■ライオンズは「良い選手を引き留めることも大事」

今年の株主総会での質問者は計13人。鉄道・バスに対する質問・要望だけでなく、埼玉西武ライオンズに対する発言も目立った。

「今年は昨年と比べて『西武線アプリ』をあまり利用していません」と言う女性の株主は、その理由を「ライオンズのコンテンツがなくなったからです」と話し、「優勝した次の年にコンテンツがなくなる。これに関してどう思っているのでしょうか」と質問。続けて「ライオンズは他球団と比べて優勝への執念が弱い気がします。補強に対するご意見を聞きたい」と発言し、会場内の他の株主からも拍手が起きた。

「西武線アプリ」については西武鉄道の飯田氏が答え、「昨年はライオンズのコンテンツを試行的に入れました。スタートして間もないアプリということもあり、内容を工夫しながらコンテンツの充実に努めているところです。今年度は5月に多言語化、6月にグルメ機能の追加があり、他の鉄道会社との連携にも取り組んでいました。ライオンズに関するご要望も含め、これからもっと魅力的なアプリに仕上げていきたいと思っています」と説明。これに後藤社長が補足し、「いま回答した飯田は、前職が西武ライオンズの専務でした。ライオンズの対する思い入れは人一倍あると思いますので、ご意見を踏まえ、これからしっかり取り組むと思います」と話す場面もあった。

  • 埼玉西武ライオンズの選手が参加する鉄道イベントも開催される(2018年1月のイベントにて撮影)

西武ライオンズ代表取締役社長の居郷肇氏は補強に関する質問に答え、「編成部とは日頃からチーム状況や戦力分析に関する意見交換を行っています。補強等による戦力の充実・向上についても、そのつど必要に合わせて対応しています」。後藤社長は埼玉西武ライオンズのオーナーという立場から、「補強も精力的に行っていますが、まずはドラフトで入団した若手選手をいかに育成し、戦力化していくかが大きなテーマ。その上で、足らざるところは外部から補強しています。たとえば昨年、リーグ優勝したライオンズの先発メンバーは多くがドラフトで入団した選手でした」と補足した。

これまでのライオンズの選手を振り返り、FA(フリーエージェント)宣言して出て行く選手が目立つ一方、逆にチームに加入する選手が少ないことから、「良い選手を引き留めることも大事。クリーンナップを打ってる選手たちがいずれFAの権利を得て、チームを出て行ったら弱小球団になるのではないかと心配しています」との意見もあった。後藤社長は「オーナーという立場からも回答しますと、FA制度は選手の権利であり、尊重するスタンスです。ただ、やはり主力選手に残ってもらいたいというのが本音。ライオンズ愛を培っていく努力がこれからも必要と思います」と述べた。

メットライフドームエリアでは約180億円を投じての改修工事が進み、西武第二球場や室内練習場、若獅子寮といった選手の育成環境面についても施設を刷新する予定。「室内練習場は私も先日見てきましたが、おそらく12球団の中で最高レベルの設備と広さ・高さを誇るトレーニングセンターだろうと思います」と後藤社長は話し、個人的な意見と前置きした上で、「ライオンズで選手生活を全うしてくれた選手には、それなりの処遇を検討する必要があると考えています」「いずれにしても、選手の定着は大きなテーマであり、これからもしっかり取り組みたい」と語った。

  • 所沢市の西武第二ビル「くすのきホール」で行われた今年の株主総会。所要時間は1時間58分だった

今年の株主総会における会場出席株主数は525名。議決権を有する出席株主数(委任状、インターネット等含む)は1万2,752名、議決権個数は262万5,645。「第1号議案 剰余金の配当の件」「第2号議案 取締役4名選任の件」「第3号議案 取締役に対する株式報酬制度導入の件」の決議事項について、1時間以上にわたり審議が行われ、その後は株主の拍手による採決を実施。いずれも賛成多数により可決された。