第13話より登場した天ノ川学園高校の校長・速水公平(演:天野浩成)は、若くてイケメンな校長として生徒の母親から人気のある人物だが、彼は理事長の我望光明(演:鶴見辰吾)に忠誠を誓うホロスコープス(幹部ゾディアーツ)の1人・リブラ・ゾディアーツであった。速水が生徒たちにゾディアーツスイッチを渡していたのは、「ラストワン」を経たその先にさらなる進化を遂げ、新たな幹部ゾディアーツになる者を探す目的があったのだ。学校関係者が怪物を生み出していたという衝撃があった一方で、第29話では教師の大杉忠太(演:田中卓志/アンガールズ)がラビットハッチと仮面ライダー部の存在を知り、ひと門着の末に仮面ライダー部の「顧問」を買って出るというコミカルな描写も見られた。

第16話からは、フォーゼに続く第2の仮面ライダー「仮面ライダーメテオ」が登場。続く第17話では、メテオの正体が昴星高校から来た交換編入生・朔田流星(演:吉沢亮)であることが画面上から判明する。流星は人工衛星M-BUSの中にいる謎の人物・タチバナからの指令を受け、弦太朗ならびに仮面ライダー部への接触を試みる「秘密の戦士」だった。

フォーゼと同じくゾディアーツと戦うメテオだったが、戦いの中でホロスコープスのアリエス・ゾディアーツに"進化"する見込みのある者を探し求めていた。なぜ流星がアリエスを探しているのか、そして自分の目的を隠して仮面ライダー部に接近しているのかの謎は、エピソードの進行と共に解き明かされていく。フォーゼの「白」との対比で「黒」を基調としたボディカラーに「星」が散りばめられたメテオもまた、フォーゼに負けないくらい個性的なヒーローとして注目を集め、ダイナミックなカンフーアクションと、伝説のアクションスター、ブルース・リーを思わせる怪鳥音が好評を博した。

表向きは愛想よく笑顔を絶やさない流星だったが、何よりも友だち同士の友情と信頼を重んじる弦太朗からは「お前の本気が見えない」と他者を欺いている姿を鋭く見抜かれていた。そんな中、念願のアリエスを発見した流星は、昏睡状態の親友・井石二郎(演:横浜流星)を助けるため、フォーゼを倒すという行動に出る。しかしこの事件がきっかけとなって、フォーゼはすべてのアストロスイッチの力と仲間の"絆"の力を有する「コズミックステイツ」へとパワーアップし、流星も晴れて仮面ライダー部の仲間になることができた。これ以降の流星は弦太朗のよき相棒として、共に力を合わせてゾディアーツと戦うようになる。

毎回のエピソードでは、天ノ川学園高校内でさまざまな生徒たちがゾディアーツスイッチによって事件を巻き起こし、これを仮面ライダー部と弦太朗が解決していくというフォーマットの中で、人間の感情に訴えるバラエティ感のあるドラマが繰り広げられた。中盤からクライマックスにかけては、ホロスコープスのスイッチを12個集めたときに叶う我望理事長の壮大なる"願い"や、謎に満ちた賢吾の出生の秘密、そしてメテオに協力するタチバナの意外な正体など、興味深い要素が次々に語られていき、まったく飽きさせることがない。

どんなに厳しく苦しい状況に追い込まれ、手ひどく裏切られたとしても、友だちになった者には無制限の優しさで受け入れてしまう弦太朗のはかりしれないほどの度量の大きさが、深刻になりがちなストーリーに大らかなムードを加味している。無限の可能性を秘めた高校生のみずみずしい青春群像が見事に描きだされ、観る者にさわやかな感動と未来への希望を与える作品、それが『仮面ライダーフォーゼ』だったといえるだろう。

仮面ライダーフォーゼは、テレビ放送に先がけて2011年8月6日公開の映画『劇場版 仮面ライダーオーズ WONDERFUL 将軍と21のコアメダル』で初めてファンの前にその"動く"姿を披露したほか、テレビ放送中、放送後にいくつかの映画作品、ネット配信作品に出演しているが、その中でも特に重要な3作品を以下にご紹介しよう。

2011年12月10日に公開された映画『仮面ライダー×仮面ライダー フォーゼ&オーズ MOVIE大戦MEGA MAX』では、仮面ライダーフォーゼと仮面ライダーオーズ/火野映司(演:渡部秀)の"ライダー共演"を最大の見せ場としながら、『仮面ライダーW』(2009年)の左翔太郎(演:桐山漣)とフィリップ(演:菅田将暉)が「友情出演」を果たしているほか、『オーズ』パートでは未来の仮面ライダー「仮面ライダーアクア/湊ミハル(演:荒井敦史」が、『フォーゼ』パートでは女子高生仮面ライダー「仮面ライダーなでしこ/美咲撫子(演:真野恵里菜)」が登場。さらには、仮面ライダー1号、仮面ライダー2号、仮面ライダーV3、ライダーマン、仮面ライダーX、仮面ライダーアマゾン、仮面ライダーストロンガーという「栄光の7人ライダー」がフォーゼとオーズに加勢し、『ストロンガー』の挿入歌「戦え!七人ライダー」のメロディー(作曲:菊池俊輔)に乗ってドーパントやグリードを相手にそれぞれの必殺技を決めるという、まさに見どころが満載のスペシャルな映画として仮面ライダーファンから絶大な支持を得た。

2012年12月8日に公開された『仮面ライダーフォーゼ THE MOVIE みんなで宇宙キターッ!』は、『仮面ライダーフォーゼ』初の「単独映画」作品となった。この作品では仮面ライダー部の部員全員が宇宙に向かうべく、本格的な宇宙飛行士の訓練を行うシーンが話題を集めた。また、『仮面ライダー』シリーズとは別の方向性を探った70年代の傑作特撮シリーズ(石ノ森章太郎原作)『宇宙鉄人キョーダイン』(1976年)『大鉄人17(ワンセブン)』(1977年)にオマージュをささげたキャラクター(グランダイン、スカイダイン、ブラックナイト、インガ・ブリンク、衛星兵器"XVII")が登場し、弦太朗、流星、そして仮面ライダー部の面々と深く関わっていく部分も評判を取った。前年の『フォーゼ』と同じく、テレビに先がけて仮面ライダーウィザード/操真晴人(演:白石隼也)が姿を見せ、華麗なる必殺技を決めるアクションシーンも盛り込まれた。

『フォーゼ』のテレビ終了後となる2012年12月8日には、『ウィザード』と『フォーゼ』の共演作『仮面ライダー×仮面ライダー ウィザード&フォーゼ MOVIE大戦アルティメイタム』が公開された。ここでは、テレビシリーズの最終回から「5年後」が舞台となり、弦太朗や仮面ライダー部員たちのその後の「進路」が明確に描かれている。そこに「イナズマン/風田三郎(演:須賀健太)」や「怪人同盟」といった石ノ森章太郎原作作品のキャラクター(『イナズマン』は1973年に特撮テレビドラマとして放送)が絡んで、ハードなアクションが満載された熱く激しい"青春ドラマ"が描かれた。また『ウィザード』パートでは『アクマイザー3』(1975年)にオマージュをささげたザタン、イール、ガーラの「アクマイザー」や『美少女仮面ポワトリン』(1990年)を現代風にアレンジした「ポワトリン/上村優(演:入来茉里)」という石ノ森原作作品のヒーロー、ヒロインが大挙登場する、盛りだくさんな内容の娯楽映画として大好評を博した。

次回は平成仮面ライダーシリーズ第14弾『仮面ライダーウィザード』(2012年)を取り上げ、仮面ライダー史上初となる「魔法使い仮面ライダー」誕生の経緯や、そのスタイリッシュなアクション、ヒューマニズムを重視したストーリー展開など、さまざまな魅力について語ってみたい。

映画『平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー 平成ジェネレーションズ FOREVER』は現在大ヒット公開中。なお、マイナビニュースでは平成仮面ライダー20作を記念した『仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER』大特集を展開している。

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