新社会人の皆さんにとってSNSはもはや生活の一部であり、社会に出るようになっても今までどおりSNSの利用は続けることだと思います。ですが、ここ数年、SNSが原因となった会社でのトラブル、例えば個人情報や機密情報の流出や匿名性を過信した不適切な投稿などのトラブルが頻繁に起きています。

  • 私たちの生活の一部となったSNS

    私たちの生活の一部となったSNS

就業規則の懲戒事由(懲戒処分を受ける理由)には「会社に損害を及ぼしたとき」や「職務の内外を問わず、不正、不当な行為もしくは非行により、会社もしくは会社の業務に従事する者の名誉、信用、体面を傷つけたとき」が該当するとあります。

もし皆さんがこのようなトラブルを会社で起こしてしまった場合、会社から懲戒処分を受ける可能性があるのです。それどころか、個人情報の流出は「不法行為」に該当して、会社や被害者に対して損害賠償責任を負う可能性があります。また、機密情報の流出は「営業秘密侵害罪」に該当して刑事罰を負う可能性があるなど、民事・刑事両方から法的責任を負う可能性があるのです。

皆さんがこのようなトラブルを起こさないためにも、ここで解説する9つのポイントは、必ず守るようにしてください。

  • SNSの利用で守るべきこととは

    SNSの利用で守るべきこととは

1. SNSに投稿することの意味を理解する

SNSへの投稿は友人同士のやり取りのように思いがちですが、公開相手を制限しない限り全国に発信されています。それどころか、公開相手を制限したとしてもその相手が悪ふざけや軽い気持ちで拡散させる可能性があります。

誰に見られてもさしつかえない内容で投稿するようにしてください。

2. 会社に関する情報を投稿しない

会社の商品・サービス・業務など会社に関する情報は、会社内で開示が可能とされているものを除き機密情報です。機密情報のSNSへの投稿は、公開相手を制限していても機密情報の流出を意味するので投稿はしないでください。

また、その情報が開示可能なものであっても、情報が正確さを欠いていれば会社が風評被害を受けます。仮にポジティブな内容であっても、肩書きを伏せていれば「ステマ」として非難されるなどトラブルとなる可能性があります。

開示可能とされている情報であっても、会社に関する情報は投稿しないようにしましょう。

3. 会社を取り巻く関係者に関する情報を投稿しない

顧客や取引先など会社を取り巻く関係者に関する情報も、業務上知り得た機密情報となります。投稿された情報は誰が見ているかわかりませんし、自分は特定されないと思って投稿しても、相手方が気づいたり、「自分のことか?」と余計な誤解を与える可能性があります。

会社を取り巻く関係者に関する情報は投稿しないでください。

4. 業務中は私的にSNSを利用しない

業務中は職務に専念する義務があります。したがって、業務中に私的にSNSを利用してはいけません。また、業務中であるか否かを問わず、会社が貸与しているPC・スマートフォン・タブレットなどは業務外での私的な利用は禁止されています。

会社が貸与しているデバイスでSNSを利用しないでください。

5. ユーザー名・プロフィール画像に会社の名称やロゴなどを使用しない

個人アカウントに設定するユーザー名やプロフィール画像が会社の「公式アカウント」と誤解されたり、広告宣伝と誤解されたりしないように注意してください。

誤解を防ぐためにも、会社の名称やロゴ・登録商標・商品名・社内で撮影した写真などをユーザー名やプロフィール画像などに使用しない方が良いでしょう。

6. 自分の行動が会社の行動とみなされることを理解する

個人のプロフィール欄(所属等)に会社名を掲載している場合、自分の行動が会社の行動と思われることがあります。また、そのような掲載をしていなくても、公開された交友関係やこれまでの投稿内容から、所属する会社が特定される場合もあります。注意してください。

7. 第三者の権利を侵害しない

第三者の権利(著作権、商標権、肖像権など)を利用する場合は、権利者の許諾を得るなど必要な手続きを取らないといけません。また、第三者のプライバシー権を尊重し、個人情報の重要性を認識したうえで節度ある投稿を行ってください。

第三者の権利を侵害する行為は、民事・刑事の両方から法的責任を負う可能性がありますのでそのような投稿はしないでください。

8. 子供じみた投稿はしない

SNS上に一度公開された情報は、ユーザー間のネットワークを通じて簡単にコピーされ、驚くべきスピードで不特定多数の人に拡散します。また、公開された情報はネット上に半永久的に残り消せない過去にます。

社会人として恥をかかないよう、顰蹙(ひんしゅく)や反感を買うような子供じみた投稿はしないよう注意してください。

9. 「炎上」の恐ろしさを理解する

SNSでの不適切な投稿が炎上した事件では、ほぼ全件投稿者が特定され、氏名・経歴・顔写真などが晒されています。また、家族や友人の個人情報までもが特定され被害が及んでしまうこともあります。

軽率な投稿はあなた自身だけではなく、家族や友人まで傷つけることになることにくれぐれも注意してください。

執筆者プロフィール:藤井 総(ふじい そう)

第一東京弁護士会所属『弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所』代表弁護士

慶應義塾大学法学部法律学科在学中に司法試験合格。2015年に独立し事務所を設立。「世界を便利にしてくれるITサービスをサポートする」ことを使命(ミッション)に掲げ、IT企業に特化した法務顧問サービスを提供している。顧問を務める企業は2019年現在で約70社。契約書・Webサービスの利用規約(作成・審査・交渉サポート)、労働問題、債権回収、知的財産、経済特別法など企業法務全般に対応している。自身もITを活用したテレワークスタイルを実践。年間の約1/3は世界を旅しながら働く”ワーク・アズ・ライフ”を体現している。

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