6500万年の時を経て宇宙からやってきた戦闘民族ドルイドンを迎え撃つため、古代から地球を守る使命を受け継いできた若き"騎士"たちが活躍する特撮テレビドラマ『騎士竜戦隊リュウソウジャー』の、初の劇場版となる『騎士竜戦隊リュウソウジャー THE MOVIEタイムスリップ!恐竜パニック!!』(監督:上堀内佳寿也)が7月26日より全国劇場にて上映される。

  • 尾碕真花(おさき・いちか)。2000年生まれ、高知県出身。2012年、第13回全日本国民的美少女コンテストで審査員特別賞を受賞。2018年まで、ガールズユニット「X(エックス)21」のメンバーとして活動し、テレビドラマ『さくらの親子丼2』(2018年)、『仮面ライダージオウ』(2018年/第13、14話)、映画『ちはやふる―結び―』(2018年)など、話題の作品に出演している。撮影:宮川朋久

今回の劇場版は、タイトルのとおりリュウソウジャーが6500万年前の恐竜時代へタイムスリップし、現代のリュウソウ族の祖先であるユノ(演:北原里英)と共に、地球へ接近する超巨大隕石の脅威に立ち向かうという筋書き。かつてない危機に陥ったリュウソウジャーが"未来"の世界を守るため、命を懸けるという凄絶なクライマックスが用意されている。

ここでは、リュウソウジャー唯一の女性騎士で、周囲の暗い雰囲気を一瞬で明るくさせるほどの天真爛漫な笑顔がトレードマークのリュウソウピンク/アスナ役・尾碕真花にインタビューを実施。劇場版およびテレビシリーズの撮影裏話や、仲間たちとのチームワーク、そしてアスナを演じる際に心がけていることなど、役柄と同じく元気いっぱいに語ってくれた。

――『リュウソウジャー』の撮影が始まってからもう半年余りになりましたが、撮影前と後とでは生活に何か変化があったりしましたか?

撮影がいつも朝早いので、日ごろの生活習慣が変わったというのはあります。前まで、オフの日は夕方まで寝ていたりしたんですけれど(笑)、最近は前の晩も早くから寝て、オフでも早起きするという。体がもうそういう風に慣れてきました。

――尾碕さんがアスナを演じたことによって、大きく変わった部分はありますか。

最近、いろんな人から「ぶりっ子になったね」って言われます(笑)。アスナのぶりっ子キャラが若干私のほうにうつっているというのが、自分でもわかるんです。アスナを演じるときは声のトーンをちょっと高くしてしゃべるようにしているんですけれど、アスナでいる時間が長いので、ふだんの尾碕真花でいるときも、少し声が高めになっていて(笑)。わりとぶりっ子な部分が出てるかも?と自分で思うときがありますね。

――アスナは可愛い外見に似合わず、ものすごい力持ちだという設定ですね。人を片手で持ち上げてそのまま遠くへ投げ飛ばしてしまうなど、極端な怪力を披露するのでコミカルな楽しさがあります。

アスナがものすごく明るいキャラクターなので、コウやメルトと絡んでギャグっぽいシーンを演じるときはとても楽しいです。「力がやたらと強い」というのもすっかりアスナの個性として、観てくださる方に伝わっている感じですよね。第1話のときからいろいろと力が強い設定を見せていっていますから。

でもお芝居をやっていて困るのは、どこまでアスナの力の強さを見せていいものか、っていうことなんです。監督さんに「アスナは馬鹿力なので、ここでこういう風に触っていいんですか? ここでは周りのものに触らないほうがいいと思いますけど……」なんていう相談をよくしますね。実際の自分はアスナみたいに馬鹿力じゃないですから、意識していないと「あれ? 力が強いはずなのに」みたいになることもあって。反対に、ここはアスナの力の強さを活かしたいな、という場面では「次のシーン、私がここから通って"ドン!"って叩くから、みんなは大げさに反応してね」って、周りのみんなに協力してもらうことがあるんです。

――第1話で「馬鹿力」と言ったコウに怒ったアスナがと突き飛ばすと、岩にぶつかったコウの周辺にドカーン!と爆発が起きて、それを見たメルトが改めてアスナの怪力ぶりに感心する、といったシーンから、いきなりインパクト強かったですね。

あれは上堀内(佳寿也)監督のドッキリ演出なんですよ。リハーサルのときはアスナが「誰が馬鹿力よ!」と怒ってコウを突き飛ばした後、メルトが「大したもんだ……」とリアクションする流れだったのですが、本番ではドカーン!って爆発が起きて、私は内心「ええっ!?」と驚いたんですが、幸い表情に出ることなく、OKになりました。すると監督が「どう、びっくりした?」なんて笑いながら聞いてくるんです(笑)。このドッキリのおかげで、メルトの驚いた表情がとてもリアルに映っていましたね。

――今回の劇場版も撮られた上堀内監督は、テレビシリーズの第1、2話を手がけ、『リュウソウジャー』の作品世界の基礎を築かれた方ですね。上堀内監督の印象はいかがでしたか。

私たちが芝居をしていて、次のシーンはどういう風にやればいいのかわからないというときがあるのですが、そういうとき監督は「今の芝居、自分でやっていて気持ち悪いでしょ」って、すぐに見抜いてくれるんです。で、「はい。気持ち悪くて、ちゃんと自分で消化できてないです」なんて話すと、ここをこうしてみればいいんじゃないって、アドバイスをしてくださいます。そういった部分で、私たちはとても助けられました。厳しいといえば、言い方はいつもキツめなんですけれど、言っている意味はちゃんとわかりますし、確かにそうだな~って納得できますから。お芝居をするにあたって、とてもやりやすい環境を作ってくださる監督です。

――ヒーロー作品には付き物といえるアクションシーンにも果敢に挑まれていますが、アクションはお得意なほうですか?

アクションは楽しいので好きなんですけれど、私にはどうもセンスがないというか(笑)。わりと動けるほうだと思っていたのですが、周りがみんな男子なので上達するスピードとか、出来る範囲とかが、追いついていないんです。みんながさっさとできてしまう動作が、私だけできないでいることもけっこうあるので、時間があるときにスーツアクターの方たちに体の動かし方や、剣の使い方などを教えてもらうんです。やっぱり、技がひとつできるようになると楽しくなりますけれど、できないと、うーん、楽しくないなって(笑)。負けず嫌いなところがあるので、男子に負けないアクションがこなせればいいなと、日々苦労しながらやっています。基本的にアクションシーンは毎回わくわくしながら、挑戦させてもらっていますね。

――劇中でアスナはとてもよく食べるキャラとして描かれていて、第9話では焼肉、第13話ではポテトチップス、第16話ではフライドチキン2本を両手に持っていたりしましたね。素朴な疑問ですが、あれは本当に食べているのですか?

実際に食べています。もともと私は食べることが好きですし、スタッフのみなさんも事前にアスナ用にお菓子を用意してくださるんです。私自身も、このシーンで何もすることがないとき「お菓子ありますか」って言って、何か食べているようにするとか、アスナの個性として"食べる"ことは強く意識しています。

――元気いっぱい、美味しそうに何でももりもり食べているアスナを見ると、確かに元気が出てきますね。

もちろん、食べ過ぎないよう注意はしています。そうは言っても、カットが終わった後で、次のシーンに私の出番がなくて、食べ物が余っていたりすると「これ食べていいですか」「いいよ!」って感じでいただく、みたいなことありますね(笑)。今まで出て来たものはみんな食べています。第3話のカレー鍋とか、第9話の焼肉とか、美味しかったですね。最近撮ったのはみんなでたこ焼きを食べるシーンでした。アスナが何か食べているときはいつも実際に食べていて、どれも美味しいので楽しみにしています。

――エンディングの「ケボーンダンス」をリュウソウジャーのみなさんが単独で踊り、それらが公式YouTubeでとても評判だとうかがっています。尾碕さんから、ケボーンダンスを上手に踊ることのできるコツなどを教えてもらえますか。

振り付けはみんな一緒なんですけれど、いざ踊ってみると個性が出るんですよね。私はそんなにダンスが得意なほうではなくて、ノリとか楽しい~という気持ちだけでやっているところがあります。そんな風に気持ちを前に出してやっていると、元気でいいねとか、可愛いねとか言っていただけるので、まあ正解だったのかな~って(笑)。

――第12話「灼熱の幻影」では、ういやメルトと共に"幻影"という形で、アスナが巨大な姿を見せました。騎士竜たちと巨大マイナソーが戦う「特撮」のミニチュアセットが並ぶステージに立った生身のキャラクターはわりと珍しいと思いますが、ビルに囲まれて巨大になったご感想はいかがでしたか。

ディメボルケーノがすごくカッコよかった、という印象がありましたね。顔が小さくて、すごくスタイルがいいなあって。最初、このシーンは合成で撮影するんだと思っていたので、特撮のステージに入ることができて良かったです。

――グリーンバックでの合成カットもたくさんあり、何もないところで合成素材として演技をするのは難しそうですね。

お芝居は実際に相手の目を見て感情を受け取り、自分の感情を引き出すのが基本ですから、確かに何もないところで感情を出すというのは難しいですね。どうしても、緑の幕にしゃべりかけているわけですから、気持ちが込めにくいんです。