2019年7月26日より公開される映画『劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer』(監督:田崎竜太)は、現在放送中の特撮テレビドラマ『仮面ライダージオウ』の劇場版であり、『仮面ライダークウガ』(2000年)から『ジオウ』まで20作続いてきた「平成仮面ライダー」の集大成を狙った作品でもある。

  • 大幡しえり(おおはた・しえり)。1998年生まれ、埼玉県出身。2017年の映画『ひるなかの流星』で女優デビュー。『監獄のお姫さま』(2017年)『覚悟はいいかそこの女子』(2018年)などのテレビドラマや、舞台『雲のむこう、約束の場所』に出演した後、2018年9月より『仮面ライダージオウ』ツクヨミ役でレギュラー出演を果たす。好きな食べ物はオムライス。好きなスポーツはテニス。撮影:宮川朋久

今回の映画では、『仮面ライダードライブ』の"歴史"を消滅の危機から救うため、仮面ライダージオウ/常磐ソウゴたちが1575年の戦国時代へタイムワープし、戦国の世において"魔王"と恐れられた織田信長に遭遇するというストーリーが描かれる。ソウゴがすべての平成仮面ライダーから"ライドウォッチ"を集めたとき、歴史の管理者を名乗る「クォーツァー」なる集団が出現。果たしてクォーツァーの目的は何か? そしてソウゴはどのような"魔王"になるのだろうか? これらの謎は映画を観ることによってすべて解き明かされるだろう。

単独キャストインタビューの今回は、"サイテーサイアクの魔王"=オーマジオウが君臨する2068年の未来世界から現代へとやってきた少女ツクヨミを演じる大幡しえりにご登場いただいた。テレビシリーズもいよいよ最終回が近づき、ツクヨミのパーソナリティにまつわる重大な秘密も明かされ始めている中、およそ1年間にわたってツクヨミを演じてきた大幡のいまの心境や、『ジオウ』の集大成といえる映画での注目ポイントなどを語ってもらった。

――昨年(2018年)9月に始まった『仮面ライダージオウ』も、いよいよクライマックスを迎える時期ですね。大幡さんにとって、『ジオウ』に出演する前とした後では、どんなところが変化したと思われますか?

初めのころは、自分がどうツクヨミを演じようかで精いっぱいだったんですけれど、今では台本を読んでいて、どうしてツクヨミにはこのセリフが出てきたんだろうとか、相手にセリフを言いやすいようにするのはどう動けばいいかとか、自分のセリフをただ覚えるだけではない、いろいろなことが考えられるようになりました。ちょっと視野が広がったのかなと思います。

――撮影現場で、特にこういったことが"勉強になった"と思われる出来事はありますか。

私にとっては順一郎さん役の生瀬(勝久)さんとのお芝居が、とても勉強になっています。ソウゴ(奥野壮)、ゲイツ(押田岳)、ウォズ(渡邊圭祐)、ツクヨミと順一郎さんとでクジゴジ堂にいるシーンで、ソウゴが台本の中での自分のセリフが言いにくいなあってことになったんですけれど、そのとき生瀬さんが、ツクヨミが先に促してあげないとソウゴのセリフが出てこないんだよ、というアドバイスをしてくださったんです。そんなことがたびたびあって、クジゴジ堂で生瀬さんとお芝居をするのがとても楽しく、いつもいろいろなことを学ばせていただきました。芝居をするときは自分だけじゃなくて、相手を含めた全体を見渡して、先の部分を想定しておかないといけないんだなって思いました。

――ツクヨミを1年間演じられてきてわかった、彼女の"魅力"とは何でしょう。

初めは"クール"な感じの女の子という印象でしたが、最近、だんだんと女の子っぽくないツクヨミの内面も出てきて、クールっぽい外見とのギャップがいい、みたいなことをファンの方たちから言われるようになりましたね。EP29「ブレイド・ジョーカー!?2019」やEP35「2008:ハツコイ、ウェイクアップ!」でツクヨミがため息をつきながら「ダメだこりゃ……」なんて言ったときは、すごい反響をいただきました。最初のときはこんなセリフぜったいに出てこなかったと思うんですが(笑)、ソウゴをはじめとするいろいろな人との出会いによって、ツクヨミの人間味が増したと思うんです。今ではいろいろな感情をストレートに表すようになり、現代の人間に近づいていっているんじゃないでしょうか。クールな面、ちょっとコミカルな面など、いろいろな表情が観られるのが、ツクヨミの魅力だと思っています。

――アクションシーンのほうはいかがですか。最初のころと比べて、こんなところが上達した、なんて部分を教えてください。

激しい動きはそれほどないのですが、たとえば銃を構えるときの"表情"とか、最初のころから比べて今のほうがずっと良くなっていると言われるようになりました。もともとツクヨミは「レジスタンスの戦士」ですから、ようやくそれっぽく銃を撃てるようになれたかな……と。今になってわかってきたのは、カメラに向かってどういう風に動けばいいか、その"見せ方"です。初めのころは狙う相手を想定して銃を構えていたんですが、それだとカメラが私の姿を捉えたとき、狙っているように見えないときがあるんです。カメラから見たとき、どういう位置で撃てばいいのかなど、ただ自分が演技をすればいいのではなくて、画面上にどう映っているかを想定しなければいけない、というのをすごく意識するようになりました。できることなら、まだ何も分かっていなかった第1話から、そういったアクションシーンを撮り直したいくらいです。

――キャラクターソング「月の満ちる時」を歌われていますが、以前から歌に自信はありましたか?

ないです(笑)。GWに新高輪プリンスホテルで開催された『ジオウ』のイベント(魔王の宴、救世主の宴)ではステージの上で歌ったのですが、リハーサルをしていて絶望的な気分になりました……。でも、ステージでご一緒する仮面ライダーGIRLSのみなさんから、事前に「どうしたら緊張しないか」を教えていただいたり、振り付けをいっしょに考えてくださったり、私がやりやすいようにいろいろと気を遣っていただいたおかげで、なんとか歌うことが出来ました。それでもすごい緊張していたので、後で映像を観返すと「顔がこわばっている!」なんて思ってしまいますけれど(笑)。そこへ行くと、ソウゴやゲイツは1月の「超英雄祭」で1万人のお客さんを前にして歌ったことがありますから、やっぱり余裕の持ち方が違うなあって感心しました。あとウォズは私と同じで人前で歌うのが初めてのはずだったのに、すごくノリノリで歌っていて、あれもかなり驚きでしたね。

――これまでの撮影期間をふりかえって、個人的にもっとも重大なニュースというのがあれば教えてください。

撮影中に誕生日(11月5日)を迎え、「20歳」になったことです。やはり自分にとっての節目ですから、一番印象に残りました。誕生日は撮影現場でみなさんにお祝いしていただきました。とっても大きなマスカットのケーキを用意してくださって、私はケーキ大好きなので、もう「うれしい~~!」って大喜びして、大きく切ってもらったのをすごい勢いで食べていたら、キャストのみんなからドン引きされました(笑)。ぜんぶ一気に食べたんじゃなくて、一部を食べただけなのに……。でもそれだけ、誕生日をみんなでお祝いしてもらえたのがうれしかったんです。