西武ホールディングスは21日、所沢市の西武第二ビル「くすのきホール」にて第14回定時株主総会を実施した。第14期(2018年4月1日~2019年3月31日)の事業報告等に続き、決議事項について審議が行われ、鉄道等に関する質問・要望も多く挙がった。

  • ゴールデンウィーク期間中、新型特急車両「ラビュー」の臨時列車が本川越駅から運行された(写真:マイナビニュース)

    ゴールデンウィーク期間中、新型特急車両「ラビュー」の臨時列車が本川越駅から運行された

株主総会の議長は西武ホールディングス代表取締役社長、後藤高志氏が務めた。冒頭、西武鉄道の新型特急車両「ラビュー」の運行開始、大規模オフィスビル「ダイヤゲート池袋」の竣工に触れつつ、「今後も社会・経済の変化を敏感にとらえ、機動的に事業を展開することにより、持続的かつ力強い成長を実現していきます」と挨拶した。

報告事項は映像で紹介され、鉄道業について説明も。雇用情勢の堅調な推移やメットライフドームでの野球・イベント開催、沿線施設と連携した営業施策などにより、前期と比べて増加しているとのことだった。旅客輸送人員は前期比1.0%増(うち定期1.1%増、定期外0.9%増)、旅客運輸収入は有料座席指定列車「拝島ライナー」の導入などもあり、前期比1.2%増(うち定期1.1%増、定期外1.3%増)とされた。

■本川越駅手前の単線「いますぐ複線化という段階にない」

続いて報告事項・決議事項に関する審議となり、株主の質問等を受け付けた。最初に発言した女性の株主は新宿線沿線に住んでいるとのことで、「高田馬場で(東京メトロ)東西線との乗入れを実現してほしいと前々から申し上げていましたが、考えてみたら高田馬場という駅そのものが、駅ビルとしては機能がなさすぎだと思います」と話す。西武鉄道とJR東日本、東京メトロに加え、地元の商店街や高田馬場と関わりの深い早稲田大学とも共同で駅の再開発を行い、たとえば早大のサテライト教室を設けるなどにより、魅力ある駅ビルになるのではないかと提案した。

西武新宿駅についても、「ペぺとプリンスホテルだけではもったいないと思います。大江戸線の新宿西口駅と地下で通じるようにすれば、(西新宿の)高層ビル群にも行きやすくなります。そういったことも考えてほしい」と発言。これに対し、西武ホールディングス取締役の西井知之氏は、高田馬場駅・西武新宿駅ともに重要なエリアと位置づけつつ、「現時点で具体的な計画はありませんが、関係機関と協議・調整しながら駅および駅ビルの再構築を検討していきたい」と説明した。

  • 新宿線・拝島線では有料座席指定列車「拝島ライナー」も運行される

次に発言した男性の株主も新宿線沿線の在住。新宿線におけるホームドア設置に関して、「今度は西武新宿と高田馬場に設置するとあったのですが、個人的には通過電車の多い駅に付けてもらったほうが安全性も向上しますし、そちらを優先すべきだと思います」と話し、続けて「池袋線は特急列車が新しくなっていますが、新宿線への特急ラビューの導入などは今後どうなりますでしょうか」と尋ねた。

この質問に答えたのは西武鉄道取締役の飯田則昭氏。ホームドア整備に関して、「国の基本方針として、1日の乗降が10万人以上いる駅の整備を優先して行うこととなっており、新宿線では西武新宿駅・高田馬場駅・所沢駅が該当します。その他、ホームで転落事故等の起こる可能性が高い駅や、列車の運転本数が多く、事故発生時の影響が大きい駅、あるいは(ホームドアを)整備する上での課題が少なく、早期整備の見込まれる駅など、総合的に考慮して選定しています。通過電車の多い駅に付けてほしいとのご意見も踏まえ、今後のホームドア整備について検討していきたいと思います」と述べた。

池袋線・西武秩父線で導入の進む新型特急車両「ラビュー」は新宿線にも導入されるのか。飯田氏は「現時点で具体的に決定していることはありません」とした上で、「ただ、新宿線の特急車両をどうするかは、新宿線の魅力を高めるためにも必要な施策のひとつと認識しています。今後さまざまに検討を重ねたいと思います」と語った。

新宿線については別の株主からも、「本川越駅の手前が昔から単線で、複線にならないのかといろいろな人が話しています。どうお考えでしょうか」と質問があった。飯田氏によれば、「現在の新宿線における輸送需要から、いますぐに複線化が必要という段階にはないとの認識です。将来どのような輸送需要になっていくかなど踏まえつつ、しっかり検討は重ねていきたいと考えています」とのこと。

約半世紀にわたる休止の後、2017年に廃止された安比奈線の跡地利用についての質問も。「安比奈線ならびに安比奈車両基地を予定していた土地に関して、地域の発展に貢献できるエリアと位置づけ、地元の川越市をはじめ、関係機関と協議しているところです。基地計画地の大半は現在のところ、埼玉県の産業団地整備事業に協力させていただき、埼玉県に譲渡したい方針です」と飯田氏は答えた。

西武バスに対する要望もあり、ある男性の株主は「駅前や駅周辺に危険箇所がかなりあります。とくに大泉学園駅やひばりヶ丘駅北口のロータリーなどで誘導員の増員をお願いしたい。安全に関して危機感を持っています」と訴えた。西武バス取締役社長の渡邊一洋氏は、「危険箇所あるいは狭隘な箇所において、自社の責任においてガードマンを配置するなど、バスの運行に際して細心の注意を払っているところです。今後も必要に応じて、地元警察とも協議しながら適切な安全対策を図りたい」と述べた。

バス会社におけるハラスメント行為により、「現場の意見を聞いてもらえないような体質になっています。安全輸送にも支障を来すことになります。組織体質の改善をお願いしたい」との意見も。西武バスの渡邊社長は、「社員研修や職場でのミーティング等の中で、さまざまなハラスメント行為を課題として取り上げ、行為自体がなくなるように啓発し、風通しの良い職場をめざそうと繰り返し訴えています。問題を早期に把握し、解決できるように努めているところです」と答えた。

■ライオンズは「良い選手を引き留めることも大事」

今年の株主総会での質問者は計13人。鉄道・バスに対する質問・要望だけでなく、埼玉西武ライオンズに対する発言も目立った。

「今年は昨年と比べて『西武線アプリ』をあまり利用していません」と言う女性の株主は、その理由を「ライオンズのコンテンツがなくなったからです」と話し、「優勝した次の年にコンテンツがなくなる。これに関してどう思っているのでしょうか」と質問。続けて「ライオンズは他球団と比べて優勝への執念が弱い気がします。補強に対するご意見を聞きたい」と発言し、会場内の他の株主からも拍手が起きた。

「西武線アプリ」については西武鉄道の飯田氏が答え、「昨年はライオンズのコンテンツを試行的に入れました。スタートして間もないアプリということもあり、内容を工夫しながらコンテンツの充実に努めているところです。今年度は5月に多言語化、6月にグルメ機能の追加があり、他の鉄道会社との連携にも取り組んでいました。ライオンズに関するご要望も含め、これからもっと魅力的なアプリに仕上げていきたいと思っています」と説明。これに後藤社長が補足し、「いま回答した飯田は、前職が西武ライオンズの専務でした。ライオンズの対する思い入れは人一倍あると思いますので、ご意見を踏まえ、これからしっかり取り組むと思います」と話す場面もあった。

  • 埼玉西武ライオンズの選手が参加する鉄道イベントも開催される(2018年1月のイベントにて撮影)

西武ライオンズ代表取締役社長の居郷肇氏は補強に関する質問に答え、「編成部とは日頃からチーム状況や戦力分析に関する意見交換を行っています。補強等による戦力の充実・向上についても、そのつど必要に合わせて対応しています」。後藤社長は埼玉西武ライオンズのオーナーという立場から、「補強も精力的に行っていますが、まずはドラフトで入団した若手選手をいかに育成し、戦力化していくかが大きなテーマ。その上で、足らざるところは外部から補強しています。たとえば昨年、リーグ優勝したライオンズの先発メンバーは多くがドラフトで入団した選手でした」と補足した。

これまでのライオンズの選手を振り返り、FA(フリーエージェント)宣言して出て行く選手が目立つ一方、逆にチームに加入する選手が少ないことから、「良い選手を引き留めることも大事。クリーンナップを打ってる選手たちがいずれFAの権利を得て、チームを出て行ったら弱小球団になるのではないかと心配しています」との意見もあった。後藤社長は「オーナーという立場からも回答しますと、FA制度は選手の権利であり、尊重するスタンスです。ただ、やはり主力選手に残ってもらいたいというのが本音。ライオンズ愛を培っていく努力がこれからも必要と思います」と述べた。

メットライフドームエリアでは約180億円を投じての改修工事が進み、西武第二球場や室内練習場、若獅子寮といった選手の育成環境面についても施設を刷新する予定。「室内練習場は私も先日見てきましたが、おそらく12球団の中で最高レベルの設備と広さ・高さを誇るトレーニングセンターだろうと思います」と後藤社長は話し、個人的な意見と前置きした上で、「ライオンズで選手生活を全うしてくれた選手には、それなりの処遇を検討する必要があると考えています」「いずれにしても、選手の定着は大きなテーマであり、これからもしっかり取り組みたい」と語った。

  • 所沢市の西武第二ビル「くすのきホール」で行われた今年の株主総会。所要時間は1時間58分だった

今年の株主総会における会場出席株主数は525名。議決権を有する出席株主数(委任状、インターネット等含む)は1万2,752名、議決権個数は262万5,645。「第1号議案 剰余金の配当の件」「第2号議案 取締役4名選任の件」「第3号議案 取締役に対する株式報酬制度導入の件」の決議事項について、1時間以上にわたり審議が行われ、その後は株主の拍手による採決を実施。いずれも賛成多数により可決された。