JR九州は10日、門司港駅グランドオープン記念式典を開催した。駅前広場で行われた記念式典、「旅立ちの鐘」での打鐘式にタモリさんの姿も。「SL人吉」の蒸気機関車8620形58654号機が特別展示され、50系客車を使用した団体列車も門司港駅から運行された。

  • 門司港駅グランドオープン記念式典が駅前広場で行われた(写真:マイナビニュース)

    門司港駅グランドオープン記念式典が駅前広場で行われた

  • 改札内に設置された「旅立ちの鐘」の打鐘式も

門司港駅の駅舎は1914(大正3)年に創建され、1988(昭和63)年に鉄道駅で日本初という国の重要文化財に指定された。2012(平成24)年から保存修理工事に着手し、約6年間の工事を経て、外観・内装ともに創建当時の姿に復原。昨年11月の先行開業で駅機能(1階コンコースと券売機、「みどりの窓口」など)が復原駅舎に切り替わり、今回のグランドオープンで1階の待合室・展示スペースが使用開始となるほか、1階に「スターバックス コーヒー 門司港駅店」、2階に「みかど食堂 by NARISAWA」がオープンする。

グランドオープン当日はあいにくの雨となったが、記念式典は予定通り駅前広場にて開催された。JR九州代表取締役社長執行役員、青柳俊彦氏は挨拶の中で、「JR九州が誕生した昭和62年に文化財指定のお話をいただき、門司港出身の私は『ぜひ指定させてほしい』との思いでしたが、社内の先輩全員から反対されました。当時、事業に制限がかかるなどの理由で、国の文化財指定は受けないという方針がありました」「駅舎の復原を推進する委員会に参加した際、一番の問題はどの時代に戻すかでした。大正3年の姿に戻すという意見が多数を占める中、私1人だけ、『門司の市民にとっては、やはり(駅舎正面の)庇があったほうがいいのではないか』と、かなり抵抗しました。結局は私が折れました」など、門司港駅に関するエピソードを披露した。

青柳氏は北九州市の進める門司港レトロ事業にも触れ、「門司港レトロの中核となる門司港駅舎の復原が完成し、新たな時代を迎えます。事業が長く続くように、JR九州としてもバックアップしたい」とコメント。北九州市長の北橋健治氏も挨拶し、門司港駅の復原駅舎について、「優雅で幻想的でロマンにあふれ、最高に素晴らしいこの玄関口とともにこれからの時代を進むことができます。こんなにうれしいことはない。末永く門司港駅が愛され、多くの方々に来ていただけることを願っています」と述べた。

  • テープカットと「旅立ちの鐘」打鐘式にタモリさんも参加。JR九州の青柳社長らと並ぶ

続いて出席者によるテープカットが行われ、式典の後は改札内へ移動して「旅立ちの鐘」の打鐘式となった。タモリさんは門司港駅の工事着手に合わせて実施された写真コンテストの審査に携ったことがあり、今回は来賓として記念式典に出席。テープカットや「旅立ちの鐘」打鐘式に参加し、隣に並んだ青柳社長と談笑する姿も見られた。

10時17分、門司港駅3番線に特別展示された「SL人吉」の蒸気機関車8620形58654号機の汽笛が鳴らされた後、式典の出席者により「旅立ちの鐘」が打ち鳴らされた。その直後、「SL人吉」の50系客車を使用した団体列車が2番線ホームから発車した。この団体列車はクラブツーリズムが企画した「50系客車に乗車・筑豊本線を行く 門司港発熊本行き 日帰りの旅」として、門司港駅を発車した後、50系客車とゆかりの深い筑豊本線をはじめ、篠栗線・鹿児島本線を経由しながら熊本駅まで運行されるという。

「SL人吉」を牽引する蒸気機関車8620形58654号機は1922(大正11)年の製造。同じ大正時代に創建された門司港駅のグランドオープンにちなみ、同駅3番線にて特別展示が行われた。復原駅舎・ホームともに鉄道ファンをはじめ多くの人でにぎわい、駅舎1階に出店した「スターバックス コーヒー 門司港駅店」も店外まで列ができ、盛況だった様子。展示スペースでは門司港駅で使われた部材や駅舎2階で営業していた「みかど食堂」の食器・伝票・営業札などが展示され、わたせせいぞう氏のイラスト展も行われた。

  • 門司港駅3番線に特別展示された「SL人吉」の蒸気機関車8620形58654号機

  • グランドオープン当日は雨の降るあいにくの天気だったが、駅舎内は多くの人でにぎわった