1997年にスタートしたTBS系スポーツバラエティ番組『SASUKE』が、21年目を迎えた今年、初の大みそか放送、そして初のファイナルステージ生放送に挑む。『平成最後の大晦日スペシャル! SASUKE2018&ボクシング井岡一翔世界タイトルマッチ』(12月31日18:00~23:55)と題して、井岡選手の世界戦とあわせて放送される『SASUKE』の第36回大会。約5,000人の応募者の中から選出されたさまざまな職業の猛者100人が“鋼鉄の魔城”に挑む。

放送を前に、プロデューサーの村口太郎氏にインタビュー(全3回)。第1回は、知られざるオーディションについて話を聞いた。大会出場を目指して熱き挑戦者たちが集結するオーディションは、新スター発掘&誕生を狙う制作サイドにとっても戦い。また、『SASUKE』の大ファンである挑戦者との対面は、「こういう人たちに番組が支えられている」と感じて気が引き締まる瞬間だという。

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    初の大みそか放送となる『SASUKE』

■100人の出場枠に応募総数約5,000人

『SASUKE』に出場できるのは、第1回大会から変わらず100人と決まっている。今ではその100枠を狙って5,000人もの応募があり、出場することも挑戦者にとって一つの目標に。村口氏は「テレビ番組の都合で申し訳ないけれど、年に1回の年もあれば2回の年もある。いつ大会があるかわからないのに、それを生きがいにしてずっと準備してくれ、しかも出場できない人がたくさんいる。今回もオーディションを呼びかけて5,000人くらいの応募があった」と明かす。

オーディションは全国4カ所で全5回実施(東京は2回開催)。1日100人が限界で、今回オーディションに呼べた人数は約500人だという。「オーディションにも呼ばれない人がたくさんいる。『いつか出られるように週5回トレーニングしています』というような人がたくさん。そうするとオーディションに呼ばれただけで喜ぶ人もいるし、本戦に出場したらさらに。そういう人たちの100人。彼らの強い思いで続いてる番組です」と語る。

■番組開始当時は100人集めるのに苦労

入社1年目にADとして、1997年の第1回大会にも関わっていた村口氏。当時はまだ番組が浸透しておらず、選手100人を集めるのに苦労したという。「こっちからいろんなところに電話して、自衛隊の人や消防士の人など、さまざまな職業の人たちを頑張って探して100人にした」と振り返った上で、「それが番組の人気が出るにつれて向こうから『出たい』って名乗り出る人が増えてきて、今では選ぶ立場に。これが一番の進化だと思います」と感慨深げに語る。

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    『SASUKE』オーディションの模様

■せめてオーディションに多くの人を

オーディションを勝ち抜いた人を中心に、(2度目の完全制覇を狙う)森本裕介といった番組側がお願いしても出てほしい人、子供たちが喜んでくれそうな旬のタレントなど、さまざまな人たちからなる出場者100人。枠は番組開始当時から変わらず、熾烈な椅子の取り合いだ。村口氏は「日本中に出たい人がいっぱいいるので、100人決めるは楽しい作業でもあるし、つらい作業でもある」と話す。

「本当は200人、300人でも出してあげたいなって思うくらいみなさんの熱量が高い。僕らもオーディションをすると、『しっかりと100人を選んで面白い番組を作らなきゃいけない』と改めて気が引き締まるので、オーディションはすごく大事。オーディションに来てくれる人は『SASUKE』の大ファンで、こういう人たちに番組が支えられているんだなと感じる。ありがたいです」と感謝するとともに、「いつ出場できるかわからなのに10年間トレーニングしてきたという人がいっぱいいる。そうするとうれしい反面、胸が痛む。かといって全員出すわけにもいかない」と苦悩も明かす。

だからこそ、オーディションは1人でも多くの人を呼んであげたいと考えているという。「本戦には出られなくても『SASUKE』のオーディションに行ったということが彼らにとっては第一歩。それによって彼らの『SASUKE』への思いがまた強くなったり、より好きになってくれたらうれしいので、なるべく多く呼びたい」と語る。

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    プロデューサーの村口太郎氏

■常に狙っている新スター発掘&誕生

「新スターは常に探している。今は森本裕介くんや樽美酒研二さんが番組を盛り上げてくれているが、いろんなキャラクターのヒーローがたくさん出てきてほしい」と新スター発掘&誕生にも力を入れている。

「昔はケイン・コスギに引っ張ってもらっていたときがあった。『ケインのときはすごい見てたよ』って人がたくさんいる」「漆原(裕治)君が出てきたときもそうだった。2回完全制覇したのは彼しかいない」とケインや漆原の人気を振り返り、「『SASUKE』は選手が主役なので、いろんなスターが出てきてほしい。だからオーディションも一生懸命やって、原石の宝はいないか見逃さないように目を光らせている」とオーディションは制作側にとっても勝負のようだ。

また、「オーディションではその場のパフォーマンスというより、そのあとどれだけ努力をしてくれるかを見ている」とのこと。「仕事以外『SASUKE』に捧げているという人たちの戦いになってきているので、そのクラスを見つけるのは大変。もうアスリートなので」と語る。

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    漫画家・佐藤健太郎氏

■今回一番の驚き! 漫画家・佐藤健太郎氏の参戦

今回のオーディションで村口氏が一番驚いたのは、『魔法少女サイト』(『週刊少年チャンピオン』で連載中)で知られる漫画家・佐藤健太郎氏の応募だったそう。「漫画家の先生が自ら応募してきて、僕らは顔を知らなかったので本当に驚いた。TBSでアニメ化もされている漫画の先生が、びっくりですよ」と笑った。

佐藤氏は「『ある程度描きためてあるから大丈夫』って編集部を説き伏せてきたから大丈夫です」と、『SASUKE』参戦のために気合い十分だったそう。そして、鍛え上げられた肉体からも本気度が伝わったという。

「興奮しますよ。今回は佐藤先生が一番の衝撃だったけど、すごい人が応募してくる。年収何億円もあるような人から普通の中学生までいろんな人がくるので、オーディションは本当に面白い」。新スターの誕生にも期待だ。

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