――シノビ様への憧れが強い一方で、紅芭のことが好きなイッチーこと今生勇道の思いにはまったく関心を示さないというのも、笑いを誘う部分です。

イッチーがあんなに一生懸命なのに、紅芭はすごく冷たいんです。忍者アクションというシリアスなイメージがある一方で、こういうコミカルで喜劇的なやりとりもあって、観ていて楽しい作品になっていると思います(笑)。

――蓮太郎役の多和田任益さん、勇道役の財木琢磨さんとのチームワークはいかがでしたか?

3人一緒にいるシーンはあまり多くないんですけれど、みんなとても早いうちから打ち解けることができました。もともと私自身、人見知りしないタイプですし。多和田さんとは、お芝居をしていくうちに本当の兄妹みたいだなあって思えるほど、距離が縮まった感じです。多和田さんが常に明るくふるまっているのに対して、財木さんはクールな印象があるんです。話すと優しいんですけれど、つかめないところがあって、そこをみんなでイジったりしていました。森の中に落ちていたドングリを拾って、細い木の枝に刺して「ほら~、新しい植物だよ」なんて地面に植えて遊んでいましたね(笑)。クールな見た目と違って、意外だなあって思いました。お2人ともそれぞれ強い個性があって、仲良くしてくださいました。

――華村さんが思う、ご自身と紅芭と違うところ、共通するところはどんな部分でしょうか。

紅芭のほうがしっかりしていますね。お兄ちゃんをサポートして、少ない家計をやりくりする方法を編み出したりして。彼女の行動に影響されて、私もしっかりしなくちゃ、なんて思ってしまいます。私の場合は両親から過保護に育てられたためか(笑)、頼りきっちゃいますからね。自分がいろいろしてもらったことを家族に返せるようになるくらい、頑張らなきゃと思います。反対に、紅芭と私が似ていると思えるところは、料理をするところですね。家庭的なところは重なっているのかな。そう思うと、紅芭と私は正反対というわけではなくて、それほど違和感なく演じることができたかなと思っています。

――紅芭の忍者装束を身に着けたときのご感想はいかがでしたか。

最初は昔の忍者みたいに、足袋を履いたオーソドックスな忍者をイメージしていたんですけれど、未来のお話(舞台設定は2022年)だし、紅芭の可愛らしさを反映したいということで、ショートパンツで躍動的な忍び装束になりました。日常ではわりとガーリーな格好をしていますし、紅芭が可愛く見えていたらうれしいですね。

――紅芭を演じるにあたって、最初に抱いていたイメージと実際に演じてみて変化したところはありますか。

最初に台本を読んで、紅芭はお兄ちゃんにちょっと冷たく当たるというか、ドライな面があると思っていたんです。でも柴崎監督からは「兄を頼りなく思う中にも"愛"が感じられるように」「明るくてかわいい紅芭を演じて」と言われました。そこで、現場ではいかにかわいい紅芭を演じられるか、役を追求したつもりです。私自身にはあまり"かわいい"要素がありませんので、監督のご指導を受けながら頑張ってみました。

――本作での紅芭の見どころを挙げるとすれば、どんな場面ですか?

紅芭が帰り道で悪い忍者に襲われて、シノビ様に助けてもらうシーンですね。木の影からシノビ様の活躍を見つめている紅芭は、完全に目がハートになっています(笑)。紅芭のかわいい部分がわかりやすく観られるシーンです。あとは、イッチーが「あなたのことは僕が護ります!」と言っているのに「シノビ様がいい!」って言って紅芭が去ってしまうシーン。せっかくイッチーが本気を見せているのに、それに目もくれずにシノビ様を追うところが、とても楽しく描かれています。

――蓮太郎の勇道の変身後の姿、仮面ライダーシノビと仮面ライダーハッタリの姿を間近でご覧になったときは、どう思われましたか?

もうカッコよくて、感動が止まらなかったです。スーツそのもののカッコよさもありますけれど、生で見るアクションがものすごくて、ひたすら見入ってしまいました。軽やかに宙を舞ったり、連続バック転を決めた後に立ち回りをするとか、その存在感、迫力に圧倒されました。そして、仮面ライダーの活躍を裏で支えるスタッフさんたちの努力にも感動しました。大勢のスタッフのみなさんがこんなに努力をして、初めてカッコいい仮面ライダーシノビが完成するんだなあと、作り手側の思いを知ることによって改めて「仮面ライダー」の魅力を深く知ることができました。

――『仮面ライダーシノビ』は今回、全3話の配信となりますが、まだまだこの先のストーリーが楽しみというか、どんどん続いていきそうな勢いがありますね。最後に、華村さんが『仮面ライダーシノビ』の撮影で強く印象に残った出来事を教えてください。

今回『仮面ライダーシノビ』では、忍術大会の参加者役として「東映特撮ファンクラブ」の会員の方が150人も集まってくださったんです。みなさんそれぞれ自前で忍者の衣装を身に着けられて……。そんな様子から、みなさんの「仮面ライダー」への強い愛情を感じました。たくさんのスタッフさん、そして役者さんの思いだけではなく、ファンのみなさんの思いをも加えた"チーム感"がすごくあって、とても居心地のよい現場でした。『仮面ライダーシノビ』たくさんの方たちに観ていただきたいです!

『RIDER TIME 仮面ライダーシノビ』は、「東映特撮ファンクラブ(TTFC)」にて、全3話が3月31日、4月7日、4月14日の3週連続で配信される。

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