現在テレビ朝日系全国ネットで好評放送中のスーパー戦隊シリーズ『騎士竜戦隊リュウソウジャー』の劇場版となる『騎士竜戦隊リュウソウジャー THE MOVIE タイムスリップ!恐竜パニック!!』が、7月26日より公開される。今回の映画では、リュウソウジャーの5人が6500万年前の恐竜時代へとタイムスリップし、リュウソウ族の祖先であるヴァルマ(演:佐野史郎)や娘のユノ(演:北原里英)と出会うほか、鎧戦士ガイソーグとの激闘や、超巨大隕石大激突の脅威、大暴れする巨大マイナソー、リュウソウジャーと共に戦うキシリュウジンの活躍など、見せ場が満載された超娯楽作品となっている。

  • 左からユノ役の北原里英、ヴァルマ役の佐野史郎 撮影:宮川朋久

ここでは映画の公開を記念し、物語の中核部分を担っている映画ゲストのヴァルマ役・佐野史郎、ユノ役・北原里英の2人がインタビューに登場。『リュウソウジャー』に参加した感想や撮影の裏話、映画のお楽しみポイントなどを語りあってもらった。

――佐野さんは東映特撮ヒーロー作品の劇場版では『海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバンTHE MOVIE』(2012年)の宇宙警察ウィーバル総裁(アシュラーダ)、『仮面ライダー平成ジェネレーションズ Dr.パックマン対エグゼイド&ゴーストwithレジェンドライダー』(2016年)の財前美智彦(Dr.パックマン)に続く、3度目のゲスト出演となりますね。

佐野:毎回、どんな悪役キャラクターを演じようか趣向を凝らしていますが、今回のヴァルマという役は典型的な悪役でもあり、弱さと優しさを内包している雰囲気もあり、今まで出演した東映特撮の中ではもっとも人間味あふれる役柄だと思います。

北原:私が演じる古代人類ユノの父親役が佐野さんなんですけれど、強大な力を持ってしまったゆえに、その力に取り込まれてしまうといった、人の心の弱さを体現するキャラクターがヴァルマなんですね。

佐野:そうそう。最初にホン(脚本)を読んだとき、6500万年前はどんな世界だったのか、というリアリティがよく考えられていて、面白いと感じたんです。恐竜がいた時代にはわれわれのような人類は存在していなかったでしょうが、もしも古代人類がいたら、どんな生活をしていたのか……、SF、あるいは幻想怪奇の世界っていうのは、あながち完全な絵空事だと言い切れるものではないと思うんですよ。フィクションでの出来事が、現実とシンクロすることも多々あるような気がします。たとえば、ついこの間、史上初めてブラックホールの撮影に成功したニュースがあったでしょう。ブラックホールって、物質や光までも吸い込んでしまう巨大な重力を持っているため、周辺の時空にゆがみが生じるそうですね? 今回の映画でも「時空のゆがみ」が大きなポイントとして出てきますし、そういったシンクロニシティに驚かされます。フィクションの世界にそういった"リアル"を重ねて、ほんとうにこんなことがあるかもしれない、と思わせるのが映画の醍醐味かもしれません。

――北原さんは子どものころ「スーパー戦隊シリーズ」をご覧になっていたとうかがいましたが、具体的にはどんな作品がお好きでしたか?

北原:私は『忍風戦隊ハリケンジャー』(2002年)、『爆竜戦隊アバレンジャー』(2003年)、『特捜戦隊デカレンジャー』(2004年)あたりをよく観ていました。特に『アバレンジャー』が大好きで、「アバアバアバアバアバレンジャー♪」なんて、エンディングテーマに合わせて踊っていたのが懐かしく思い出されます。スーパー戦隊といえば、「僕と握手!」でおなじみのシアターGロッソのアトラクションショーがありますが、私はAKB48に在籍していたころGロッソでも公演をしていて、偶然にもヒーローに近い場所にいたんです。今回、私にとってとても親しみのある「スーパー戦隊」の世界に関わることができて、うれしかったです。

佐野:『アバレンジャー』ってもう16年前になるんだね。僕が「ゴジラ」シリーズに出演していたころだよ(笑)。

――今回、お2人は父娘という設定ですが、実際に同じ画面で父娘が共演する場面は多いのですか?

佐野:一緒にはいるんですけど、仲良く肩を寄せ合って……という父娘じゃなくてね。常に"対立"していました。

北原:最後に、お父さん(ヴァルマ)と一緒にいるシーンを撮ったんですけど、あまりにもロケ場所が寒すぎて、細かな記憶が飛んでしまってます。

佐野:寒かったよねえ! ガチガチ震えていて、歯がかみ合わなくなったもんな。あまりの寒さで、ひざがガクガクしてくるし……。

北原:佐野さんの顔色がだんだん蒼白になってきて、心配しました。

佐野:自分でも、あのとき血のめぐりがおかしいなって思ったんですよ。

――映画の制作発表会見の席で、北原さんが何気なく佐野さんの衣装の襟のところを整えていたりして、そういった何気ない仕草がほんとうの"父娘"っぽく見えました。

佐野:それはそうですよ。前に共演したドラマでも父と娘を演じていたんですから(笑)。

北原:そうなんです。今年(2019年)の1月30日に放送したテレビドラマ『家売るオンナの逆襲』(第4話)で、私は佐野さんの娘を演じていました。そのときも仲良くはしていなくて、距離のある父娘でしたけど(笑)。

佐野:初対面ではなく、お互いよく知っていますから。信頼感が違いますよ。

北原:しかも、共演したのはこれだけじゃないんです。NST開局50周年記念特別番組『越後と出雲~太古のロマン 時を超えて~』というドキュメンタリー番組で、私と佐野さんがナビゲーターを務めていたんです。

佐野:僕は出雲の地の出身で、地元の伝承や神話が好きで古事記や古代史の本なども読んでいましたし、そうした知識がとても役に立ちました。僕と里英ちゃんが「大国主命(オオクニヌシノミコト)と沼河比売(ヌナカワヒメ)」という立ち位置で、出雲から越後へ、神話ゆかりの地をめぐっていたんです。

北原:出雲大社で見た"勾玉(まがたま)"がとてもきれいでした。

佐野:二千年前のヒスイの勾玉! 勾玉といえば、テレビの『リュウソウジャー』にも一瞬、出てきたんだよね。出雲大社では龍蛇様を奉納する儀式があるし。これも偶然なんでしょうけど、この映画になんで僕たちがゲストに選ばれたのかな、なんて思うと、神秘的な"導き"を感じるんです。

北原:出雲大社は縁結びの神様ですもんね。改めて佐野さんとは強い"ご縁"があるなと思いました。