待ってました! NHKの大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』(毎週日曜20:00~)の第29回(8月4日放送)で、いざロサンゼルスオリンピックへ!「勝ち負けがすべて」と、メダル獲得に執着している田畑政治(阿部サダヲ)は、選手から“メダルの亡者”とまで言われてしまう。でも、彼自身は、内閣総理大臣犬養毅が殺害された五・一五事件などで揺れる日本を、オリンピックのメダルで明るくしたいという思いがあった。

  • いだてん

    田畑政治役の阿部サダヲ

田畑率いる日本の水泳チームの若き精鋭たちがなんともまぶしい。前回のアムステルダムオリンピックでメダルを獲得した斎藤工演じる高石勝男選手や、大東駿介演じる鶴田義行選手、上白石萌歌演じる女性初のメダリストとなる前畑秀子選手らの快進撃と共に、メダル獲得へのプレッシャーや葛藤も描かれる。

彼らに熱い声援を送ってきた田畑役の阿部を直撃。「とてもいいチームです」と称える阿部は、実際に田畑としても、阿部としても、水泳チームのメンバーたちを温かく見守っていたようだ。

――斎藤工さん、大東駿介さん、上白石萌歌さんたち水泳選手は、きちんと体も鍛え上げ、まさに水泳選手そのものです。実際に、現場はどんな雰囲気でしたか?

斎藤さんと大東さんは、ロスオリンピックでは、選手としての旬が過ぎている現役選手役で、その下に上白石さんたち若い子たちがいて、僕たちは彼ら(斎藤さんと大東さん)の上にいました。斎藤さんたちが、若い子たちともちゃんと話をしてくれたり、競技のシーンについて説明してくれたりして、僕たちの間に入ってくれたので、すごく助かりました。そのチームワークの良さがそのまま映像に映っていると思います。

――まさに、選手たちがプールで青春している雰囲気がすごく出ていますね。

たとえば、女子チームが入ってきた時、そわそわする男子もいたりして、その感じもドラマに出ています。本当に鼻血を出している子もいたし、寒くてホットジェルを塗りあったりもしていました(笑)。学生みたいな感じのノリで、見ていて微笑ましかったです。でも、みんなすごく仲良くやっていましたが、その姿を見て、自分が急に年をとったなとも思いました。撮影後もごはんとかに行っているそうですよ。

  • いだてん

――阿部さんも一緒に行かれたのですか?

いや、僕は2日後くらいにその話を聞いたんですが、皆川(猿時)さんも行っていたらしくて。僕が忙しいと思って気を遣ってくれたみたいなのですが、行けたんですけどね(苦笑)。でも、きっと選手役の人たちは、ずっと仲良くやっていくんじゃないかなと。

――ロスオリンピックの回は、また大いに盛り上がりそうですね。

そのロスオリンピックを、あたかも実況しているかのように“実感放送”をするNHKアナウンサー・河西三省さん(トータス松本)にも注目してください。彼はバリバリ関西の人なのに、アナウンサー役ということでかなり苦労されていたそうですが、すごく面白いです。

――田畑の人生が今後どうなっていくのかも気になるところです。

やはり大河ドラマは、主人公が出会う人によって成長していくところがいいと思っています。田畑さんもそうで、嘉納治五郎さんを見て「こういうやり方があるのか」と知っていくし、緒方さんという朝日新聞の編集局長(リリー・フランキー)もかわいがってくれています。そして、結婚をして、奥さんの言葉でもまた変わったりもしますし。

ただ、やっぱり争いごとは好きじゃない気がしていますし、そこは一貫しています。もちろん、スポーツで争う分には全然いい。犬養毅さんが「負けても清々しい」と言っているけど、田畑は「そんなことはない。勝たなきゃダメです」と言っちゃう人なので、そこも面白いです。

――第2部は、阿部さんが座長ですが、何か特別に意識されている点はありますか?

第1部で中村勘九郎さんがTシャツを作ったと聞いて、僕もとりあえず『いだてん』のジャージを作りました。松重豊さんからは「もっと現場に差し入れをしろ」と言われています(笑)。

  • いだてん

――『いだてん』を観ていると、2020年の東京オリンピック&パラリンピックがますます楽しみになってきます。

確かに観ていると、重なりますね。日本の人って普段はおとなしいけど、お祭りが始まるとすごく盛り上がりますから、来年のオリンピックも、ノッてくるとすごいんだろうなと。きっと大いに盛り上がるんじゃないかなと思っています。僕はやっぱり水泳が観たいですね。また、セレモニーも楽しみにしています。

■プロフィール
阿部サダヲ(あべ・さだを)
1970年4月23日生まれ、千葉県出身の俳優、歌手。大人計画所属。大人計画の俳優らとバンド「グループ魂」を結成し、ボーカルの「破壊」としても活動。2007年、『舞妓Haaaan!!!』で映画初主演し、第31回日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞。2010年のNHKドラマ『離婚同居』で連続ドラマ初主演。映画の近作は『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』(18)

(C)NHK