月30日公開)では、看守役と囚人役による監獄実験が描かれ、そこでも堀田の「自走本能」が発揮される。

映画『ソロモンの偽証』(15)のオーディションをきっかけに上京するも、最終選考で落選。そこでスカウトされるが“救いの手”に頼ることなく、2014年に実施されたアミューズ新人発掘オーディションに自ら応募。3万2,214人の中からWOWOWドラマ賞を受賞し、芸能界デビューを果たした。

数々の困難を乗り越え、NHK連続テレビ小説『わろてんか』や『3年A組』などの大役を射止めてきた彼女の強みとは。

  • 堀田真由

    女優の堀田真由 撮影:宮川朋久

■芸能界に導かれた「佐藤健」の存在

――『プリズン13』公開決定時に発表されていた監督コメント(「聡明さや器用さは俳優にとって諸刃の剣で、撮影中、堀田とそれに連なる話をしました。その日から堀田は変わりました」)がとても印象的でした。

順撮りだったんですが、看守から囚人になるタイミング、撮影でいえば折り返し地点ぐらいになる時に、主演の立場で「みなさんを明るくしなきゃ」とか、「コミュニケーションとらなきゃ」とか、いろいろ考えていたんです。その日の朝、監督に呼び出されて、「主演なのに、主演になりきれていない」と言われました。かなりショックというか、すごく悔しくて。監督としては、看守から囚人になるタイミングで「堀田真由」としても強くなるために言ってくださったのかなと受け取って。本当にその一言だけだったんです。

  • 堀田真由

    『プリズン13』では内気で正義感の強い女子大生・マリを演じる (C)2019「プリズン13」製作委員会

――「堀田真由」として強くなるために。

現場じゃないところで、みなさんのことを考えていたんです。マリは内向的な役で、インするまでは台本に関して自ら発信することもあったのですが、インしてからはあまりしていなくて。言われたことに対して、「はい、やってみます」という感じだったので、監督としては一緒に試行錯誤しながら作りたいという意味でそういうふうにおっしゃっているのかなと。

その日から、現場で自ら声を出してみたり、ボルテージをあげたりしました。カメラが回っているその前で、自分自身のテンションを上げることを意識してみた時に、「このことだ」と気づいて。撮影の外の空気ではなくて、撮影の全体の空気感を私自身が作らないといけなかったんです。そこが自分には欠けていたところでした。

主人公を演じさせていただくのは、今回で3回目なんですが、2回目からしばらく時間が経っていたんです。その間、主役の方がいて、私はその周りで「いかに色を出すか」というところを意識して。やっぱり、主役はそうやって作品全体のことを考えないといけないということを、あらためて考えさせられました。

  • 堀田真由

――その一言から答えを導くのは、すごいことですよね!

そうですかね……その時はすごく落ち込んだんです(笑)。大人になればなるほど、ダメ出しをされるのはありがたいことだと最近思っていて。やっぱり、言ってもらえるうちが花です。厳しいお言葉の裏には、どういう愛があるんだろうというのを常に考えるようにしています。撮影を通していろいろな経験をさせていただきましたが、今回が一番大きなお言葉だったと思います。監督も、私の本質的な負けず嫌いな部分を分かっていたはずで、今後、主人公を演じる時にも、そのお言葉を思い出すはずです。

――以前から、インタビューなどで「負けず嫌い」を公言されていますよね。褒められるより、厳しい言葉で成長していくタイプだと。

できることなら褒められたいです(笑)。褒められることが多い中で、あえて厳しい言葉を投げかけてくださる方は、そうそういないので。だからこそ、ちゃんと受け止めようと思います。

  • 堀田真由

――堀田さんといえば『ソロモンの偽証』のオーディションで最終選考まで残って、惜しくも落選。そこで、芸能事務所からスカウトされたそうですが、断ったそうですね。

自分の中の直感を信じたくて。何となく違うなと思っていたんですけど、地元に帰った時に「やっぱりやりたい」と思ったんですね。スカウトされた時は、「やっぱりここに来るべきじゃなかったかも」と気持ちがあやふやな状態だったんですが、地元に帰って負けず嫌いが出て来てしまって。オーディションを受ける決心をして、その時に『るろうに剣心』を拝見して、こんな映画が日本でも撮れるんだ! とすごく感動したので、佐藤健さんが所属するアミューズのオーディションを受けることになりました。

――オーディション情報サイト「オーディション&デビュー」には、ラストスピーチの言葉が今でも残っています。覚えていますか?

えー! 何を言ったんだろう……(笑)。