
7月26日(日)の放送は「村上RADIO~村上の世間話8~」をオンエア。今回の放送は、村上さんが、日常の何気ない出来事や気づきを楽しく語りながら、お気に入りの音楽を聴く恒例企画「村上の世間話」の第8回目。今回は、7月3日に発売された村上さんの新作長編『夏帆 The Tale of KAHO』についての話や、海外の旅先でのエピソード、世界的ポップスターとの知られざる交流秘話などがたっぷりと語られました。
この記事では、後半1曲と世界のビールについて語ったパートを紹介します。
「村上RADIO」
◆Livingston Taylor「Isn't She Lovely」
リヴィングストン・テイラーがスティーヴィー・ワンダーの名曲、「Isn't She Lovely」を歌います。「この子、素敵だろう?」、これは口笛特集のときにかけてもよかったですね。
【世間話】
デンマークには有名なビール会社が2つあります。ビール好きの方はもちろんご存じでしょうが、ツボルグとカールスバーグです。どちらも19世紀から続いている伝統ある醸造所で、世界的にその名を知られています。
しかしデンマークに行って驚いたのですが、デンマーク国民は「カールスバーグ派」と「ツボルグ派」にはっきり分かれていて、その両者が折り合うことはまずないのだそうです。決して相容れない。「カールスバーグ派」がツボルグを飲むことは決してないし、「ツボルグ派」がカールスバーグを飲むことは決してない。時には派閥を異(こと)にするもの同士、口をきくことさえ拒むことがある、という話でした。どちらを選ぶかで、デンマーク人としての生き方そのものが違ってくるんだ、ということです。
しかしビールにかけるその情熱、すごいですね。なんだか昨今の政治的分断状態を思わせます。たかがビールじゃないかとか、僕なんかは思うんだけど、なにしろヴァイキング時代から延々とビールを飲み続けてきた人たちですから、半端じゃないです。根性が入ってます。
僕はとくにビールのブランドに対する思い入れみたいなのはないんですが、個人的には「ローリング・ロック」とか「ブルーリボン」といった、アメリカの安物大衆ビールの味が恋しいなぁとときどき思います。日本では意外になかなかそういう、へらっとした気楽な薄味ビールがないんですよね。リッチなクラフト・ビールもいいけど、暑い夏の午後にごくごくっと飲む冷えたブルーリボンの生、とにかくご機嫌でした。懐かしく思い出します。そんな話をしていると、ビールが飲みたくなってきますね。
<番組概要>
番組名:村上RADIO~村上の世間話8~
放送日時:7月26日(日)19:00~19:55
パーソナリティ:村上春樹
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/