書類に印鑑が必要な場合に用いる「押印」「捺印」という言葉。「押印」と記されているものもあれば、「ご捺印願います」というものも。そこで今回は、「押印」と「捺印」の違いについて解説します。

  • 「押印」と「捺印」の違いは? - 明確な使い分け【ビジネス用語】(写真:マイナビニュース)

    「押印」と「捺印」の違いとは?

■「押印」と「捺印」の違い

「押印」も「捺印」も、「印を押す」という同じ行為を指す言葉ですが、両者には明確な違いがあります。

押印
「押印」とは、「記名押印」の略語になります。「記名」とは自署(自筆による記名・サイン)以外によって記された名前を指すもので、パソコンやゴム印などで予め印字されているのが一般的です。つまり、「押印」とは、自署以外によって記された名に印鑑を押すことを意味します。

捺印
一方「捺印」は、「署名捺印」の略語です。「署名」は、自署(自筆による記名・サイン)を指すことから、「捺印」は、自署に印鑑を押すことを意味します。

まとめると、

「押印」=記名押印=記名(自署以外)に印鑑
「捺印」=署名捺印=自署に印鑑

とするのが一般的なようです。両者の違いをしっかりと押さえ、正しく使い分けるようにしましょう。

■「押印」「捺印」の効力と使い分け

押印と捺印の場合、署名に印鑑を押す捺印の方が効力は上です。本人の筆跡が残る「署名」の方が、「記名」よりも上だからです。商法第32条には、「商取引においては、記名押印をもって署名に代えることができる」と記されており、「署名=記名押印」と認められているものの、法的効力としては、記名押印よりも署名のみの方が上になります。ちなみに、記名だけでは何の効力もありませんので注意しましょう。

また、欧米では署名(サイン)こそが効力を持つものとして扱われていますが、日本では未だサインよりも印鑑に対する信頼性・効力が強いのが現状です。

なお、効力が弱い順に次のようになります。

記名のみ
名前・社名が印字されているだけなので、正式な効力はない。

記名押印(押印)
記名+印鑑。領収書や請求書などは記名押印が一般的。

署名のみ(サイン)
欧米では印鑑不要のサインのみが正式なスタイルだが、日本では不十分。

署名捺印(捺印)
署名+印鑑。日本では、とくに重要な書類では自署に印鑑を押すのが主流。印鑑証明書を必要とするような契約においては、基本的に署名捺印が必須とされるケースが多い。

■「押印」「捺印」を求める際の例文

・こちらの欄にご押印いただけますか。

・書類の2枚目と3枚目にご押印いただく箇所がございます。

・社名の横にご押印のうえ、折り返しご送付くださいますようお願い申し上げます。

・こちらにご捺印をお願い致します。

・契約書の内容をご確認いただき、署名捺印の上、ご返送くださいますようお願い申し上げます。

丁寧にお願いしようとして、「ご署名ご捺印の上、ご返送くださいますよう」などとするとくどい印象になってしまいますので、適宜「ご」を外して「署名捺印の上、ご返送くださいますよう」とした方が良いでしょう。


日本企業のグローバル化が進む一方で、日本社会における印鑑の重要性は少しも変わっていないように思います。ビジネスシーンでも個人でも、まだまだ印鑑が必要な日本社会。誤ったやりとりで重要な契約に水を差してしまうことのないよう、気を付けましょう。