映画『ビルドNEW WORLD仮面ライダークローズ』の上映記念舞台挨拶が26日、新宿バルト9にて開催され、主演の仮面ライダークローズ/万丈龍我役・赤楚衛二をはじめとする主要キャストと山口恭平監督が登壇した。

  • 左から、越智友己、水上剣星、高田夏帆、赤楚衛二、犬飼貴丈、滝裕可里、進藤学、山口恭平監督

Vシネクスト『仮面ライダークローズ』とは、2018年に最終回を迎えた特撮テレビドラマ『仮面ライダービルド』の"その後"を描いたスピンオフ映画である。テレビシリーズで仮面ライダービルド/桐生戦兎の"相棒"として地球外生命体エボルトと戦った仮面ライダークローズ/万丈龍我にスポットが当てられ、平和を取り戻したかに見えた世界のさらなる危機を救うべく、命をかけて戦う姿が描かれている。

元格闘家で筋肉に自信があり、本作では「プロテインの貴公子」というインパクト抜群のニックネームを自称する仮面ライダークローズ/万丈龍我役の赤楚衛二は、主役を務めるにあたって意識したことは?というMCの問いに「周りに気を遣わなきゃと思って、みんなに水どうぞ!なんて配っていました。今までは主役のあっちゃん(犬飼)に甘えっぱなしでしたから」と、意識の変化があったことを明かした。

万丈の相棒・仮面ライダービルド/桐生戦兎を演じる犬飼貴丈は、赤楚の発言を受けて「主演だからといって、水は配らないですよ! 気の遣いかたを確実に間違っている(笑)!」と苦笑いしながら鋭い指摘。今回、万丈のサポートに回るという戦兎の立ち位置の違いについては「テレビシリーズ本編とは空気感が違ったように思います。また(水上)剣星さん主演の『仮面ライダープライムローグ』にも出演していたので、現場現場で自分がどういうポジションで立っているかは、かなり意識して演じていた」と、本作と同時進行で撮影されていたという小学館『てれびくん』の全員プレゼントDVD『仮面ライダープライムローグ』への言及も見られた。

本作では万丈の相棒をエボルトが務めるのが大きな話題となったが、これについて犬飼は「ちょっと妬けるなあ」と言いつつ「1年間バディでやってきたといってもわからないくらい、シンクロ感があった。観ていて、僕と組んでいたときよりもシンクロしてない?って(笑)」と、ある意味新鮮さを備えたニューコンビの活躍を高く評価していた。

テレビシリーズではネットアイドル"みーたん"としても活躍したヒロイン・石動美空役を演じる高田夏帆は、自分と万丈とは似ているところがない!という赤楚の意見に対して「ほぼ万丈です!」と、万丈と赤楚が"似ている"と反論した。その理由として「万丈は、香澄さんという彼女……元カノがいたから、女心を知ってる。(赤楚も)インスタにコメントをちょくちょくしているから、マメだな~女子力あるな~って」と、連絡をマメにしてくる部分を高く評価しつつ、万丈と赤楚との共通要素を指摘した。

かつて難波重工の難波会長に忠誠を誓った"難波チルドレン"であり、後に仮面ライダーマッドローグへと変身した内海成彰を演じる越智友己は、テレビシリーズ最終回では"難波機械"の工場で新製品の開発に力をそそいでいた。本作での内海の立ち位置について聞かれた越智は「とても内海らしいな、と思いました」と、いかにも内海ならではのポジショニングに満足げな表情を浮かべていた。山口恭平監督によると「あのシーン、最初の構想よりも内海の出番が増えているんですよ。脚本の武藤(将吾)さんはそこまでノッていなかったかもしれないけれど、プロデューサーの大森(敬仁)さんが"もっと内海を出しましょう!"と情熱的に言われて、シーンが膨らんだんです」と、当初の考えよりも内海の存在を強調した"おいしい"シーンが生まれた秘話を明かした。

フリージャーナリストとして、戦兎たちに情報提供をしてきた滝川紗羽役の滝裕可里は「すべては仮面ライダークローズのために!」と、"難波チルドレン"だったころの決めゼリフをもじって挨拶し、客席を大いに沸かせた。

クローズやビルドの力強い仲間・仮面ライダーローグ/氷室幻徳役の水上剣星は「はい、ごぶさたしてます。武田航平です」と、今回登壇していない名コンビ・仮面ライダーグリス/猿渡一海役の武田航平の名前を出して挨拶し、周りから「(ここに)いないでしょ! 今日は1人で頑張ってください」と思いっきりツッコまれていた。

本作での印象的な出来事を聞かれた水上は「僕は今回、スーツを着て出てくるんですけれど、その格好を見たみんながずっと笑っていて、ぜんぜん撮影が進まないんです。ただスーツを着ているだけですよ(笑)」と、本来なら渋くカッコいいスーツ姿を共演者たちが笑っていたことに困惑の表情を見せた。これについて犬飼が「いやあ、剣星さんの人柄もあるよね。剣星さんがスーツ?という違和感が……」と感想を述べると、水上も「幻徳の(突飛な私服の)イメージがついていて、そこから急にふつうのスーツ姿があったので、僕1人だけ刑事ドラマみたいな感じがあったかもしれない」と分析していた。

犬飼が、水上のスーツ姿を見て笑ってしまうので、なかなか撮影が進まなかったことを受け、山口恭平監督は「そういうとき、僕は"剣星さんお願いしますよ!"と、なぜか剣星さんを怒ってしまうんです。剣星さんは何も悪くないのに(笑)」と、笑った犬飼ではなく、意図せず笑わせてしまった三上のほうを注意したと、ステージ上で謝る場面が見られた。しかし、犬飼から「NGを何度も出していくうちに、剣星さんがノッてきて、笑わせようとしてくるんです」という報告があり、山口監督が注意するのは間違っていなかったと周りが口々にフォローの言葉を入れていた。

本作のゲスト・地球外生命体エボルトの"兄"キルバスの人間態・柿崎悟志を演じる進藤学は、劇中では素肌の上に赤いジャケットをまとう、なんともセクシーかつ濃厚な格好であったが、ここでは「みなさん、安心してください。着てますよ!」とジャケットをめくってシャツを着ていることをアピールした。本作で、地球の滅亡を図る大悪役を演じていることについて進藤は「2018年はほぼ悪役しかやっていなかったので、2019年の導入としては入りやすかった」と、ギラリとした笑顔を浮かべながら感想を述べた。キルバス/柿崎の役作りに際しては「監督からは"オチョ"でやってほしいと言われましたので、オチョ=8ですから、腰を8の字に回しながら『こんにちわー!!』ってやっていいですかと言ったら『それではないんですけれど……』と困られました」と、得意の"オチョダイエット"にまつわるエピソードを話して笑いを誘った。また、越智と目を合わせた進藤は「ずっと"越智くん"とみんなが呼んでいますが、僕の中では"オチョくん"にしか聞こえない。あとで一緒に何かしましょう!」と、気さくに声をかけて越智を戸惑わせていた。

「次に『仮面ライダービルド』のスピンオフを作るなら?」という話題では、犬飼が「内海の日常を描いたエピソードがいい。朝起きて、特定の位置に置いてあるメガネを取って、スーツを着て出勤して、帰ってきて……という日常をずっと見せる」というアイデアを提案すると、赤楚が「そして、いずれはスティックを完成させてほしいですね」と、難波会長のステッキを足でへし折った第38話「マッドな世界」(監督:山口恭平)でのワンシーンを受けた一言を放ち、会場を笑いに包んだ。この回は内海が仮面ライダーマッドローグに変身するエピソードでもあり、犬飼は「赤楚と2人で"きょう、越智くん変身するんだよね"なんて話していたら、遠くのほうから"へぇ~んしぃ~ん!!"という叫び声が聞こえてきて、いつの間にそんなハイテンションになったの!? とびっくりした」と、山口監督の演出による、まさかの内海の"マッド化"に驚いたことを明かした。

滝は「私はかわいいパジャマを着て寝ている幻徳さんの日常を観てみたい」とコメントするが、赤楚から「仮面ライダーいらないじゃん!」とツッコまれ、水上からは「十分オモチャとして扱われてきたから、もういいでしょ(笑)!」と苦笑まじりのNGをもらってしまった。

高田は、現在放送中の『仮面ライダージオウ』で、2022年の未来で活躍しているという設定の「仮面ライダーシノビ」が登場したことを受け「仮面ライダーシノビと聞いて、あれ、私じゃん! と思いました。私、忍者なので、仮面ライダーシノビを作るのなら、ぜひ出たいんです! 2022年のスケジュールを開けておきますので!」と、自身のプロフィールにも載せている「第31回全日本忍者選手権大会・優勝」のキャリアを活かし『仮面ライダーシノビ』テレビシリーズ実現に夢を馳せていた。その様子を見ていた赤楚は「あと3年か。それまでに分身の術くらい覚えておかないとね」と、高田に鋭いアドバイスを送っていた。

水上は「海外に行きたいですね。『ビルドinラスベガス』とか」と、ゴージャスなスピンオフを希望。これには犬飼はじめキャスト陣がノリノリとなり、観客からも大きな拍手が巻き起こった。

最後に赤楚は「『ビルド』を1年間応援してくださったみなさまがいるおかげで、この作品が出来ました。ここにいるみんなと、武田航平さん、永尾まりやさんというメンバーで作品を作るのは、今回が最後。そんな中、このような"熱い"物語ができて、心からよかったと思います。本当にありがとうございました!」と挨拶し、舞台挨拶を締めくくった。

Vシネクスト『ビルドNEW WORLD 仮面ライダークローズ』は、1月25日より期間限定上映を開始。Blu-ray&DVDは4月24日より発売されるほか、公開劇場で先行販売が行われる。