相模鉄道は21日、新型車両12000系が相鉄線かしわ台駅構内のかしわ台車両センターに到着したと発表した。12000系は相鉄線沿線と新宿方面を結ぶ相鉄・JR直通線(2019年度下期開業予定)で使用される新型車両。2019年春の導入を予定している。

  • 相模鉄道の新型車両12000系。かしわ台車両センターに無事到着

同車両は相鉄グループのブランドイメージと認知度向上を図る「デザインブランドアッププロジェクト」の概念にもとづき、開発コンセプトを「安全×安心×エレガント ~目先のトレンドに左右されない『醸成するデザイン』~」として製造された。今回、かしわ台車両センターに到着した編成は、全6編成(60両)製造するうちの第1編成となる。

総合車両製作所で製造された新型車両12000系は、同社の創業101年目となる12月18日未明、横浜市金沢区の工場を出発。ディーゼル機関車に牽引され、相鉄・JR直通線用の列車が乗り入れるJR東海道貨物線を通り、羽沢横浜国大駅付近を通過。JR相模線と厚木操車場(神奈川県海老名市)を経由し、かしわ台車両センターに輸送され、相鉄線の仲間入りを果たした。

新型車両12000系は今後、車両の整備や各種検査等を行い、来年春に予定される運行開始に向けて準備を進めるとのこと。

  • 12月18日未明、新型車両12000系が総合車両製作所を出場

  • 横須賀線の車両E217系と並ぶ

  • 12000系が桜木町駅付近を通過

  • ディーゼル機関車に牽引される12000系

  • 広報担当「そうにゃん」も“乗車”

  • 事業用車モヤ700系に連結される

  • 12000系が羽沢横浜国大駅付近を通過

  • 大山を背景に輸送される12000系

12000系のおもな特徴として、紫外線カット熱線吸収合わせガラスを採用し、「ユニバーサルデザインシート」を改良して先頭車以外の優先席・一般席に導入。ベビーカー・車いす用のフリースペースも全車両に設置した。「ナノイー」搭載の空気清浄機を導入したほか、すべてのドアに「個別ドアスイッチ」を導入し、座席端部の仕切り板の大型化に加え、相鉄線の特徴でもある車内の鏡を設置した。時間帯で変化する調色調光式のLED照明、2016年度グッドデザイン賞を受賞した「つり革」も採用。ロングシート座席は座り心地を改良し、ランダムパターンを施した汚れが目立たない生地を採用している。

車内の情報提供を強化するため、ドア上に液晶式案内表示器(17インチ)を設置したほか、全車両でWi-Fiも提供。11000系と同型のVVVFインバータ制御装置(IGBTタイプ)の採用、室内灯・各種灯火類のLED化により消費電力を低減するなど、環境にも配慮した。防音車輪の採用により騒音も低減している。

  • 総合車両製作所からかしわ台車両センターまでの輸送経路図

前方監視カメラや車内防犯カメラを設置し、ホームドア設置駅で自動停車可能なTASC(定位置停止装置)にも対応。相互直通運転への対応として、車両情報処理装置(TIMS)の共通化をはじめ、車両システムに会社間切替機能等を搭載している。