WOWOWで6月10日(日本時間)から生中継される、演劇・ミュージカル界の世界最高峰アワードである「第73回トニー賞授賞式」。今回、日本のスタジオでナビゲーターを務める井上芳雄とスペシャルゲストの堂本光一がトニー賞授賞式を間近に控えたニューヨークを訪問。ブロードウェイでの観劇&取材の感想を語った。

  • 井上芳雄(右)と堂本光一

――今回、5月25日に放送される『トニー賞直前SP 2019 ~僕たちのブロードウェイ物語~』の収録でNY・ブロードウェイでの時間を2人で過ごしていかがでしたか?

井上:光一君の舞台への愛は知っていましたが、自分が携わっていることに本当に愛情があるんだなって改めて思いました。 今回NYで『ナイツ・テイル-騎士物語-』に携わったポール・ゴードン(音楽・作詞)とブラッド・ハーク(楽曲アレンジ)に会い に行って『ナイツ・テイル』の話をした時、本当に作品を大事に想っているんだなと。あとは『オペラ座の怪人』の舞台裏を見させていただいたのですが、「こんなふうになっているんだ」と演出する目線がパッと出てくる。ブロードウェイは確かにすごく勉強になりますが、特に自分と関わりがあることに関する興味のエネルギーが強いなと思いま した。

堂本:芳雄君はミュージカルを本業としてやっているけど、改めてこの人、本当にミュージカルが好きなんだな! って思いました。

井上:それしか興味がないとも…(笑)

堂本:好きの度合いが半端ないです。観ること自体が勉強になるし、吸収しようって思いながら観るとは思いますが、勉強熱心だし好きなんだなと思いました。

――印象に残った作品は?

井上:『ザ・プロム』はすごい面白かったです。形としては良くあるミュージカルコメディですが、テーマが変わってきていますよね、LGBTとか。同じ演出家で『ミーン・ガールズ』という作品があって、女子同士の学校でのカースト制度を描いていましたが、もう1歩先に進んで、重く捉えがちなテーマがこんなに楽しめて、しかも感動するんだというのが面白かったです。

――今回のトニー賞で最多ノミネートとなる『ハデスタウン』はいかがですか?

井上:バランスがいいというかクオリティが高いというか、『ザ・プロム』とは方向性が違いますが、演出の工夫と表現でいろんな世界を見せるところがより演劇的ですね。神話をミックスして現代に置きかえていますが完全なオリジナルで、今のブロードウェイらしい、トニー賞に一番近そうな作品だと思いました。

――光一さんは『エイント・トゥー・プラウド』が印象に残っているそうですが。

堂本:単純に英語が分からなくても楽しめるミュージカルです。例えばソウルの音楽やダンスにしても、マイケル・ジャクソンしかり、今人気のブルーノ・マーズしかり、その人たちの原点となるような部分が楽曲やダンスにありました。日本人が観ても無条件に楽しめるワクワクする作品だと思います。もともと役者ではなかった人たちがこれをやるにあたってオーディションを受けたようですね。それもあって、それこそソウルだよね、魂で歌って踊っていると感じました。

――『キング・コング』はいかがでしたか?

堂本:最先端の技術だけでなく、演劇的部分を残そうと人が表現している、そこがブロードウェイならではなのかなと思いまし た。例えば、ラスベガスでやったら最先端の技術で"ショー"としてやるのではないかな。腕を動かすところもあえて人がやっている。動かす様を見せて、その人たちも表現者として存在させていたのが、やり方として面白いなと思いました。

井上:プログラミングされているのかと思いきや、人がリアルに動かして、絶対そっちの方が手間がかかるのにあえてやってい るというね。

堂本:全体的にいろんな作品を観て、最先端な表現も好きですけれど、自分はアナログが好きなんだなと改めて気づきました。『キング・コング』は小さいお子様とかも楽しめるだろうし、子どもが怖がるくらい迫力がありました。

――最後に、番組をご覧になる視聴者へメッセージをお願いします。

井上:毎年違う、その時々のNYを感じながらお届けをしてきましたが、今回、光一君と一緒に来れたというのが一番大きかっ たです。2人だと2倍、いやそれ以上に楽しかった! 今年はいろんなタイプの作品があって2人それぞれの好みが反映されるレポートにもなっていると思いますし、ミュージカルもそうですが、この街自体にいろんな人がいて、いろんな生き方をしていいんだって勇気づけられることがあるなと思いました。2人でたくさん観て感じて話しをしたので、それがみなさんにも伝わって、トニー賞が楽しみだな、ブロードウェイに行ってみたいな、と思ってもらえたら嬉しいです。

堂本:濃密な1週間でした。NYに来てもここまで作品を観ることなかったし、観ても2、3本。それを一気にこの短期間で6本も観 てしまう贅沢をさせていただきました。期間が空いて観る感覚と、毎日連続で観るのとでは受ける印象がすごく違うと思いますね。観て勉強になる部分がたくさんあるし、そういった意味では吸収できるだけして行こう! という思いで観てた部分もあるし、はたまたそんなの関係なく単純に観客として雰囲気を楽しんでいる部分もあったし、いろんな感情が振り切れている状態です(笑)。そんな1週間でした。芳雄君と一緒だからリラックスして楽しめたと思う。もし1人だったらここまで楽しめていないと思う。

井上:これ、好きな人じゃないと務まらないよね。

堂本:普段バラエティをやっていても特にテンション上げてやるタイプではないので、観劇後のウキウキ高揚している感じとか、こちらでしか得られないものがあったと思うので、そういうのが映像を通して伝わるといいなと思います。

2人のニューヨークレポートの模様を収めた『トニー賞直前SP 2019 ~僕たちのブロードウェイ物語~』はWOWWOプライムにて5月25日(土曜 18:45~)放送。『生中継! 第73回トニー賞授賞式』はWOWOWプライムにて6月10日(月曜 8:00~)放送(同時通訳)。字幕版はWOWOWライブにて6月15日(土曜 19:00~)放送。