4月1日、将棋大賞選考委員会が開催され、2018年度に活躍した棋士を表彰する第46回将棋大賞の各賞受賞者が決定しました。

藤井聡太七段は「勝率1位」と「升田幸三賞」

豊島将之二冠。2018年度は悲願の初タイトルから二冠制覇、そして間もなく名人戦の舞台へ!

年度で最も活躍した棋士に贈られる最優秀棋士賞は、タイトル戦5回目の登場にして悲願の初タイトル「棋聖」を奪取、さらに並行して行われていた王位戦七番勝負も制して2つのタイトルを獲得し、A級順位戦も優勝した豊島将之二冠の初受賞が決定。優秀棋士賞には王将復位と棋王防衛を果たし、年度勝率も全棋士中第2位となった渡辺明二冠が選ばれました。

2017年度に藤井聡太七段が1位を独占した対局数、勝数、勝率、連勝の記録四部門は、対局数は64局で広瀬章人竜王、勝数は46勝で佐々木大地五段、勝率は45勝8敗[0.849]で藤井七段、連勝は15で渡辺二冠がそれぞれ1位となりました。広瀬竜王は「敢闘賞」、藤井七段は独自の戦法を編み出したり、類を見ない妙手を指した棋士に贈られる「升田幸三賞」の受賞も決定しています。2期連続の本戦入りを決めた第31期竜王戦ランキング戦5組決勝の対石田直裕五段戦で指した絶妙の飛車捨て「△7七同飛成」が評価されたものです。

最も活躍した新人に贈られる新人賞には、現在3つある若手棋戦のうち藤井七段が優勝した「新人王戦」以外、「YAMADAチャレンジ杯」と「加古川青流戦」の2棋戦を制した大橋貴洸四段。最も活躍した女流棋士に贈られる最優秀女流棋士賞は里見香奈女流四冠が4年連続9回目の受賞が決まっています。

これまでに22回の最優秀棋士賞ほか、各賞を多く受賞している羽生善治九段ですが、今回は優秀者への賞や記録賞は獲得できませんでした。しかし、羽生九段の勝局である第76期名人戦七番勝負第1局が、年度で最も素晴らしい対局(を指した棋士)に贈られる「名局賞」に選ばれています。

紹介した受賞決定者を含めた全選考結果は以下の通りです。

受賞者一覧

  • 【最優秀棋士賞】豊島将之二冠(初)
  • 【優秀棋士賞】渡辺明二冠(6回目)
  • 【敢闘賞】広瀬章人竜王(2回目)
  • 【新人賞】大橋貴洸四段
  • 【最多対局賞】広瀬章人竜王 64対局(初)
  • 【最多勝利賞】佐々木大地五段 46勝(初)
  • 【勝率1位賞】藤井聡太七段 45勝8敗[0.849](2年連続2回目)
  • 【連勝賞】渡辺明二冠 15連勝(初)

  • 【最優秀女流棋士賞】里見香奈女流四冠(4年連続9回目)
  • 【優秀女流棋士賞】渡部愛女流王位 ※LPSA所属(初)
  • 【女流最多対局賞】伊藤沙恵女流二段 36局(2年連続2回目)
  • 【東京将棋記者会賞】伊藤果八段
  • 【升田幸三賞】藤井聡太七段(△7七同飛成)
  • 【升田幸三特別賞】丸山忠久九段(一手損角換わりをはじめとした角換わりの研究)
  • 【名局賞】第76期名人戦七番勝負第1局 佐藤天彦名人vs羽生善治竜王(当時)
  • 【女流名局賞】第29期女流王位戦五番勝負(※シリーズ) 里見香奈女流王位vs渡部愛女流二段(いずれも当時)
  • 【名局賞特別賞】第45期岡田美術館杯女流名人戦リーグ 渡部愛女流二段(当時)vs上田初美女流四段